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☆ 書籍 「不登校指導入門」 ☆ 

不登校指導入門

☆ 書籍 「不登校指導入門」 ☆

 子供がいじめで学校に行けなくなったという、保護者の方からの相談をよく受ける。
 「どうしたら学校に行けるようになるのでしょうか?」
 お母さんたちは電話の向こうで泣いている。
 学校側からは、
 「いじめは収まっている。学校に来られないのはお子さんの気持ちの問題です」
 「お母さんも、○○くんが学校に来られるように努力してください」 などと言われている。
 不登校は子供や家庭の責任であるかのような言葉である。保護者も非常に傷ついている。

 さらに、「学校を休むと内申書に響く。高校に行けなくなる」 と登校を迫られる。これでは不登校の子供や保護者の不安や焦燥は強くなるばかりだ。
 稀な事案ではない。日本の各地から同じような相談がくる。もしかして、先生方は不登校の子供の気持ちが分からないのではないかと思う。

 10月末に出版されたばかりの、書籍 「不登校指導入門」 (明治図書出版刊)を読んだ。
 著者の千葉孝司氏は北海道の中学校教諭。数多くの不登校の生徒たちと関わり、数回の家庭訪問で再登校に至った生徒も少なくない。同氏の不登校指導は、「千葉マジック」 とも呼ばれていると言う。それをまとめたのがこの書籍である。

 著者は、まず、「教師のマインドセットを変える」 ことを勧める。教師中心の発想から子供中心の発想へと考え方を変えなければならないと言う。
 「子供は学校に来るのが当たり前」、学校に来ない子供や保護者は、「手のかかる子供」、「困らせる子供」、「甘やかしている親」 だと感じるのは、教師中心の発想である。
 子供中心の発想をする教師なら、不登校の子供や保護者を、「援助を求めている子供」、「困っている子供」、「手だてのない親」 だと捉えて、積極的に手を差し伸べる。
 また、不登校とは、学校に 「行かない」 のではなく、「行けない」 のだと著者は訴える。「行けない」 のは学校という集団に不安を感じて心のエネルギーを消耗させてしまうからである。著者は、「心の疲労骨折」と表現している。

 いじめによる不登校についても言及している。
 「いじめの解消」 と 「いじめの解決」 とは異なると述べられている。
 「いじめの解消」 とは、目の前のいじめがストップし、なくなることである。
 「いじめの解決」 と言えるためには、まずは加害者がいじめをしなくなること、さらに、被害者の心の傷が癒え、自尊心を回復し、信頼しあえる人間関係を構築できるようになることの両者が必要だと説明している。
 いじめが解消されていても、いじめが解決していないのであれば、子供は学校に行けない。本書には、被害者の心の傷を癒す教師の対応などが具体的に紹介されている。

 また、再登校のためには、「安定させる」 → 「エネルギーを充電させる」 → 「挑戦させる」 という3つのステップが勧められている。
 「安定させる」 とは、不安で揺れる子供の気持ちを安定させること。そのためには、ジャッジせずに、「ありのままを受け入れる」 ことが大切だと述べている。
 「エネルギーを充電させる」 とは、消耗された心のエネルギーを充電することで、「子供の意欲を認めること」、「子供のやることを理解し支持すること」 などが重要である。
 そして、「挑戦させる」 とは、再登校に向けて一歩を踏み出すことである。まず学校に間に合う時間に起床する、その翌日には学校に行く身支度をするなど、小さな挑戦を積み重ねていくことを勧めている。

 本書では、不登校に関する知識や理論の展開だけにとどまらず、全編を通じて、教師が不登校の子供と話すときの会話例、家での保護者と子供の会話例など、すぐに役立つ解決方法が詳しく紹介されている。

 書籍 「不登校指導入門」 は、簡潔にまとめられた読みやすい本である。学校の教職員のみならず、お子さんの不登校で悩んでいる保護者の方にもお勧めの書籍である。

いじめから子供を守ろうネットワーク
松井 妙子

著者千葉孝司氏へのインタビューはこちら→

http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/interview/?id=20141048

 

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[ 2014/11/15 11:00 ] 書評、書籍紹介 | TB(0) | コメント(0)

★書籍紹介★ 「あなたを傷つける人」の心理 

あなたを傷つける人の心理


書籍紹介
「あなたを傷つける人」の心理

 
 1冊の本のご紹介を致します。『「あなたを傷つける人」の心理』(加藤諦三著 PHP文庫)です。
  
 この本は、「人には、人を殺すタイプと自殺するタイプとがいる」というセンセーショナルな書き出しで始まっています。
 この「人を殺すタイプ」を、著者は「きずな喪失症候群」と呼んでいます。その反対のタイプを、「燃えつき症候群」と表現しています。
 言い換えれば、「きずな喪失症候群」とは人を攻撃するタイプ、「燃えつき症候群」は、受け身型のタイプと言えるでしょう。

 そして、著者は、「この本は、攻撃型の人間の心理的問題を書いた本である。」と、本書の意図を述べています。
 さらに、「人間には、正反対の二種類の人がいるということを、しっかりと認識する必要がある。それを認識していないと、生涯にわたって人からいいように扱われてしまう。」(p5)と警告しています。
 いじめ問題においても、加害者の心理を知っておくことは重要であると思います。

 攻撃型人間への対処方法の一つとして、「イヤだなと思った人間からは、自信をもって離れなさい」と述べています。いじめられるのに、近くにいる必要はないということです。
 また、「親しい人間同士は適切な距離をとっている」、あるいは、「親しさは、時間と努力の積み重ねから生まれる」とも述べています。加えて、「簡単には信頼関係はできない」と指摘し、そのためには目に見えない努力が必要であると著者は述べています。

 特に心に残った言葉があります。
 それは、「自分自身が強くなければ生きていけない。」という、攻撃型の人から身を守るためのアドバイスです。
 「あなたが毅然とした態度をとることで、相手は気がつくのである。もうこの人は自分の食い物にはならない、と相手は諦める。自分は燃えつき症候群だと思うなら、きずな喪失症候群の人とは直接対決することである。」(p132)という言葉が印象的です。

 攻撃型の人とは、毅然とした態度で、徹底的に戦わなくてはならないのです。
 お子さんのいじめ問題も同じなのではないでしょうか。保護者は絶対に子供を守るのだと決意することが大切です。

 勇気が出なかったり、戦い方がわからない時は、どうか連絡してください。
 私達は、困った時、必要な時、必ず力になります。
                    
担当 : 興梠 規和

【参考】 書籍 『 「あなたを傷つける人」 の心理 』 の目次
第1章 人間関係は、幸せの源でも不幸の源でもある。
第2章 自分のある人は、ずるい人から狙われない。
第3章 人を見抜く能力を鍛えよう。
第4章 親しさは、時間と努力の積み重ねから生まれる。
第5章 「心」を持たない人からは逃げなさい。
第6章 「母なるもの」が、人間関係の基礎を作る。


 

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[ 2014/08/27 21:05 ] 書評、書籍紹介 | TB(0) | コメント(0)

★☆ 書籍 『オルヴェウス・いじめ防止プログラム』 ☆★ 

140724 いじめ防止プログラム

書籍
『オルヴェウス・いじめ防止プログラム』


 いじめ問題は、日本だけではありません。
 世界各国でも大きな問題として取り組みが進んでいます。
 その世界のいじめ問題を語るには、ノルウェーのベルゲン大学のダン・オルヴェウス博士の存在を忘れてはなりません。博士は、日本ではさほど有名ではありませんが、世界では、世界一の権威と言われています。
 先日、訪問した政令指定都市の教育委員会の指導主事の先生方も、まったく知りませんでしたが、ノルウェーのベルゲン大学の教授を長年務め、35年以上も、子供のいじめ問題に関して、理論面および教育現場での実践面の両分野から取り組んで来られました。

 オルヴェウス博士が提唱する「いじめ防止プログラム」は、ノルウェーはもちろん、EU、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等、世界20か国の学校で導入されています。特にアメリカでは、約8000校もの学校で導入されています。結果、平均して20パーセントから70パーセントもいじめが減少したと報告されています。

 このほど、『オルヴェウス・いじめ防止プログラム』の翻訳書が日本で発刊されました。博士の「いじめ防止プログラム」が詳細に解説されています。

 「いじめ防止プログラム」は、いじめを防止するために、いじめに対する従来の考え方を変えること、及び、いじめを取り巻く学校の環境を改めることを目的としています。

 まず、博士は、次の4つのいじめ防止ルールを学校に掲げることを提唱しています。
1. 私たちは、他の人をいじめません。
2. 私たちは、いじめられている人を助けます。
3. 私たちは、一人ぼっちの人を仲間に入れます。
4. 私たちは、もし誰かがいじめられていれば、それを学校の大人や家の大人に話します。

 このルールをポスターなどにして、学校の至るところに貼り、いじめは許されない行為であると、はっきり伝えると効果が出ると述べています。

 いじめの発見には、無記名アンケートが有効であることを訴えています。「無記名でなければならない。教師に知られないということで子供たちは本当のことを書く」と無記名であることを重視しています。

 さらに、教師等による「校内生徒見守り制度」の充実も効果的であると指摘しています。
結局、子供たちを見守る大人の態度が重要であること、もしも、いじめに気付いても介入せずに放置すれば、いじめを許容したことになるという指摘は重要です。
 さらにより具体的に、どのように介入したらよいのかという点についても、事前によく話し合い、決めておくことが必要と述べています。

 また教師は、子供たちに対してロールプレイングを通して、どのような行為がいじめにあたるのか、そのとき、反いじめルールによれば、どのように対処すべきかを子供たちに「納得させる」ことが重要だと説明されています。

 日本のいじめも世界のいじめも、基本的な対策は同じであるとも言えます。
 学校全体でいじめ防止に取り組む、いじめ防止ルールを徹底する、いじめへの介入の仕方を事前に決めておく等、この書籍に紹介されているいじめ防止策は、今すぐにでも実行できるものではないでしょうか。

いじめから子供を守ろうネットワーク
松井 妙子


 

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[ 2014/07/24 10:23 ] 書評、書籍紹介 | TB(0) | コメント(0)

月刊「生徒指導」 2014年4月号に、「いじめを許さない教師の会」千葉孝司教諭が論文を執筆。 

140328 生徒指導4月_

月刊 「生徒指導」
2014年 4月号

 現在発売中の月刊「生徒指導」4月号に、「いじめを許さない教師の会」の千葉孝司先生(公立中学校教諭)の論文が掲載されています。

 同誌4月号の特集は、『“安心感”と“期待感”をもたせるスタートを! 集団を育てる学級・HR開き』です。
 学級づくりはスタートが肝心と、新年度の始まりに際して、1年間を見通した学級づくり、学年づくりについて特集しています。

 千葉先生は、『「このクラスでよかった!」と思えるゴールを目指して』と題して、中学校における年度当初の教師のあり方について執筆しています。
 論文は、生徒同士の人間関係では、生徒たちの中から、「個性の違いを認めることの素晴らしさ」等に気づかせることが大切であり、そのためには、教師が、「個性の違いを認めることの素晴らしさ」を行動で示すことが必要であるとか、望ましい行動をした生徒がいたら、「良いクラスだね」と全員をほめる、反対に叱るときは個別に叱り充分にフォローすることが必要である等、「このクラスで良かった」と子供たちに居場所を感じさせ、意欲をもたせる教師のあり方がさまざま具体的に述べられています。
 生徒一人ひとりに対する、千葉先生の温かいまなざしが感じられます。こんなクラスだったら「いじめ」など起こらないでしょう。


 

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[ 2014/04/08 17:55 ] 書評、書籍紹介 | TB(0) | コメント(0)