◇ 事務長メッセージ ◇◆ 夏休み明けの自殺防止 ◆◇ 

170817 夕暮れの浜辺の子供たち

◇ 事務長メッセージ ◇
◆◇ 夏休み明けの自殺防止 ◆◇


お盆も過ぎ、子供たちの夏休みも後半に入りました。
早いところでは、今週いっぱいで夏休みも終わるところもあるそうです。宿題とか、自由研究とか、そろそろ、焦ってくる時期になります。
見通しの立っていない子供の保護者の皆様は、頭を悩ませていることと思います。自由研究のテーマについては、インターネットを検索すると、様々な情報が出てくる時代なので、昔に比べれば、何とかなるようになってきたのではないでしょうか。
ただ、宿題は、きちんと計画を立てさせ、毎日チェックしていかないと終わらないので、子供との戦いになってきます。気を引き締めてかからないといけません。
親子ともに、大変ですね。

さて、先週の9日に、文部科学省から、「夏休み明けに向けた官民連携によるいじめ防止強化キャンペーンの実施について」という報道がありました。
この中では、文部科学省をはじめ、七つの関係団体のいじめ防止の取り組みが紹介されています。
例えば、ダイヤル・サービス株式会社が8月下旬より、期間限定でLINEを利用した相談窓口を開設することや、NPO法人チャイルドライン支援センターが、フリーダイヤル(0120-99-7777)の実施時間を24時まで延長する(8月23日~9月5日)といったものです。

やはりこの8月下旬から9月上旬にかけて、いじめ防止の取り組みを充実させるのは、9月からの新学期を安心して過ごせるようにするためにも、とても大切なことです。
また、毎年のことですが、夏休み明けというのは、子供たちの自殺が多い時期でもあります。

いじめもその原因の一つに挙げられます。先月のメルマガで、夏休みの入った時の子供たちの様子について注意をしていただきたいとお願いいたしましたが、夏休み明けの時期に関しても、子供たちの様子を注意していただきたいのです。
いじめられている子供にとっては、憂鬱になることも多い時節だろうと思います。ですから、そうした始業式前の子供たちの心の動きを見逃さないで欲しいのです。
・だんだん暗くなってくる
・変に明るくふるまっている
・わざと「早く学校が始まらないかな」と言ってくる
・外で他の子と出合うとそわそわする
・メール、LINEの着信に敏感に反応する
・どことなく、そわそわしている
・何かイライラしている
このような様子が見られたら、要注意です。

もう一つ気を付ける点として、子供たちは、なかなか親に相談をしてくれないということです。
・心配をかけたくない
・自分のプライドが許さない
・親の普段の様子を見て、相談しても話に乗ってくれないだろうと諦めている
こういうことで、なかなか話そうとしないものです。
ですから、これは、親の方に「注意していこう」という気持ちが必要なのだと思います。
子供が何か言ってきた時に行動しようと考えていては、手遅れになります。子供は何も言ってくれないという立場に立って、見守ってあげて欲しいのです。

残り少ない夏休みの大事な時間を大切にし、後悔を残さないようにしていただければと思います。
その中で、疑問に思ったことや、わからない事などございましたら、ご遠慮なくご相談ください。
よろしくお願いします。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
事務長 丸山秀和

※文部科学省 夏休み明けに向けた官民連携によるいじめ防止強化キャンペーンの実施について(平成29年8月9日)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/08/1393634.htm

 

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[ 2017/08/17 07:17 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

「雨にあったら、ゆっくり濡れてこい」 

170811 江田島旧海軍兵学校

「雨にあったら、ゆっくり濡れてこい」

広島県の江田島には、海上自衛隊の幹部候補生学校があります。
もともとは、明治時代に開設された、旧日本海軍の海軍兵学校が前身です。
海軍兵学校は、イギリス海軍の正統な流れを受け継ぎ、全てをイギリス式で統一した教育を施しました。その庁舎のレンガも、わざわざイギリスから取り寄せたという話があるくらいです。

海軍兵学校には、日本全国から選りすぐりの秀才を集めていました。
しかし彼らも、初期のころはずいぶんと面食らったようです。
何せ、当時、服装といえば和服で、食べるのはもちろん和食だけという時代です。パンなど食べたことがない、洋服に触れたこともないような若者たちでした。
それが、急にイギリスのパブリックスクール式の寮生活に投げ込まれたのですから、大変なカルチャーショックに見舞われたようです。

しかも、江田島の海軍兵学校での教育や起居は、イギリスのパブリックスクールよりも、さらに厳しいものでした。
卒業すれば、部下である軍曹等の下士官や兵卒の生き死にに係わる命令を下す立場になるのです。厳しいのは当然です。
もともと、日本の秀才を全て集めたような学校です。もしかしたら、現在の東京大学に入るよりも難しかったかもしれません。なぜなら、学力的にもトップクラスですが、それに体力と精神力も求められたからです。
その優秀な彼らが、厳しい教育と訓練を受けるのですから、ものすごい人材が輩出されました。

私の家内の父親は、先の戦争の末期に、海軍の甲種飛行予科練習生として海軍教育の洗礼を受けました。
そこで兵学校出身の教官に教えられたのですが、この教官が超人に見えたと言っていました。
教官は、南方の海戦で負傷して義足でした。しかし二十歳前の練習生たちに駆け足で負けなかったというのです。義足のハンディなど全くなし、何をさせても完璧にこなす。こんな人材を育てた文字通りのスパルタ教育が、海軍兵学校では行われました。

その兵学校であっても、本当に楽しくくつろげる行事が、たまに許されていたそうです。それが 「短艇巡行」 といわれるものでした。
「短艇」 とはカッターとも言われるオールで漕ぐ小さなボートです。
小さいといっても軍艦に比べての話で、駆逐艦用の小さなカッターでも、7メートルの長さがあって、オールは8本。28人乗りの大きさです。
このカッターを使っての「短艇巡行」とは、陸上で言えば泊りがけの遠足のようなものです。兵学校生徒だけで、瀬戸内の海を泊りがけで巡行することが許されていました。普段はやかましくて厳しい兵学校の生活から、一時解放される気分は最高だったようです。

いざ、短艇巡行に出発する際に、分隊監事からはこんな訓示を受けたそうです。

「雨にあったら、ゆっくり濡れてこい」

いかに穏やかな瀬戸内であっても、海は魔物ですし、いつ天候が豹変するか分かりません。
現在と違って、スマホで雨雲の動きをウォッチできるわけでもありませんし、ポータブルラジオや気象情報が受けられる通信設備がカッターに備わっているわけでもありません。だから、一度、もやいを解いて出港すれば、後は生徒たちの自力だけが頼りになるわけです。
そのために天候の急変に遭遇した場合の心構えを、分隊監事が諭したわけなのです。

「ゆっくり濡れてこい」 とは、天候の急変に際して、あわてずに対処せよということです。濡れることなどいとわず、落ち着いて行動せよということです。
雨で濡れることなど、当たり前のことです。恐ろしいのはパニックになることです。パニックによって間違った操作や行動をすれば、遭難することも考えられます。
問題は濡れることではなく、その際の平静心であり、精神力が問われるということです。

私は高校生のころに、この 「雨にあったらゆっくり濡れてこい」 を知りました。ボーイスカウトでもあったので、一脈通じるところがあり、一時期実践していたことがあります。
実践といっても、他愛のない話です。駅からの帰宅の途中、雨に降られても泰然自若としてゆっくりと歩き続け、決して走るようなことはしない、という変な高校生でした。まあ、濡れるまいとして心が急けば、交通事故に遭いかねませんから、正しいことは正しいのかもしれません。

しかしこの 「雨にあったらゆっくり濡れてこい」 という考えは、実際の雨の場合だけではなく、人生のあらゆる局面に応用が可能な考え方かもしれません。長い人生の間には、予測不可能な変事に襲われることもあれば、理不尽な仕打ちを急に受けることもあります。

現代の「いじめ」のターゲットになることも、その中に入るかもしれません。
その際に、「ゆっくり濡れればよい」 という、心の余裕を持つ必要があるのです。
被害にあったり、悪意を向けられるだけでも、パニックになります。どうしていいか分からなくもなるでしょう。誰にも相談できず、一人で全部抱え込んで、解決の糸口も見出せないかもしれません。
誰であっても、自分が当事者になれば、その悲劇に「目がくらむ」のです。パニックになるのです。正常な判断などできません。

しかしこんな時こそ勝負の時です。
「ゆっくり濡れる」 覚悟があれば、第三者的に冷静に自分の置かれた環境を分析できるでしょう。誰か他人の話であれば、冷静に客観的にアドバイスが可能なはずです。

「親に相談したの?」
「先生には言ったの?」
などなど、色々な考えと、行動の指針が出てくるでしょう。

つらい時には、そのつらさに「すくまされたり」「目をくらまされたり」するものです。
そんな時こそ、「雨にあったら、ゆっくり濡れてこい」 という心の余裕を。
そうすれば暗礁に乗り上げたり、転覆したりしないで済むはずです。

肩の力を抜いて、深呼吸しましょう。そして現代ではあらゆる通信手段もあるではありませんか。いじめの相談窓口にSOSをスマホで打電する事も可能なのです。一人だけで天候の急変に対応せずとも、誰かが確実に救援に来ます。

問題は、一人で抱え込まないことです。そのためにも、大事なのが冷静な心と、余裕のある判断です。

「雨にあったら、ゆっくり濡れてこい」

天候の急変には、何よりも心の余裕が肝心です。

担当 こしがやじろう


【写真】 江田島の旧海軍兵学校の校舎 (現在は海上自衛隊幹部候補生学校)。
   構内の教育参考館では旧海軍関係の資料など約1,000点を展示。




 

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[ 2017/08/10 17:07 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

「子どもたちに道徳を教えるということ」 -モラルジレンマを超えて- 

170727 赤い魚とスイレン

「子どもたちに道徳を教えるということ」
-モラルジレンマを超えて-


 いじめ事案を扱っていると、「現代の子どもたちは、どうしてこうも善悪がわからないのだろう」、と感じることがあります。
 いじめの加害者と被害者の境界線がはっきりしないだけではなく、「何か考え方の訓練ができていないのではないか」 と、スクールソーシャルワーカーの私としても困惑することが多々あります。

 この子どもたちの善悪に対する意識低下の背景には、小中学校の道徳の授業、「モラルジレンマ」 教育の方法に原因がありそうです。
 「モラルジレンマ」 教育とは、二律相反する命題を示して、どのようにすべきかを考えて意見を述べあうという授業方法です。
 もともとは、自主的な討論の力を引き出したい、というのが出発点なのだと思われますが、「結論は出さない」 という姿勢には疑問を感じます。未熟な小中学生に対しては、結論を示さない以上、混乱させるしかない、というのが実感です。

 この件で、どう考えたら良いかは、いじめから子供を守ろうネットワーク井澤一明代表の、2015年3月のブログ 「道徳教育のモラルジレンマ」 に 「指針」 がありますので参考にしてください。
→http://mamoro.blog86.fc2.com/blog-entry-1785.html

 今回は、実際の道徳授業を観て、何が間違っているのか解説したいと思います。ある日の授業を取り上げてみましょう。
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テーマ: 「ぜったい、ひ・み・つ」

 夏休みを目前にした7月初め、私たちの中学校では期末テストも終了し、夏の大会をめざして活気づきはじめていた。バレー部も大会に向け、全員が一致団結して練習に励んでいた。

 しかし、2年生の典子だけが元気がない。同じバレー部の吉江は心配になって話しかけた。
 すると典子は、「父親の仕事の都合で引っ越すことになったんだ。大会の練習に打ち込んでいる、みんなの前ではどうしても言い出せなかった」 と話してくれた。

 吉江にとって親友の典子が転校してしまうのは寂しいことだ。
 吉江は典子のために 「お別れ会をしよう」 と、バレー部のみんなに相談を持ちかけた。
 もちろん典子には内緒で。なぜって、「そりゃ、何にも知らない方が何倍もうれしいだろう」 という意見が通って、「ぜったいにひみつ!」 にすることにしたのだ。

 引っこしは7月25日に決まっていた。前日の24日にお別れ会をすることにした。部活の顧問の先生にも頼んだ。

 練習の合間や帰り道に、お別れ会の出し物のことや役割なんかを相談しながら帰る日が続いた。しかし、典子をその話の仲間に入れるわけにはいかない。帰り道も、今までは一緒だったけど・・・。

 お別れ会も近い、終業式の前日の19日、典子は学校を休んだ。欠席の連絡もない。心配になった吉江はバレー部のみんなと一緒に、部活の帰り道に、典子の家に寄ってみた。
 典子は叫んだ。「どうして、仲間はずれにするの。今まではあんなに仲良くしていたのに。だから、もう学校にも部活にも行かない。どうしてなの。」
 困った。みんなの目は、「ぜったい、ひ・み・つ!」 と言わんばかりだ。
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【質問】: このテーマが提示され、教師は次のように質問しました。
 吉江は、典子にお別れ会のことを言うべきか。
 それとも、言わないで練習に出るように説得すべきか。

 この質問に、子どもたちの答えは半分半分に分かれました。

 「典子にお別れ会のことを言うべき」 と考える子どもたちは、以下の理由をあげました。
・お別れするのに、典子にモヤモヤさせちゃって悪いから。
・このままだと学校にこないまま、嫌な思い出のまま転校することになるから。
・このまま言わなかったら来ないかもしれないから。
・最後は、みんなで仲良く終わりたいから。
・嫌な気持ちをしているのに、驚かせてもあまりとうれしくないと思うから。
・お別れ会をするから、それを話していただけと正直に言ったら良いと思う。
・明日来ないと終わり。
・仲間はずれをしたと思われたくないから。
・そもそも典子のためなのに、典子がそんな思いをしているのに、隠す必要がないから。
・お別れ会のことを言わないと学校にも部活にも来ないで、お別れ会ができないから。

 「言わないで練習に出るように説得すべき」 と答えた子どもたちの考えは次のようでした。
・みんなで決めた秘密は守るべきだから。
・せっかく今まで秘密にしていたのに、ここで言ったら、みんなに責められそうだし、みんなを説得しないといけなくなるから。
・典子を説得して来てもらって、お別れ会をしたら、うれしさも大きいと思うから。
・典子がいないときに話し合い、バレー部の時は普通に接したほうがいい。
・親友だからこそ、言わない。
・「ぜったい秘密」 で準備しているから。
・一番の思い出にしてもらいたいから。
・帰る時や練習の時に誰か一人は典子のそばにいて、後からみんなに話し合いの内容を聞けばいい。
・なんとか説得して来てもらえば、お別れ会で仲直りできるから。

 この道徳授業では、クラスみんなで様々な意見でにぎわいました。でも、先生は結論を出さずに終わってしまいました。
 「仲間の思いは、いろいろあるんだな」、「みんな意見があって、それぞれわかるよ」、「それぞれ、みんな正しいね」、「結論は無いです・・」

 このままで良いとは思えません。先生であれば、示すべき道があるはずです。
 何点か問題点を述べてみます。

 第1に、「目的」 と 「手段」 をごっちゃにしてはいけない、という点です。
 「目的」は、典子のためにお別れ会をして、喜んでもらうことです。動機として、友だちを愛する気持ちがあり、それが尊い思いなのです。実行行為として、みんなで話し合い、出し物の準備をしたりします。それが素晴らしいことなのです。そして、その方法として、サプライズのために「秘密」という「手段」を選んだわけです。
 「秘密」 は典子に喜んでもらうための 「手段」 に過ぎないのです。
 また、「秘密をばらして、みんなに自分が責められるのでは・・・」 という考えは自己保身にほかなりませんので、注意してあげることが必要でしょう。

 第2点、それぞれの 「時」 や、「人」 の立場、そして、その 「場所」 で善悪の判断も変わることを理解していない点です。
 「お別れ会」 の相談を始めた最初のころから、「典子がいないときに話し合い、バレー部の時は普通に接する」 とか、「帰る時や練習の時に誰か一人は典子のそばにいて、後からみんなに話し合いの内容を聞けばいい。」 などの配慮をすれば、秘密を守りながら、誤解をまねくことなく、「お別れ会」 の準備をすることができたでしょう。
 その意味で、初期のころならば、「言わないで練習に出るように説得すべき」 の中の意見で良いでしょう。

 3点目、教材の文章を最後まで読むと、何も配慮をしないで典子以外で相談したため、事態は険悪な方向に進んでいる点です。
 最悪な事態は、典子が仲間はずれにされたと思い込んだまま、学校にも部活にも来ずに転校することです。それを 「回避するためには、どうしたら良いか」、という視点で、考えるように導くことが忘れられているように思います。
 私としては、「お別れ会をするから、それを話していただけと正直に言ったら良いと思う。」、「そもそも典子のためなのに、典子がそんな思いをしているのに、隠す必要がないから。」 という意見を採用せざるを得ません。

 子ども達には、必ず結論を示して教えなければなりません。結論を示さないことが子どもたちの成長を促すかのように考えるのは間違いです。必ず、善を教えて、不安を払拭していただきたいと思います。

 ときとして、社会的に未成熟な子どもたちは、集団の空気や風に流されます。
 大勢の意見が正しい、大勢の人の気持ちが大事とばかりに、「ぜったい、ひみつ!」 にこだわれば、大切な仲間の心に悲しみを植え付けたまま、永遠のお別れになってしまいます。
 ですから、声の大きい人、力関係の上下に関わりなく、「誰が正しいのか、ではなく、何が正しいのか」、を考える訓練は、子どもたちにとって、とても大切だと言えましょう。

 これが 「みんなでいじめをしていることは絶対にヒミツ!」 というケースであれば、まったく洒落になりません。隠ぺいという恐ろしいヤミになってしまうでしょう。

 教師は生徒に、何が正しいのかを判断し、実行できる人になるよう導くことが大切です。それができる道徳教育が望まれます。

 それでは、最後に、有名なモラルジレンマの事例問題を解いておきたいと思います。
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【事例】
 気のお母さんを看病している親孝行な息子がいます。
 お母さんは、今、死にかけています。お母さんを治すには、隣町の薬局店にある高価な薬を飲ませるしかありません。しかし、薬を買うお金がありません。
 息子は、お母さんを死なせるか、それとも薬を盗むべきでしょうか?
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 私は、かつて少年院の中で、このモラルジレンマ事例を使いながらも、哲学的パラドックスに陥ることなく、「善とは何か」を教えていた、私が尊敬してやまない今は亡き老先生の授業を紹介します。

 老先生は非行少年たちに語っていました。
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 「君たちは、短絡的に考え行動し、人を傷つけたり、人の物を盗んだりして、ここに入りました。これからは、決して、犯罪や不法行為をしないと誓ってください。

 ですから、どんな理由があろうとも、薬を盗んではいけません。
 どうしても、お母さんの命を救いたいのであれば、立ち止まり、考えてください。今、あなたにお金がなかったとしても、あなたのお母さんを救いたいという気持ちが本物であれば、かならず手助けして、希望をかなえようとしてくれる人たちが現れます。だから相談してみてください。
 お金の工面の仕方を知ったり、仕事も紹介してくれるかもしれません。先に入院する方法もあるかもしれません。必ず、お母さんは助かると信じてください。

 もしも、助からなかったとしても、決して人を恨んではなりません。助けようと思いを寄せてくださった人々に感謝してください。そして、お母さんを大切に思った、自分自身を誇りに思ってください。

 あなた方には、未来への希望と、“これから” という時間という宝物があります。
 だから、けっして悪い思いで心を曇らせたりしないで、あきらめず努力し工夫することを選んでください。

 どうしても、運命があなたの思い通りにならなかったとしても、天を恨んではなりません。
 天はあなたにのり越えられない運命は与えません。苦難を乗り越えたとき、人間として魂の勲章を得られるのです。

 私は、あなた方が立派な大人になることを信じています。どうか、先生の言葉を思い出してください。あなたが思う時、必ず先生はあなたのかたわらにいます。」
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 いかがでしょうか。この先生の思いを、子どもたちに伝えてあげていただきたいと思います。

スクールソーシャルワーカー 村崎京子(仮名)


 

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[ 2017/07/27 15:15 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◆◇ 夏休みを前にして ◆◇ 

170720 夏の親子

◆◇ 夏休みを前にして ◆◇

先日(7月18日)、NHKの 「クローズアップ現代+」 で、子供のいじめ自殺をテーマに番組が放送されました。
取手市のいじめ自殺を中心に、「学校現場で、なぜいじめを認めないのか」、「その対応策はあるのか」、という話題で進められました。

教育現場の問題の一点目として、過度に生徒の立場を考えてしまう傾向があることを取り上げていました。
そのため、「生徒たちを刺激しない」 ことが重視される為、アンケートにしても、質問があいまいになってしまい、正確な情報がとれない状況になっていると報告されていました。
二点目に、「生徒たちを犯人扱いしたくない」 という配慮から、突っ込んだ質問が出来ず、いじめ解決に至らないという矛盾点が見えてきました。
三点目としては、担任から校長、校長から教育委員会、教育委員会から市長村長と、「事が大きくなると大変だ」 という意識が働いて、「無いことにしてしまう傾向」 も指摘されていました。
問題のあった取手市の教育長もインタビューに答えていましたが、やはり、いじめ被害者側に立つというよりも、今もなお自分達側に立っているようにしか感じられませんでした。

このような問題の対応策案として、大津市の、いじめ対策専門の教師を市内のすべての小中学校に配置するという取り組みが紹介されました。
これは、第三者の目でいじめの早期発見を目指すものです。
加えて、学校の外から目を光らせる仕組みとして、市長が指揮をとる、いじめ防止対策推進室を設けて、そこには弁護士や臨床心理士が相談を受けるようにしています。
教育委員会からも連絡が入るようにし、生徒、保護者などからも、直接相談を受ける窓口としての機能を持っています。
確かに、この様な仕組みは大切ですが、問題は、この仕組みがどこまで機能するかだと思います。
番組では、成功事例も紹介していましたが、大津市では、いじめ問題の報道もいくつかあり、この仕組みがより有効に働くように、今後の動向を見守りたいと思います。
そして、こういった仕組みは、有効な面があるので、ぜひ他の自治体でも作っていってほしいと思います。

さて、まもなく夏休みです。
これからの毎日の中で、保護者の皆様には、気を配っていただきたい点があります。
それは、子供たちの変化です。
夏休み前と、夏休みに入ってから、そして夏休みが終わる前。
こういった時期で、子供たちの表情や、健康状態など、
何か普段と変わったところがないかを観察していただきたいのです。

学校でいじめを受けている子に取って、休みというのは、そのいじめから解放される時なのです。
ですから、どことなく明るくなったとか、食欲が出てきたとか、安心感が良い変化として現れる部分があるかと思います。
そういう変化が出てきた場合は、学校でいじめを受けている可能性があります。その時には、焦らず、じっくりと子供と話す時間を取って、学校での様子を聞いてあげてください。いじめの事を話してくれたら大成功です。

ただ、話してくれなくても、子供に詰め寄らないように、静かに見守ってあげてください。こちらが注意していると、何処かではっきり気づくチャンスは出てきます。
今は、保護者の皆様も、お仕事などでお忙しいとは思いますが、こういう時期に、子供の変化を掴むことは、子供を守っていくこと対して、とても大切なことです。

子供たちの小さなサインを見逃さず、その機会を大切にして、お子さんの学校生活を守っていただけたらと思います。
そして、いじめの事実がわかったら、早いうちに学校とお話をして下さい。
そんな中でわからない事などがございましたら、ご遠慮なくご相談ください。
よろしくお願いします。

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[ 2017/07/20 17:00 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)