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「心に寄り添う」-子どもを自殺させないために大切なこと- 

190809 海波

「心に寄り添う」
-子どもを自殺させないために大切なこと-


 子どもが自殺する、あるいは、子どもが同級生を刺す。なんと衝撃的な事件だろう。ありえない。保護者、地域、教育関係者、そして子供たちはさぞかしショックなことでしょう。
・・・・・・・・・・・・
 先の7月、岐阜市の市立中3年の男子生徒(14)が3日朝に自宅近くのマンションから転落死した。
 市教育委員会は5日、記者会見を開き、生徒が学校でいじめを受けていた事実を認めた。生徒の自宅からは、いじめを苦にした自殺を示唆する内容のメモが見つかった。5月末には同級の女子生徒が手紙で、男子生徒へのいじめを担任に知らせていた。
 記者会見した早川三根夫教育長は、「いじめを受けながら『大丈夫です』と答えていた男子生徒の悲しみにも、勇気を奮って手紙を書いた女子生徒の気持ちにも、学校は寄り添えていなかった」と謝罪した。
 事件から1か月後の8月3日、早川教育長は、岐阜新聞のインタビューを受けてこう語った。
 「しっかり対応すれば防げたチャンスが何度もあったにもかかわらず、見逃してしまった。学校の対応が不十分だったと言わざるを得ない」
 「先生たちが子どもの心に寄り添えていなかったのが問題。子どもの悲しみや苦しみを表面的に捉えてしまった。また、市内中学校では、いじめの問題に校長や教頭が十分に関わっていない現状がある。いじめは担任でなく校長マターだ。校長は問題の重要性を認識し、指導力を発揮しないといけない。今回の件では、学級担任が(亡くなった男子生徒の)親に連絡しなかったことも大きなミス。連絡があれば家庭でも話ができたし、事態が変わっていた可能性もある」
 「さらに、問題の初期対応の誤りと組織的な責任は免れない。学校や担任や市教委が、問題をどうして防げなかったのかを解明しないといけない。(男子生徒が通っていた)学校には、いじめに対応するしっかりとしたガイドラインがあったが、機能していなかったことも問題だ」
(岐阜新聞、同WEBほか)
・・・・・・・・・・・・
 教育長は、リーダーシップを発揮され、事件後早急にアンケートを実施、第三者委員会の情報公開を約束し、すでに知り得た情報からいち早く誤りを認め、かつ現場にも配慮を加えた発言をされていると思います。全国の中でも良識ある対応をされた市だと思います。
 ちなみに今回は文科省も素早い対応を示しました。事件後の7月8日、文科省は担当者2名を派遣し、教育長らから聞き取りをし、事案の真相を解明し、今後に生かすようにと指導しています。

 まず、なぜ、いじめは担任でなく校長マターなのでしょうか。
 いじめを解決するにあたって、どうしても加害者側、被害者側双方に感情的なしこりは残ります。担任は加害者、被害者双方の先生なのです。人情がからみやすいので、厳しい対応が難しい場合もあります。
 これを超越して理性的、合理的に解決していくためには、管理職(校長)による、コンプライアンス重視のゼロ・トラレンス対応が必要です。また、いじめ解決では初期対応が重要なことは、当法人のHPでも繰り返し解説をしてきたところです。

 ここで、少し違う角度から、「心に寄り添う」こと、心の世界をわかりやすくお話させていただきたいと思います。
 先生たちが、子ども達と心を通わせ、「心に寄り添う」ために、どのような点に心がけたら良いのか、スクールソーシャルワーカーの立場から、先生たちへの参考になると思われる指針を示したいと思います。

 では、「いじめられて、つらかったね」、「嫌な思いしたね」、このように共感すれば解決になるのでしょうか。
 確かに、『共感、傾聴』は癒し効果があります。心身の弱った方、特に高齢者へのケアでは最も重要な柱です。
 しかし、いじめ被害をうけた子どもの話を丁寧に聞くことは大事ですが、その後、何も実行しないのでは、「聞いてくれたけれど、何も変わらなかった」と、希望は失望に変わってしまうことでしょう。

 そのほかに、スクールカウンセラーが教えるように、リフレーミングしたら「心に寄り添う」ことになるのでしょうか。
 リフレーミングとは、
消極的だ → 思慮深い
せっかちだ → 行動的だ
元気がない → 控え目だ
のろまだ → 慎重だ
意思が弱い → 協調性がある
飽きっぽい → 流行に敏感だ
暗い → 落ちついている
というように、物事の見方を変えてみることです。見方を変えれば、景色が変わってきます。
 人間関係で悩んだりするときは、相手に対する見方を変えることで、自分の心も軽くなることもあります。初期段階での、いじめ、不登校の防止、自殺予防には効果があるかもしれません。
 しかし、状況はそのままで、被害者本人だけに心のありかたの変化を求めるのはいけません。
 また、同じことを全員がすると、つまり、いじめを「いじめではない」と見方を変えてしまったら、加害者の行為を増長させるだけ・・という悲劇も生じる恐れがあります。
 
 「表面的でない『心に寄り添うこと』」って何でしょうか。
 暑い夏の夜の、あるエピソードを紹介したいと思います。
 もう30年も前のある医療少年院でのお話です。医療少年院には、教科を教える先生、法務教官、医療・心理の専門家の方々が働いています。少年たちの情報は日々しっかりと共有されています。
 
 「今朝は、ほとんど寝ていないので頭がボーっとしています。」と、ベテランの先生が話し始めました。実は昨夜、年少少年のA君が叫び声をあげたので、ひと晩中、抱きしめていたそうです。

 「たすけて。たすけて。僕の胸に包丁が刺さっている。先生たすけて」
 A君が泣きじゃくっています。
 就寝中の叫び声に、宿直の先生たちが飛んでいきました。
 もちろん包丁が刺さっているというのは現実ではありません。また、A君は、夢を見てうなされたのでもありませんでした。幻覚を見ているのです。A君は精神疾患を持ち、かつ事件を起こしたので医療少年院にいたのです。

 ベテランの先生は、決して頭からA君を否定せず、落ち着かせることに専念しました。今のA君にとって、包丁が胸に刺さっているという非現実的な幻覚は、いままさにある現実なのですから。
 「A、先生がとってやったぞ。どうだ、とれたか。」
 「とれません。まだ、あります。痛いです。」
 「この先生にも手伝ってもらうぞ。うんとこしょ。どっこいしょ。」
 先生たちは真剣に汗を流して、A君の胸に刺さった包丁をとる試みをやりました。肩を抱き、手足をさすって落ち着かせながら。
 なんだか、子ども向けの童話の「大きなカブ」のような風景です。こっけいかもしれません。しかし、そこには、何とか子どもの苦しみを取り除きたい、幻覚から子どもを救いたい、という強い熱意や行動力がありました。(もちろん、医師が判断して投薬することもあります。)
 「とれました。」
 「そうか、良かった。良かった。」
 先生たちも汗だくだくになりました。

 実は、A君は加害者ではありますが、同時に被害者でもありました。保護者から、有り得ないような児童虐待を受けて育ったのです。
 子どもの生育歴、育った環境、保護者から受けてきた様々な虐待を知ったうえで、子どもの人生に対する深い洞察力が医療少年院に勤務する先生たちには必要です。
 また、深い心の傷を負った子どもには、信頼関係のある大人の深い愛情が必要です。
 先生たちには、ひとりの人間としての大きな愛情と包容力がありました。
 毎日、顔を合わせる少年院の先生たちは、親代わりであり、子どもと信頼関係という絆で結ばれた、かけがいのない存在なのです。

 医療少年院だけでなく、刑務所や少年院では、自殺企図は頻繁に起きることなので、いつも予防に心をくだいています。専門家としての知識や経験、ときに直感も大切です。
 しかし、一番大切なことは、「何か助けを求めたら、すぐ対応してくれた」という安心を与えてあげること、このことが子どもの精神や情緒を支えています。
 人間として、誰かに愛されるというのは、魂の喜びであり、人間として立っていける、心の寄る辺であると思います。

 相手から、何かもらおうと思ってやっているわけではない。「君がそこに存在していてくれるだけで幸福だよ。」、その気持ちを伝えています。君が存在しているだけで幸福、これが子どもにとっての「自己肯定感」の醸成につながるのです。
 そういった、毎日の子どもとの関わりがあってこそ助けることができるのだと思います。

 もちろん、徹夜の勧めをしているわけではありません。先生がサラリーマンであってはならないと居丈高に言うつもりもありません。できれば、残業せず、仕事に見切りをつけて、しっかり休日を取ってリフレッシュしていただきたいと思います。
 けれども、子どもファースト、一番大事な場面では、決して時間と労力を惜しんではいけないと思うのです。
 それは、先生にしかできない仕事がそこにあるからです。

 先生が聖職というのは、子どもや保護者、他人から見た姿です。
 努力の蓄積のうえで、様々な経験を積み、生徒たちから信頼される人格力を身につけたとき、周囲から見える、先生方、皆様の仕事をする風景が「聖職」なのだと思います。
 そして、真剣に解決に向けて迅速に行動する。心を込めて、全身全霊をこめて、子どもを愛する。誠の力をそそぐ。これがすべての始まりなのだと思います。
 
 失敗があっても、失敗から教訓を学び、再び立ち上がってください。尊い教訓から反省し、生まれ変わり、新しい世界を見てください。そして、再び子ども達を導いてください。その姿を子ども達が見ています。あなたを待っています。
 それが先生、あなたの生きていく使命であり、子ども達の「心に寄り添う」、ミッションなのだと思います。

元・法務省中部地方更生保護委員会 保護観察官(社会福祉士・精神保健福祉士)
前名古屋市教育委員会 子ども応援委員 SSW
現福祉系大学講師  堀田利恵


 

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[ 2019/08/09 19:00 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ (2019年8月) ◇◆ 管理職は 一段と重い厳罰に処すべき ◇◆ 

190803 ひまわり

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇管理職は 一段と重い厳罰に処すべき◇◆


いきなりの猛暑になって、身体が驚いているようにも感じます。
お祭りや花火大会を楽しむのにはいいのかもしれませんが。

夏休みに入った7月31日に、4月に行われた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果が公表されました。
都道府県別の平均正答率では、秋田や福井、石川などが上位を占めましたが、英語においては、東京、神奈川などの首都圏が上位に入っています。
英語のテストは、今回が初めて実施され、中3生に「読む・聞く・書く・話す」についてテストが行われました。
英語正答率は、「読む」が56.2%、
「聞く」が68.3%、
「書く」が46.4%、
「話す」が30.8%となったとのこと。
報道によると「話す」では2人の会話を聞き、即興で質問する問題の正答率が10.5%と低かったことや、「書く」においては学校を示すピクトグラムを見て、どちらが良いか25語以上で自分の考えを書く問題の正答率は1.9%だったとされています。

今後の課題も出てきましたが、子供たちが、学力を伸ばすためには、安心して学べる環境が必要です。
いじめられるとそれまで頑張っていた勉強への意欲が失われ、進学にも影響することになります。
子供たちがどのような学校生活を送ることができるのか、その要は、「先生との出会い」にあると思っています。

2015年、茨城県取手市の中3女子生徒が「いじめられたくない」と書き残したいじめ自殺事件で、当時の学校や市の教育委員会の対応に問題があったとして、7月25日に関係者9人の処分が発表されました。
処分内容については以下のように報道されています。
自殺を誘発する不適切な指導を行ったなどとして、担任を停職1か月、
校長に対しては自殺後の対応に問題があったとして、給与の10分の1を12か月減給。
市教委の教育参事と指導課長を給与の10分の1を12か月減給。
部長を給与の10分の1を6か月減給。
辞任した矢作元教育長は、在職時の給与の10分の1、12か月分を自主返納。

この事件では、取手市教委は、学校がいじめによる自殺の疑いがある「重大事態」としていたのに、市教委で「いじめによる重大事態ではない」と決議し、しかもそのことを遺族に伝えてもいなかったと言います。
また、ご遺族の意向を受けて第三者委員会を設置しましたが、その委員会でも「いじめはなかった」の前提でなにもしないまま時間だけが過ぎてゆく中で、ご遺族が文科省に「取手市の第三者委員会による調査の中止」を要請されました。
文科省は、取手市教委の担当者を呼び、聞き取り調査を行い、その結果、取手市教委は調査の見直しを検討し、ご遺族に謝罪したのです。

担任に対して、「停職1か月」という懲戒処分は、いじめ事件としては大きな決断だと思います。
しかし、事件の流れを見る限り、組織としてのあり方に大きな問題を抱えているように思います。
この事件の対応は、明らかに「意図した隠蔽」です。
したがって、「担任」より更に重い処分を管理職、教育委員会に課すべきです。
自分たちで、「自分に甘い処分」をするとはなんとも情けない組織であろうかと感じます。

私たちのところに来る相談の中でも、茨城県は、いじめを解決しにくい県の一つです。
それは学校、教育委員会が、
「いじめではない」
「加害者の人権もあるので、簡単には叱れません」
「いじめられる側にも問題があります」
「いじめ防止対策推進法はよくわかりません」
などなど、いじめ被害者を貶(おとし)める言葉を保護者に投げかける事例に出会うことが多いからなのです。
県教委、各市教委に何かしらの共通の隠蔽意識があるようにしか感じられません。
このままで良い訳がありません。
私たちは「いじめの放置、いじめへの加担、いじめ隠蔽をした教師を懲戒処分とする」ということを、「いじめ防止対策推進法」に明記すべきだと訴えておりますが、加えて、「管理職には一般の教員よりも一段と重い厳罰」を科すべきだということも法制化すべきです。

昔から教師は「聖職」と言われてきました。
子供たちにその言葉や行動、そして思いを見られても「恥ずかしくない」ものでなくてはなりませんし、「先生のような人間になりたい」と思わせるような「あこがれの存在」であり続けていただきたいものです。
それには、自らに厳しい姿勢、責任を取る姿勢が不可欠なのです。

夏休みのここ1か月、いじめられていた子供たちは、家族に守られて生活できます。
この期間にぜひとも精神的にも回復し、新学期を迎えて欲しいと思います。
また、保護者としては、学校が始まる前後は、特にお子さんの様子に気を配ってみてあげていただきたいと思います。
不安なことやご質問がありましたら、ご遠慮無くご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
http://ameblo.jp/kzizawa/
Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawa
Twitter: @kzizawa

 

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[ 2019/08/03 12:00 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

「自分以下を求める心」の克服 ― 子供を「いじめっ子」や「傍観者」にしないために ― 

190726 カラーいす

「自分以下を求める心」の克服
― 子供を「いじめっ子」や「傍観者」にしないために ―

 かつて高校に勤務しながら、教育学者の髙橋史朗先生の下で学ばせていただいたことがありました。当事、髙橋先生は明星大学の教授でいらっしゃいました(現在は麗澤大学教授)。
 私は、戦後の歴史教育の今日に至るまでの影響と、その問題点を明らかにし、あるべき歴史教育の姿をについて研究していました。不肖の学徒でしたが。
 併せて、髙橋先生には「いじめ」や「不登校」に関することもご指導いただきました。その中で「自分以下を求める心」という言葉を聞きました。それは、「いじめ」をする心とはどのような心であるか、との問いかけに対する答えでした。

 他者との比較や競争に心が支配されておらず、自己の重要感や価値を自覚していれば、他の人を「いじめる」気持ちは起きないと思います。私も、自分自身を振り返ってみると「自分以下を求める」ことはありました。しかし、「求め」ても自分の下には誰もいないということがしばしばでしたが(笑)。

 「自分以下を求める心」は、自己信頼(自信)がない、つまり、自分の素晴らしさや良さを把握していないことから芽生えてくるのだと思います。そうしますと、「自信をつける」、「自分の良さを把握する」、そのためにはどうしたらよいか、ということになります。
これが難しいところです。

 第1には、親を中心とする大人の支え、言いかえますと、「受容」と時に「愛情に裏打ちされた厳しさ」(これも高橋先生から教わりました)が必要です。中には、保護者の方が子供を受け入れることができない家庭もあります。その場合は、教師をはじめ周りの大人の関わり方が大切です。「受容」の中には、子供に関心を持ち長所を見つけ褒めることが含まれます。褒め言葉は長く子供の心に残り支えになるものです。

 第2には、子供自身の問題ですが、努力の姿勢を身につけることです。勉強やスポーツ・文化的活動で努力をし、少しでも成果を挙げられるようになることです。特に勉強は、努力の成果が表れやすいものです。

 第3には、子供の心を感動で揺さぶることだと思います。筑波大学名誉教授の村上和雄先生風に言えば「遺伝子をONにする」ということです。そのツールとしては、日本の誇れる話、先人や現代に生きる人の立派な志や行動・生きざまを紹介し、感動を与えることです。今の若者はそういう話を求めていると思います。人間のすばらしさに感動し、「自分もあのようになりたい」と思うのではないでしょうか。現在、小中学校で熱心に道徳教育が行われていますが、戦後教育では特に戦前、戦中のことはほとんど学校で語られることはないと思います。「自虐史観教育」の弊害の現れです。勇ましい武勲の話や、戦前戦中に関わらず、その時代その時代に「世のため人のため」に尽力した数多くの偉人たちの話は、感動を呼びます。そのような事実を知ることが、自分の生き方を考える上での良き教材になると思います。

 また、「アメリカにおいて1974年から2000年の間に発生した校内銃乱射事件37件(犯人41人)に対する連邦教育省の調査では、41人中31人(75%)がいじめ、脅迫、暴行などを受けたことがあると答えた」(矢部武『間違いだらけの「いじめ」対策』)としています。
 このように、「いじめ」は被害者の心を破壊し、その怒りが外に向けられれば上記のような加害を行い、内に向けられれば自ら命を絶つことにもつながりかねません。被害者も加害者も傍観者も、誰をも幸せにしない「いじめ」から離れることが大切です。

 花々の美しさは様々であり、それぞれの個性を生かして咲いているかのようです。その違いや多様性は豊かさの現れです。人も各自の個性の花を咲かせている姿こそが豊かさの現れです。
 お互いに「自分以下を求める心」の克服を心掛けていきましょう。

元公立高校 校長 清川 洋


 

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[ 2019/07/26 21:00 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◆◇ 絵に描いたような「いじめ隠蔽」 ◇◆ 

190720 たちあおい

◆◇ 絵に描いたような「いじめ隠蔽」 ◇◆

 今週から夏休みに入る学校も多いかと思います。
 1学期を振り返ると、実に多くのいじめ事件が報道されました。

 6月、7月の目についた報道だけでも、
・ 6月12日、大阪府吹田市で、市立小5年の女児が、1、2年生の時、足首骨折、心因性の視力障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になっていたことで、第三者委員会がいじめを認定。
 女児はアンケートで「いじめられている」と訴えていましたが、学校は約1年半にわたって放置していたことが判明。

・ 6月14日、大阪府泉佐野市で、今年1月、飛び降り自殺した、市立中2の女子について、市教育委員会が、いじめを認める調査結果を公表。
 学校が昨年10月に実施したアンケートでは、いじめを把握できていなかったとのことです。

・ 6月17日、兵庫県尼崎市で、2017年、市立中2の女子が自殺した問題で、生徒の母親が、市に慰謝料など約7900万円を求めて神戸地裁尼崎支部に提訴。学校がいじめに対する適切な対応を怠ったと訴えています。
 今年3月、第三者委員会は、「ブタ」「死ね」等の悪口を言われるなどのいじめを認め、自殺に影響したとの報告書を公表。いじめを示唆する女子生徒のアンケートを、担任教諭が放置したことも明らかになりました。

・ 6月18日、大阪市で、2016年、市立中1年だった女子生徒が不登校になった問題で、第三者委員会は、たたいたり蹴ったりした同級生らの行為をいじめと認定。
 当時の学校や市教委が、いじめと認識せず、適切な対応を欠いたと指摘しました。

・ 6月19日、大阪府八尾市の市立小6年の女児が不登校になっている問題で、第三者委員会が、いじめが原因と認定しました。
 女児は、男児から「デブ」「ブス」等言われ、暴力を受け左手小指骨折等し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断。
 担任は、相談を受け男児を注意しましたが、悪口はいじめと認めず、学校も暴力行為は校外でのけんかだとしており、さらに担任は、悪口や暴力に対応した内容の記録を、廃棄していました。

・ 7月3日、岐阜市の中3男子生徒が、「自分が死ねば、いじめた側はどうなるだろう」という趣旨のメモを残して転落死。
 担任は、5月31日、給食時のトラブル、持ち物を隠す等のいじめ内容を記したメモをクラスメートから受け取りましたが、名前があがっていた同級生2人に指導して、解決したとして、メモをシュレッダーで廃棄。いじめ防止対策推進法が義務付ける、学校(管理職)への通報もしていませんでした。
 死亡後、「ビンタする」、「蹴る」、「つばをかける」、「口に含んだジュースを吹きかける」、「トイレで土下座」、「金銭要求」等々、凄惨ないじめを受けていたとの情報が次々と学校に寄せられました。
 男子生徒は中学1年の頃からいじめを受けているとアンケートで答えていましたが、学校側は組織的ないじめ対策を行っていませんでした。

・ 7月9日、仙台市内で昨年11月、市立小2年の女児と母親が、いじめを苦に無理心中した事件で、学校側が、女児の欠席日数を、年間30日から28日に訂正していたことが明らかになりました。
 いじめ防止対策推進法28条は、いじめが原因と疑われる欠席が相当期間(30日以上を目安としている)あった場合、「重大事態」として調査すべきことを定めていますが、欠席日数を28日として隠蔽したのではないかと、遺族が反発。
 しかし市側は「欠席の連絡があった後、登校した日が2日間あり訂正した。誤記が原因」と説明し、女児へのいじめは「重大事態に当たらない」と結論付けたとのことです。

・ 7月17日、山口県の大島商船高専で、2016年5月に男子学生が自殺した後、寮で同室だった2年生の男子学生がいじめを受けるようになったと訴えている問題で、2017年8月に同校が同級生に聞き取ったアンケートが廃棄されていたことが明らかになりました。
 同年10月に紛失が発覚。同年末から調査を始めた第三者委員会にアンケート現物は提出できず、保護者は隠蔽だと反発。学校側は、「誤って廃棄した可能性が高い」、「(第三者委員会に)アンケート内容は報告している」と説明しています。

 以上、6月12日から7月17日までの1カ月余りの間に報道された、事例をいくつかあげてみました。このほかにも、いじめ事件の報道はありました。
 あまりにも多く、そしてその内容に暗澹とした気持ちになります。
 記者会見で教育長らが深々と頭を下げている映像も何度も目にしましたが、子供が命を絶ったり、PTSDなどの後遺症に苦しんでいる後に、頭を下げても遅すぎることは言うまでもありません。

 結局、「いじめを放置した」ことによって生み出された深刻な被害の問題と、いじめが発覚した後の「学校ぐるみでの隠蔽工作」という「放置」と「隠蔽」が、いじめ問題の大きな障害となっているのです。早期に発見し、いじめを止めれば、こんな問題にはならないのです。
 学校でのいじめを解決できるのは教師だけですし、いじめ対応を学校や校長に指導するのは教育委員会です。子供の自死や後遺症など、ひどい学校に行かなければこのようなことは起こらなかったと言えます。

 埼玉県の川口市では、いじめで不登校になった元生徒が、市を訴えた訴訟の中で、市教育委員会が、いじめの対応について、県教育委員会や文部科学省から55回も指導されていたこと、さらに市教委や校長は、3回も文科省に呼び出されて直接指導されたのに、是正しなかったことが明らかにされました。(7月18日付朝日新聞)

 こんなとんでもない市教委や学校は減りつつあり、ここ数年、学校のいじめに対する姿勢も変わろうとしています。
 しかし、いじめから目をそむけ、逃げる教師や学校がまだまだあるのです。
 もはや、教師や教育委員会の善意だけを信じることも限界ではないでしょうか。
 子供をいじめから救い守るためには、いじめ防止対策推進法に、「いじめ放置、いじめ隠蔽等の教師は懲戒する」と定めるなど、もう一歩、抑止力ある施策が必要です。

 いじめの早期解決に向けて、ご相談を受けています。
 お子さんのことでご心配なことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子


 

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[ 2019/07/20 16:00 ] メッセージ | TB(0) | コメント(1)