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◇ 代表メッセージ (2024年1月) ◇◆ 「古い考え方」も大切に ◆◇ 

240117 富士山

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 「古い考え方」も大切に ◇◆

2024年最初のメルマガです。
あらためまして、本年もご指導、ご支援のほどをお願い申し上げます。

元旦に発生した「能登半島地震」によって多くの方が被災し、犠牲になられた方もいらっしゃいます。
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
そのような中であっても、9日には、避難所となっている小学校で始業式が開かれたというニュースも流れておりました。
がんばっている子供たちの姿に感銘を覚えます。
今現在も避難所や車中、さらには倒壊した家屋で懸命に生き抜いておられる皆様の日常生活が、一刻も早く取り戻されることを祈るばかりです。


2021年4月からGIGAスクール構想によって、本格的に子供たちに端末が配布されるようになって3年がたたんととしています。
そのような状況で起きるべきして起きたといえるような事件が報道されています。

朝日新聞等によりますと、
昨年末、東京都武蔵野市の市立小学校で複数の男子児童が、学校から1人1台ずつ配布されているタブレット端末を使い、女子児童の着替えを盗撮していたというのです。

・昨年12月に、複数の高学年の男子児童が盗撮。
・女子が着替えに使っていた教室に端末を設置し盗撮を繰り返した
・多数の女子児童が被害にあった。
・盗撮した画像を児童間で共有していた。
・所持していた画像は消去した。
・学校側は12月下旬に臨時の保護者会を開催。


子供たちも「何が正しくて、何が悪であり、間違いなのか」ということは、知識的には知っているはずです。
ですが、善悪は知っていても、衝動をおさえきれず間違った行動を起こしてしまう子供たちがいます。
ここに現代の教育の問題があるように思えます。

私たちはセミナーや講演を通して、
「人をいじめないと一人一人が決意すれば、いじめなんか起きない」
「だからいじめたくなる気持ちに負けるな」と子供たちに伝えています。
そのような人間に成長していただきたいと心から願っています。
大切なことは、自らの心をコントロールすること、つまり「自制心」です。
確かに「自制心」と聞くと、今どきの人たちは「やや古い」と感じるのではないでしょうか。
この言葉には、「古くさい」というイメージがつきまとっているようです。
しかし、心のままに怒りをぶつけることはトラブルを招きやすいと言えます。
また、喧嘩をしたり相手を怒鳴りつけたりして気分を悪くしてしまう子もいますので、アメリカでは「アンガー(怒りの)コントロール」を非常に大事にしていると聞きます。
日本でもCAP(Child Assault Prevention 子供への暴行防止)という考え方が導入され、学校で講義されることもあります。
温故知新ではありませんが、「自制心」の大切さを伝えていくことも大人の役割だと思います。

加えて、教育においては、「個性を尊重する」、「多様な価値観を認め、価値観を押しつけない」という言葉を耳にします。
文科省が「個性尊重」を掲げてから、すでに40年近く経ちました。
確かに「人権意識」を醸成(じょうせい)するためには大切なことでもあると思います。
ただこのような考え方の底流に、ルールを守る心、「規範意識」の醸成があってこそ、教育は正しい方向に進むのではないでしょうか。
冒頭の児童による盗撮事件だけではありませんが、個性の尊重や、価値観を押しつけない教育が一人歩きしているように見えてしかたありません。
見方を変えると自己中心主義の肯定となってしまうという懸念があります。

規範意識、ルールを守る心が必要です。さらに自制心や正義感、他人に対する優しさや思いやりなどの「愛の心」、教えてくれている先生や両親への感謝の心、間違ったことをした時の反省する心や、謝罪する心などなど、「古い考え方」の中にもう一度、見直されるべきものがあるのではないでしょうか。

そのベースがあってこその「個性尊重」、「多様な価値観」が生きてくるのではないでしょうか。
「個性尊重」、「多様な価値観を許容する」という考え方だけで育てられてしまうと自己中心主義、さらにきつい言葉を使うとするならば「動物的属性の尊重」ということになりかねません。
人間として自らの意志により、本来持っている動物的属性をコントロールすることは教育の目的の一つであるはずです。

私たち保護者も「善いものは良い、悪いものは悪い」という姿勢を保ち、子供たちの心に自制心を育てていきたいと思います。

まもなく2月ですし、3月が目前に迫っています。
学年が変わったり、卒業する子もいます。
いじめ問題など年度が替わってしまうと解決することが難しくなりやすいものですので、早めに対処することをおすすめいたします。
何か不安なことや気になることがございましたら、どうぞご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


井澤一明ブログ:
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[ 2024/01/17 10:07 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ (2023年12月) ◇◆ いじめを訴えたのに「花マル」、なぜこんなことが起きるのか ◆◇ 

231215 天使の梯子

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ いじめを訴えたのに「花マル」、なぜこんなことが起きるのか ◇◆

12月に入り、あちこちにイルミネーションが輝いています。
新型コロナが5類に指定されたためか、一般のお宅の庭先にもイルミネーションを見ることが多くなったように感じます。
街にはクリスマスの雰囲気が漂い、スーパーや百均では鏡餅やお正月飾りが並べられています。
子供たちにとっても心がウキウキするような12月です。

そのような雰囲気がある一方、奈良市のいじめ事件が大きく報道されています。

奈良市立小3年の女子がいじめを受け去年12月にいじめの重大事態に認定されました。
女子児童は、おととしから去年にかけて同級生から足を蹴られてケガをするなどのいじめを受け、学校側は去年12月、いじめの重大事態に認定しました。
女子児童はその後ストレス障害と診断され、今も症状が続いているといいます。
かなりの数の報道がされていますが、MBS毎日放送の記事を中心に、以下に、まとめてみました。

【経緯】
・2022年2月すねを蹴られて全治1週間の怪我。
被害者は、「急に蹴られた。帰りの準備をしているときに。びっくりした。(Q痛みは?)あった」、「ロッカーの前に立っていた男子児童に蹴られた」と話している。
目撃していた別の児童は「男子児童は座ったまま蹴っていた」と証言した。
・両親がいじめ有無の調査を学校に要求。
・両親によると「加害児童が『やっていない』と言うし、調査できないということだったんですね。(学校に)お願いしたんです、調査をしてほしいと。そしたら『学校は警察じゃない』と言われてしまった」とのこと。
・報告書によると、被害児童の手首をひねったり背中を鉛筆で突いたりなどの男子児童によるいじめ行為が12件あった。
・2022年6月、被害児童は「自学ノート」に「いやだ」というタイトルで担任に提出。
ノートには、「かなしかった つらかった なみだがこぼれた」、「わたしは死ねばいいな、自分なんて、いなければよかった」などの言葉が見られる。
・担任が花マルをつけて、「You can do it!! ファイト!!」と記入
・担任は市教委の聞き取りに、
「児童に花丸を付けてほしいと頼まれ、花丸を付けにくい内容であることから一度は断ったが、児童に頼まれたため、心配していることを伝え花丸を付け、励ましの意味を込めて、『You can do it!』と記載した」と答えた。
・被害児童本人は、
「(Q花マルを書いてくださいと言った?)言ってない。なんで花マルしてあるんやろうって思った」と話している。
・担任が両親に連絡したのは自学ノート提出後、約1週間も後のこと。
・2022年9月、被害児童は適応障害に。診断結果を受けて再度、学校にいじめ調査を要望。11月、同級生全員にアンケート調査が実施され、学校側は「いじめ重大事態」と認定した。
両親が訴え始めてから約9か月後のこと。

この事件に関して奈良市長は、会見で、
「具体的な内容の評価は難しいところがあるが、子どもが言っていることをきちんと聞き取ることが大事だと思う。当該教員も言い分はあると思うが、子どもの声を最優先するのが大事だと思う。」と話し、改善していく必要があるという考えを示しましたとあります。
なお、奈良市は、今月中に調査報告書を公表するとのことです。
--------

やや長くなりましたが、以上、このいじめ事件の報道をまとめてみました。

最大の問題は、被害者の子が適応障害にまで追い込まれたということです。
その原因は、いじめの訴えがあったにもかかわらず、教師がいじめを解決しようとしなかったという一点にあります。
「言葉」に対してのセンサーが悪すぎます。
「死にたい」とかかれていたなら、そのノートの前後がどうあれ、授業を自習にしてでも、すぐに被害児童を呼んで、「どんなことがいやなの。なにかあったの。大丈夫?」などと話を聞くことが必要です。
しかも、保護者からいじめについての訴えを何度も受けていたはずなのに。
この言葉を目にしてから、両親に伝えたのが一週間も経ってからとは、あきれます。
担任本人からしてみたら、「なんでこんな大事になるんだろう」と思っているかもしれませんが、些細なことをおろそかにしたことが問題なのです。
こんな当たり前のことを教えてくれる先輩や校長、教育委員会の担当者はいなかったのでしょうか。

教師本人の能力の問題もありますが、教育システムの不備もあると思います。
市教委は担任に聞き取り調査をしたようですが、この担任に対しての懲戒については
言及していない模様です。
「いじめを放置した」のは明らかです。それに対しての懲戒できないのであれば大きな問題です。
私たちが以前より訴えておりますように、いじめ防止対策推進法に「教師への懲戒規定」を明文化する必要があります。
「いじめを放置」しても教師には全くデメリットがなく、被害者だけが大きな負担を負うという事実は、異常としか言いようがありません。
この事件で言えば、22年の2月の事件があったときに、すぐに対処し解決していれば、こんな苦しみを味わわなくても良かったのですから。
法制化が間に合わないのであれば、最低でも各教育委員会において、教員の処罰規定の中に、いじめの放置や黙認、加担などをした教員の懲戒規定を盛り込むべきです。

今回の報道を見る限りですが、保護者の皆様にも知っておいていただきたいことがあります。
まずは、「学校は警察ではない」というのは学校が問題から逃げるときの常套文句だということです。
こんな言葉は無視するべきです。
ここまで学校が逃げるのであれば、警察署に被害届を出すべきです。
そこまでする必要がない場合であれば、このような言葉を投げかけられたら、すぐに学校の上位組織に訴えていくことが肝要です。
公立であれば、「教育委員会」に訴えて解決を依頼することが大切ですし、実際にかなりの効果があります。
私立であれば、学校法人のトップに話してみていただきたいと思います。
いじめ問題について、いじめを解決する学校が良い学校だという価値観に教育界は変わってきています。
しかし、残念なことに、このような対応をする学校がなくなりません。
私たち保護者としても、どこに持ち込めば解決できるかということを知っておくことも大切だと思います。
(参考 いじめ解決方法 https://mamoro.org/solution )

子供たちにとって楽しい12月。そしてお正月。安心して迎えて欲しいものです。
何か気になることがありましたらご遠慮なくご相談下さい。
皆様が良いお年を迎えられますように。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明:


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[ 2023/12/15 17:47 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ(2023年11月) ◇◆ 不登校30万人を考える ◆◇ 

231120 ススキ1

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 不登校30万人を考える ◇◆

11月に入って急に寒い日が増えて参りました。
インフルエンザも流行していますので、子どもたち、保護者の皆様も気をつけていただきたいと思います。

いじめ事件で教育委員会の体質が暴露されるような事件が起きています。
11月9日の毎日新聞に、
「名古屋市教委、いじめ重大事態の保護者を呼び捨て 発言を謝罪」という記事が掲載されていました。

-----
「重大事態」として対応していた生徒の保護者からの電話に、名古屋市教育委員会の職員が
「○○(保護者の氏名)からか。じゃあ出ない方がいいな。担当がいないと言っておいて」と発言していたことが、関係者への取材で判明した。
電話のやり取りは録音されており、市教委は発言を認め保護者に謝罪した。
(中略)
保護者から相談を受けた市議に指摘され、市教委は保護者に謝罪した。
市教委指導室の小島治彦室長は取材に
「『(その場にいなかった)担当者が対応した方がいい』という趣旨だった。適切でない言葉遣いで不快な思いをさせたことは申し訳なかった。職員を指導していく」と話した。
------

「しようもない言い訳」としか言えないような事件です。
日頃から被害者や生徒に対してどのように接しているか、どのように認識しているかが良く分かります。
他人を尊重するという当たり前のことができない教員資格を持った職員がいるのです。
しかも教育委員会の人間ですから、いずれは校長、教頭として現場にも出て行くのでしょう。
こういう先生には教わりたくはないものです。

話はかわりますが、先月のメルマガでもお伝えしたように、10月4日に文科省が公表した2022年度の調査結果において、いじめ認知件数が68万1948件となり、そのうち「重大事態」と認定されたのは923件、さらに、不登校の小中学生は29万9048人と、それぞれ過去最多となりました。

この調査結果に対して、10月18日には、不登校問題に取り組むNPO団体や専門家の方々が会見し、「子どもたちの認識に寄り添った調査をしてほしい」と訴えたとの報道がありました。

会見では、「文科省の調査では、不登校の理由に「いじめ」を挙げたのは学校側の回答で1%にも満たないのに対し、子どもの回答では25%以上と大きな差があった」と述べられています。

関連する、11月15日の毎日新聞の記事によりますと、不登校の当事者と家族の実態と思いをまとめたアンケートの調査報告書を、滋賀県フリースクール等連絡協議会(柴田雅美会長)が公開していることが紹介されています。
昨年11月~今年1月、不登校の子供とその家族にアンケートしたもので、ホームページ(https://www.shigafs.org/)で公開されています。

記事の内容を簡単にまとめると、
・回答した小中高生75人のうち、「不登校になった年齢」は小学生が76%。特に小学1~3年生が60%。
・自由記述では、子供も保護者も、周囲の偏見や無理解について悲鳴を上げている。
・「不登校のきっかけ」を「先生」とするのが約3割。
・「不登校のきっかけ」(複数回答)で最も多い要因は、
「先生」(合わない、怖い、体罰、不信感など)の23人。
・「友達」「身体不調」「カリキュラムが合わない」が同数の20人。
・「先生が誰かを怒るのを見るのがしんどい」(18人)、「勉強が分からない」(16人)など。
・一方、文科省の調査では、不登校の要因は「無気力、不安」(51%)
▽「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)▽「友人関係の問題」(9%)など
原因は「本人」とする回答がほとんど。

私たちのところに「不登校の相談」も届くことがあります。
先日も、何年かぶりでお電話いただいたお母さんから、
「息子がIT関連の会社に就職しました。その節は本当に助かりました。ありがとうございました。」とお話しいただいて、驚くと同時にうれしく感じました。

不登校の相談は、ひとりひとり丁寧な対応が必要であり、一概には解決しないというのが実感です。
それぞれ不登校になる経緯や感じ方がまるで違うのです。
一律にフリースクールに通わせれば良いとは、なかなか言えません。
ただ、いじめが原因で不登校になっている場合は、加害者が謝罪し、和解できると、次の日から学校に通い始めるという、まるで奇跡が起きたとしか見えないような形で解決にいたることが頻繁に起きます。
これは「いじめ」という明確な原因が判明しているからだと考えられます。

一般的には「不登校の原因」が解消されると学校に復帰しやすいのですが、不登校になってから何年も経ってしまうと、本人ですら「何が原因だったかなぁ」と原因のところが遥か彼方、遠い昔の話になてしまい、原因になったことが解消されていても、簡単には復帰できないことが多くあります。
やはり、本人の「変わらないといけないな」と思う心と、保護者を中心としたサポート、誘導が必要です。
私たちが特に重要だと感じていることは「学習」です。
学習によって、学校に復帰するための「精神力」や「意志力」、さらにはコツコツと学び続けることで「忍耐力」も培われます。
もう1つの理由として、不登校の期間に学習ができていないと、学校には行けても、授業中は「ただ何もしないで座っているだけ」という状態になってしまうことがありますので、「なんとなく先生の話している意味がわかる」ぐらいになっている状態をつくってあげる必要があると考えています。
また、学校に通うようになったあとの学習面でのサポート体制や、その子に寄り添ってくれるようなシステムのある学校に通うこと、加えて、学校に相談できる先生がいることも大切な要件だと感じています。

結局、「不登校」という言葉だけで一括りにしないことが大切だと思います。
一人一人に寄り添いながら子供の精神的成長を促していくことが重要ですし、その要は親であり、保護者であると思います。

さまざまな行事も多い11月ですし、12月も浮かれやすくなる季節です。
何かご心配なことがありました早めにご相談いただきましたら幸いです。


一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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[ 2023/11/20 17:30 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

☆ 代表メッセージ (2023年10月) ☆★ いじめ認知件数68万、実際は100万件超え? ☆★ 

231018 文部科学省

☆ 代表メッセージ ☆
★☆ いじめ認知件数68万、実際は100万件超え? ☆★

紅葉の季節には、まだまだ遠い感じがしていますが、気温はかなり下がってきて、「11月中旬の気温です」とテレビの気象予報の声が聞こえてきたりしています。

さて、例年のように、2023年10月4日、文科省から「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」が公表されました。

今年の調査結果では、いじめの認知件数が昨年度から10.8%増加し、約68万件となり、同時に、小中学生の「不登校」が過去最多の約30万人に上ったことが報道されています。
いじめ認知件数の増加について、文科省は、「令和3年度は新型コロナウイルス感染症流行前の令和元年度並みとなり、令和4年度では再び増加傾向となり過去最多となった。」としています。
いじめ認知件数が増加理由として
・部活動や学校行事などの様々な活動が再開されたことにより接触機会が増加した。
・いじめの定義やいじめの積極的な認知に対する理解が広がった。
・アンケート、教育相談の充実などによる生徒に対する見取りの精緻化。
・SNS等のネット上のいじめについての積極的な認知。
をあげています。

調査結果をもう少し詳しくみてみましょう。
1.いじめの認知件数は681,948件(前年度615,351件)であり、前年度に比べ66,597件(10.8%)増加。
2.児童生徒1,000人当たりの認知件数は53.3件(前年度47.7件)。
3.いじめの解消状況については、525,773件(77.1%)(前年度493,154件(80.1%))と比率は低下。
4.いじめ重大事態の件数は923件(前年度706件)であり、217件(30.7%)増加し過去最多。
5.1,000人当たりの認知件数では山形県が118.4件、政令指定都市では新潟市が219件。仙台市147.1件、大阪市143.7件と続く。
6.いじめを認知した学校は36,366校中29,842校で82.1%。未認知校は6,113校。私立の52.8%が未認知。(注1)
7.暴力行為の発生件数は95,426件(前年度76,441件)であり、前年度から18,985件(24.8%)増加。
8.小・中学校における長期欠席者数(注2)は、46,898人増の460,648人(前年度413,750人)、高等学校は122,771人(前年度118,232人)。
9.小・中学校における不登校児童生徒数(注3)は299,048人(前年度244,940人)、前年度から54,108人(22.1%)増加し、過去最多。

特に今回は、不登校数が急激に増え、前年度比22.1%増の約30万件にのぼったことが、頻繁に報道されています。
そのため「受け皿」づくりの必要性や相談体制の拡充、さらには「つながり」の重要性など、さまざまな議論が生まれています。
ですが、ある意味予測されていたことです。
新型コロナの流行に伴い、「学校に来なくても良いよ」という姿勢を示したのは「国の方針」です。
学校は「行かなくてはならない場所」から、「いかなくても良い場所」に変わってしまったのです。
大切なことは「学校」の価値を上げることではないでしょうか。
学習能力、人間関係能力、コミュニケーション能力、忍耐力、さまざま基礎力を培うのに最も適したところが学校なんだという「学校への憧れ」を醸成していくことが重要だと思っています。
そうでなければ渡部昇一先生が提唱されたように「塾を学校にしてしまう」ことを検討しても良いのかもしれません。

さて、いじめ認知件数としては約68万件で過去最高とはなっていますが、簡単に信じるわけにはいきません。
しかも、いじめを認知していない学校が16.8%、つまり6校中に1校は一年にただの一度もいじめがなかったという報告ですから。
とてもとても現実を表しているとは言いがたいのではないでしょうか。

山形県の1,000人当たりの118.4件を全生徒数(約1256万4千人)に換算すると約150万件になりますし、
さらに新潟市の219件で換算すると約275万件となります。
あくまでも、推測ではありますが、やはり、100万件を超えるいじめが起きていると見ておくべきだと思います。
学校のいじめに対する対応能力はかなり向上したと感じてはおりますが、いじめそのものは、この程度は発生しているはずです。
重要なのは、いじめを重大事態のようなところまで大きな事件とならないうちに解決することです。
「早期発見・早期解決」ができている学校が「良い学校」ですし、「いじめを解決できる学校」だと言えるのだと思います。
新型コロナの影響を受け活動量が低下していた前年度から、活動が再開している現在の学校生活の中で、いじめは増えてくると思います。
そのような状況を踏まえて、いじめの早期解決に向けて、私たちも一層の努力をしてまいりたいと思います。

そうした中で、
「いじめ・不登校対策を前倒し、過去最多の認知件数で政府方針…早期に兆候発見狙い」
というような読売新聞の記事も出ています。
少し引用します。
-------
全国の小中高校などで昨年度に認知されたいじめや不登校の件数が過去最多となったことを受け、政府が緊急対策として、学習用端末を活用した「心の健康観察」などを前倒しして始めることがわかった。(中略)
心の健康観察は、1人1台配備されている学習用端末やアプリで、体調や精神の落ち込み具合、自傷経験などを回答してもらい、子どもの心身の変化を把握して支援につなげる。
緊急対策には、悩みを抱えていたり、学校になじめなかったりする子どもや保護者の相談に乗る「スクールカウンセラー」などの配置校を増やすことも盛り込まれた。不登校の児童や生徒に学びの場を確保するため、空き教室や学校外で学習できる「教育支援センター」も充実させる。
-------

しかし、いじめが増加したことに対して、学校を介して対策を打つことが、学校サイドにいじめの認知件数を報告させないための圧力になってしまう可能性も考えられるのではないでしょうか。
学校がいじめ認知件数を報告しにくい雰囲気を作り出してしまっては意味がありません。
まさに本末転倒です。
そうならないような適切な対応を求めたいと思ます。

学校生活が戻りつつある状況の中で、いじめに対して不安に感じることも多くなると思います。
気になることがありましたら、早めにご相談いただければ幸いです。


一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

(注1)休校等の学校があるため、いじめを認知した学校数といじめを認知していない学校数の合計は、学校総数と一致しない、とのことです。

(注2)この調査での「長期欠席者数」とは、「欠席日数」及び「出席停止・忌引き等の日数」の合計日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒。(不登校を含む)。
登校しない理由は、「病気」、「経済的理由」、「新型コロナウイルスの感染回避」、「不登校」、「その他」。「その他」の具体例は、保護者の登校についての無理解、家族の介護、外国での長期滞在、連絡先不明等。

(注3)この調査での「不登校」とは、「病気」、「経済的理由」、「新型コロナウイルスの感染回避」という理由を除き、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは、登校したくともできない状況にある長期欠席の児童生徒。


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[ 2023/10/18 16:30 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)