「子どもたちに道徳を教えるということ」 -モラルジレンマを超えて- 

170727 赤い魚とスイレン

「子どもたちに道徳を教えるということ」
-モラルジレンマを超えて-


 いじめ事案を扱っていると、「現代の子どもたちは、どうしてこうも善悪がわからないのだろう」、と感じることがあります。
 いじめの加害者と被害者の境界線がはっきりしないだけではなく、「何か考え方の訓練ができていないのではないか」 と、スクールソーシャルワーカーの私としても困惑することが多々あります。

 この子どもたちの善悪に対する意識低下の背景には、小中学校の道徳の授業、「モラルジレンマ」 教育の方法に原因がありそうです。
 「モラルジレンマ」 教育とは、二律相反する命題を示して、どのようにすべきかを考えて意見を述べあうという授業方法です。
 もともとは、自主的な討論の力を引き出したい、というのが出発点なのだと思われますが、「結論は出さない」 という姿勢には疑問を感じます。未熟な小中学生に対しては、結論を示さない以上、混乱させるしかない、というのが実感です。

 この件で、どう考えたら良いかは、いじめから子供を守ろうネットワーク井澤一明代表の、2015年3月のブログ 「道徳教育のモラルジレンマ」 に 「指針」 がありますので参考にしてください。
→http://mamoro.blog86.fc2.com/blog-entry-1785.html

 今回は、実際の道徳授業を観て、何が間違っているのか解説したいと思います。ある日の授業を取り上げてみましょう。
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テーマ: 「ぜったい、ひ・み・つ」

 夏休みを目前にした7月初め、私たちの中学校では期末テストも終了し、夏の大会をめざして活気づきはじめていた。バレー部も大会に向け、全員が一致団結して練習に励んでいた。

 しかし、2年生の典子だけが元気がない。同じバレー部の吉江は心配になって話しかけた。
 すると典子は、「父親の仕事の都合で引っ越すことになったんだ。大会の練習に打ち込んでいる、みんなの前ではどうしても言い出せなかった」 と話してくれた。

 吉江にとって親友の典子が転校してしまうのは寂しいことだ。
 吉江は典子のために 「お別れ会をしよう」 と、バレー部のみんなに相談を持ちかけた。
 もちろん典子には内緒で。なぜって、「そりゃ、何にも知らない方が何倍もうれしいだろう」 という意見が通って、「ぜったいにひみつ!」 にすることにしたのだ。

 引っこしは7月25日に決まっていた。前日の24日にお別れ会をすることにした。部活の顧問の先生にも頼んだ。

 練習の合間や帰り道に、お別れ会の出し物のことや役割なんかを相談しながら帰る日が続いた。しかし、典子をその話の仲間に入れるわけにはいかない。帰り道も、今までは一緒だったけど・・・。

 お別れ会も近い、終業式の前日の19日、典子は学校を休んだ。欠席の連絡もない。心配になった吉江はバレー部のみんなと一緒に、部活の帰り道に、典子の家に寄ってみた。
 典子は叫んだ。「どうして、仲間はずれにするの。今まではあんなに仲良くしていたのに。だから、もう学校にも部活にも行かない。どうしてなの。」
 困った。みんなの目は、「ぜったい、ひ・み・つ!」 と言わんばかりだ。
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【質問】: このテーマが提示され、教師は次のように質問しました。
 吉江は、典子にお別れ会のことを言うべきか。
 それとも、言わないで練習に出るように説得すべきか。

 この質問に、子どもたちの答えは半分半分に分かれました。

 「典子にお別れ会のことを言うべき」 と考える子どもたちは、以下の理由をあげました。
・お別れするのに、典子にモヤモヤさせちゃって悪いから。
・このままだと学校にこないまま、嫌な思い出のまま転校することになるから。
・このまま言わなかったら来ないかもしれないから。
・最後は、みんなで仲良く終わりたいから。
・嫌な気持ちをしているのに、驚かせてもあまりとうれしくないと思うから。
・お別れ会をするから、それを話していただけと正直に言ったら良いと思う。
・明日来ないと終わり。
・仲間はずれをしたと思われたくないから。
・そもそも典子のためなのに、典子がそんな思いをしているのに、隠す必要がないから。
・お別れ会のことを言わないと学校にも部活にも来ないで、お別れ会ができないから。

 「言わないで練習に出るように説得すべき」 と答えた子どもたちの考えは次のようでした。
・みんなで決めた秘密は守るべきだから。
・せっかく今まで秘密にしていたのに、ここで言ったら、みんなに責められそうだし、みんなを説得しないといけなくなるから。
・典子を説得して来てもらって、お別れ会をしたら、うれしさも大きいと思うから。
・典子がいないときに話し合い、バレー部の時は普通に接したほうがいい。
・親友だからこそ、言わない。
・「ぜったい秘密」 で準備しているから。
・一番の思い出にしてもらいたいから。
・帰る時や練習の時に誰か一人は典子のそばにいて、後からみんなに話し合いの内容を聞けばいい。
・なんとか説得して来てもらえば、お別れ会で仲直りできるから。

 この道徳授業では、クラスみんなで様々な意見でにぎわいました。でも、先生は結論を出さずに終わってしまいました。
 「仲間の思いは、いろいろあるんだな」、「みんな意見があって、それぞれわかるよ」、「それぞれ、みんな正しいね」、「結論は無いです・・」

 このままで良いとは思えません。先生であれば、示すべき道があるはずです。
 何点か問題点を述べてみます。

 第1に、「目的」 と 「手段」 をごっちゃにしてはいけない、という点です。
 「目的」は、典子のためにお別れ会をして、喜んでもらうことです。動機として、友だちを愛する気持ちがあり、それが尊い思いなのです。実行行為として、みんなで話し合い、出し物の準備をしたりします。それが素晴らしいことなのです。そして、その方法として、サプライズのために「秘密」という「手段」を選んだわけです。
 「秘密」 は典子に喜んでもらうための 「手段」 に過ぎないのです。
 また、「秘密をばらして、みんなに自分が責められるのでは・・・」 という考えは自己保身にほかなりませんので、注意してあげることが必要でしょう。

 第2点、それぞれの 「時」 や、「人」 の立場、そして、その 「場所」 で善悪の判断も変わることを理解していない点です。
 「お別れ会」 の相談を始めた最初のころから、「典子がいないときに話し合い、バレー部の時は普通に接する」 とか、「帰る時や練習の時に誰か一人は典子のそばにいて、後からみんなに話し合いの内容を聞けばいい。」 などの配慮をすれば、秘密を守りながら、誤解をまねくことなく、「お別れ会」 の準備をすることができたでしょう。
 その意味で、初期のころならば、「言わないで練習に出るように説得すべき」 の中の意見で良いでしょう。

 3点目、教材の文章を最後まで読むと、何も配慮をしないで典子以外で相談したため、事態は険悪な方向に進んでいる点です。
 最悪な事態は、典子が仲間はずれにされたと思い込んだまま、学校にも部活にも来ずに転校することです。それを 「回避するためには、どうしたら良いか」、という視点で、考えるように導くことが忘れられているように思います。
 私としては、「お別れ会をするから、それを話していただけと正直に言ったら良いと思う。」、「そもそも典子のためなのに、典子がそんな思いをしているのに、隠す必要がないから。」 という意見を採用せざるを得ません。

 子ども達には、必ず結論を示して教えなければなりません。結論を示さないことが子どもたちの成長を促すかのように考えるのは間違いです。必ず、善を教えて、不安を払拭していただきたいと思います。

 ときとして、社会的に未成熟な子どもたちは、集団の空気や風に流されます。
 大勢の意見が正しい、大勢の人の気持ちが大事とばかりに、「ぜったい、ひみつ!」 にこだわれば、大切な仲間の心に悲しみを植え付けたまま、永遠のお別れになってしまいます。
 ですから、声の大きい人、力関係の上下に関わりなく、「誰が正しいのか、ではなく、何が正しいのか」、を考える訓練は、子どもたちにとって、とても大切だと言えましょう。

 これが 「みんなでいじめをしていることは絶対にヒミツ!」 というケースであれば、まったく洒落になりません。隠ぺいという恐ろしいヤミになってしまうでしょう。

 教師は生徒に、何が正しいのかを判断し、実行できる人になるよう導くことが大切です。それができる道徳教育が望まれます。

 それでは、最後に、有名なモラルジレンマの事例問題を解いておきたいと思います。
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【事例】
 気のお母さんを看病している親孝行な息子がいます。
 お母さんは、今、死にかけています。お母さんを治すには、隣町の薬局店にある高価な薬を飲ませるしかありません。しかし、薬を買うお金がありません。
 息子は、お母さんを死なせるか、それとも薬を盗むべきでしょうか?
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 私は、かつて少年院の中で、このモラルジレンマ事例を使いながらも、哲学的パラドックスに陥ることなく、「善とは何か」を教えていた、私が尊敬してやまない今は亡き老先生の授業を紹介します。

 老先生は非行少年たちに語っていました。
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 「君たちは、短絡的に考え行動し、人を傷つけたり、人の物を盗んだりして、ここに入りました。これからは、決して、犯罪や不法行為をしないと誓ってください。

 ですから、どんな理由があろうとも、薬を盗んではいけません。
 どうしても、お母さんの命を救いたいのであれば、立ち止まり、考えてください。今、あなたにお金がなかったとしても、あなたのお母さんを救いたいという気持ちが本物であれば、かならず手助けして、希望をかなえようとしてくれる人たちが現れます。だから相談してみてください。
 お金の工面の仕方を知ったり、仕事も紹介してくれるかもしれません。先に入院する方法もあるかもしれません。必ず、お母さんは助かると信じてください。

 もしも、助からなかったとしても、決して人を恨んではなりません。助けようと思いを寄せてくださった人々に感謝してください。そして、お母さんを大切に思った、自分自身を誇りに思ってください。

 あなた方には、未来への希望と、“これから” という時間という宝物があります。
 だから、けっして悪い思いで心を曇らせたりしないで、あきらめず努力し工夫することを選んでください。

 どうしても、運命があなたの思い通りにならなかったとしても、天を恨んではなりません。
 天はあなたにのり越えられない運命は与えません。苦難を乗り越えたとき、人間として魂の勲章を得られるのです。

 私は、あなた方が立派な大人になることを信じています。どうか、先生の言葉を思い出してください。あなたが思う時、必ず先生はあなたのかたわらにいます。」
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 いかがでしょうか。この先生の思いを、子どもたちに伝えてあげていただきたいと思います。

スクールソーシャルワーカー 村崎京子(仮名)


 

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[ 2017/07/27 15:15 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◆◇ 夏休みを前にして ◆◇ 

170720 夏の親子

◆◇ 夏休みを前にして ◆◇

先日(7月18日)、NHKの 「クローズアップ現代+」 で、子供のいじめ自殺をテーマに番組が放送されました。
取手市のいじめ自殺を中心に、「学校現場で、なぜいじめを認めないのか」、「その対応策はあるのか」、という話題で進められました。

教育現場の問題の一点目として、過度に生徒の立場を考えてしまう傾向があることを取り上げていました。
そのため、「生徒たちを刺激しない」 ことが重視される為、アンケートにしても、質問があいまいになってしまい、正確な情報がとれない状況になっていると報告されていました。
二点目に、「生徒たちを犯人扱いしたくない」 という配慮から、突っ込んだ質問が出来ず、いじめ解決に至らないという矛盾点が見えてきました。
三点目としては、担任から校長、校長から教育委員会、教育委員会から市長村長と、「事が大きくなると大変だ」 という意識が働いて、「無いことにしてしまう傾向」 も指摘されていました。
問題のあった取手市の教育長もインタビューに答えていましたが、やはり、いじめ被害者側に立つというよりも、今もなお自分達側に立っているようにしか感じられませんでした。

このような問題の対応策案として、大津市の、いじめ対策専門の教師を市内のすべての小中学校に配置するという取り組みが紹介されました。
これは、第三者の目でいじめの早期発見を目指すものです。
加えて、学校の外から目を光らせる仕組みとして、市長が指揮をとる、いじめ防止対策推進室を設けて、そこには弁護士や臨床心理士が相談を受けるようにしています。
教育委員会からも連絡が入るようにし、生徒、保護者などからも、直接相談を受ける窓口としての機能を持っています。
確かに、この様な仕組みは大切ですが、問題は、この仕組みがどこまで機能するかだと思います。
番組では、成功事例も紹介していましたが、大津市では、いじめ問題の報道もいくつかあり、この仕組みがより有効に働くように、今後の動向を見守りたいと思います。
そして、こういった仕組みは、有効な面があるので、ぜひ他の自治体でも作っていってほしいと思います。

さて、まもなく夏休みです。
これからの毎日の中で、保護者の皆様には、気を配っていただきたい点があります。
それは、子供たちの変化です。
夏休み前と、夏休みに入ってから、そして夏休みが終わる前。
こういった時期で、子供たちの表情や、健康状態など、
何か普段と変わったところがないかを観察していただきたいのです。

学校でいじめを受けている子に取って、休みというのは、そのいじめから解放される時なのです。
ですから、どことなく明るくなったとか、食欲が出てきたとか、安心感が良い変化として現れる部分があるかと思います。
そういう変化が出てきた場合は、学校でいじめを受けている可能性があります。その時には、焦らず、じっくりと子供と話す時間を取って、学校での様子を聞いてあげてください。いじめの事を話してくれたら大成功です。

ただ、話してくれなくても、子供に詰め寄らないように、静かに見守ってあげてください。こちらが注意していると、何処かではっきり気づくチャンスは出てきます。
今は、保護者の皆様も、お仕事などでお忙しいとは思いますが、こういう時期に、子供の変化を掴むことは、子供を守っていくこと対して、とても大切なことです。

子供たちの小さなサインを見逃さず、その機会を大切にして、お子さんの学校生活を守っていただけたらと思います。
そして、いじめの事実がわかったら、早いうちに学校とお話をして下さい。
そんな中でわからない事などがございましたら、ご遠慮なくご相談ください。
よろしくお願いします。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
事務長 丸山秀和


 

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[ 2017/07/20 17:00 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

★☆ いじめ解決に向けて-文書の大切さ ☆★ 

◆◇ いじめ解決に向けて-文書の大切さ ◇◆

 7月になって、東京では猛暑の日々が続いています。
 もうすぐ夏休みという今の時期、いじめ相談が増えています。

 先日はこのようなご相談を受けました。
「夏休みになったら学校は指導できないと言うんです。
2学期が始まっても、うちの子が、学校に行けるかどうかも分からないのに。 いじめに対応してくれません」
 しかも、担任から、
「いったいお母さんは何をしてほしいんですか、と言われたんです」
と本当にお困りのお電話でした。

 「先生は教育のプロだから、いじめを相談したら、すぐに適切に対処してくれるはず」
と、私たち保護者は期待してしまいます。
 しかし、上記のケースのように、いじめが解決されないまま時間がたってしまうことがあります。特に夏休み前などは、早急にいじめを解決をしなくてはなりません。

 このような膠着状態になってしまった時に、「文書」 が早期解決への道を開くことがあります。
 私たちは、「いじめ被害経緯書」 と学校への 「いじめ解決の要望書」 の2つの文書を作ることをお勧めしています。
 「面倒だ」 とか、「そんな大げさなことまでしたくない」 とおっしゃる方もおられますが、しかし、文書はいじめ解決への大きな力となります。


170716 いじめ被害経緯書
「いじめ被害経緯書」 記載例

1. 「いじめ被害経緯書」 は 「最大のツール」。

 一般的に、いじめは、悪口や、にらむとか、無視や仲間はずれというものが大半をしめます。ですから、「いじめの証拠を手に入れることができない」 のが普通です。
 証拠に代わるものとして、いじめの記録の 「文書」 が学校と交渉する際の材料になるのです。
 文書化のポイントとしては、いじめの事実を、
「何月何日の何時ごろ、誰が、お宅のお子さんに、どういうことをしたか。どんなことを言ったか」 など、時系列に書き出すことです。
 この 「いじめ被害経緯書」 を元にいじめの事実確認を学校に依頼することで、学校は、加害者から、「このようないじめをしましたか」 などと、事情を聴くことができます。また、周囲の子供たちから聞き取り調査することもできます。
 もちろん、いじめの証拠があればさらに有意義に交渉が進められると思います。

2. 「いじめ被害経緯書」がきっかけで、学校全体としての取り組みが進む。

 また、「実際に校長先生とお話ししてみたら、いじめの内容が全く伝わっていませんでした。担任はひどい先生です」 というご相談も実に多くいただきます。
 担任の先生に対して、「校長先生はこのいじめをご存知なのですか」 とお聞きすると、ほとんどの場合、「ちゃんと報告しています」 という答えが返ってくるのですが、実際には伝わっていないのが実情です。
 2時間、3時間と担任の先生にいじめの事実や、本人がどれだけ苦しんでいるかと訴えても、校長先生への報告には、ほんの5分、10分で済まされてしまうものです。また、聴き間違いや勘違いなどもありますので保護者の意図が全く伝わっていないということもよく起きてしまいます。
 そこで、「文書」 が大事なのです。
 文書を渡しながら担任と話すと、担任の先生も校長先生や指導主任、学年主任に相談しやすくなるのです。何と言ってもコピーすればいいだけですので。
 過去、文書を渡すことで学校全体として解決に乗り出してきてくれたということが何度もあります。

 もう一点、公務員や教師の多くは、文書をもらうと 「仕事をしなければならない」 と考える習性があるようなのです。
 今まで出てこなかった校長先生が、急に、「辛い思いをさせてすみませんでした」 と連絡してきたり、話すだけでは何もしてくれなかった校長先生が、「これはちゃんと対応しなくてはいけませんね」 と言って動き出したということもありました。
 文書を持っていくかどうかということで、学校の態度が大きく変わってきます。どうかこの点をよく知った上で 「文書」 をつくるようにしてみてください。


3. 「要望書」 で具体的な対処方法を要望することが、いじめ解決につながる。

 「いじめ被害経緯書」 以外に 「いじめ解決の要望書」 も大切な文書です。
 いじめがあるのは理解したけれど、「どうしていいのか分からない」 という教師もかなりの数います。
 また、できるだけ 「何もしないで終わらせよう」 という学校もあります。典型的な対応が、「昼休み、お子さんのことを見守るようにいたします」 など、ただ様子を見るだけでお茶を濁す学校があります。

 そんな学校にしっかりした対応をとってもらうためには、「何をしてほしいのか」 を明確にしてあげることが必要です。
・加害生徒から謝罪をして欲しい
・加害生徒にいじめをしないという約束をして欲しい
・加害生徒の保護者にこの事実を伝えること。
・班替え、席替え、クラス替えを行うこと
などなどの事を明確に文書にして要望することで、いじめの対応スキルのない教師であっても、一定の対応ができるようになります。

4. 学校以外の外部機関の協力をあおぐときに有効。

 文書を提出して校長等にお話しても、それでも、いじめに対処しない学校もあります。
 そのような場合は、学校以外の外部機関の協力が必要になります。外部機関としては、教育委員会、議員、警察、法務局、新聞社等のマスコミが有効です。
 相談する際には、やはり 「文書」 で示すと理解を得られやすくなります。「いじめ被害経緯書」 や 「要望書」 を見せたり、メールで送ったりすることもできます。
 「文書」 を一度作ってしまえば、何度でも使えますし、コピーも大量にできますので、外部の力を借りるためにも文書化することをお勧めします。


170716 要望書
「いじめ解決に向けての要望書」 記載例

 再度申し上げますが、手間ではありますが、文書はとても有効です。
 ちなみに、手書きであってもかまいません。
 どうか 「文書にする」 ということを頭の片隅に留めておいてください。

 文書作成のお手伝いもいたしております。
 いじめかなと思ったら、ご遠慮なくご連絡ください。お役にたてれば幸いです。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
井澤・松井


 

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[ 2017/07/16 09:23 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ (2017年7月) ◆◇ 学校に口実を与えないために ◇◆ 

170706 海と子供

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 学校に口実を与えないために ◇◆


蒸し蒸ししているのに暑いですね。はやく梅雨明けが来ないかな、待ち焦がれてしまいます。
しかし、もう7月です。夏休みは目の前に迫っています。

旅行やイベントを楽しみにしている子も多いだろうと思います。
しかし、中には、あと何日我慢したら休みになると考えながら毎日を送っている子もいるはずです。
こんな子たちに声をかけてあげていただきたいのです。
皆様の一言が、子供たちに安心感を与え、子供たちを守るはずです。

先日、いじめ相談を受けていて、感じたことがあります。
それは、保護者が無意識から、あるいは担任の先生に気遣って親切心から言った言葉が逆効果になることが多いということです。

一般的には、担任の先生にいじめを相談すれば解決してもらえます。
しかし、いじめには関わりたくないという教師も少なからずいることも事実です。
そんな教師に「いじめを解決しない口実」を与えないようにすることも保護者として気を付けたいものです。

1. 「いじめ」という言葉を使いたくない
まず、「いじめとは言いたくない」 という相談者も結構多いのです。
自分の子供がいじめられていることを認めたくないという気持ちもあるでしょうし、安易に 「いじめ」 という言葉を使いたくない方や、「いじめではなく暴力」 「いじめではなく恐喝」 等々、もっと酷いことが起きていると伝えたいという方もいらっしゃると思います。
しかし、これが 「酷い学校」 にとっては、とっても都合が良いのです。
ある相談事例では、
「お母さんからいじめられているとは伺っておりませんでしたので、特に何もしませんでした」
などといじめから逃げようとした学校もありました。
近年、不思議なことに学校は、「暴力」、「傷害」と言われるよりも 「いじめ」 と言われる方が大事 (おおごと) だと考える傾向が強くなっています。
本来、いじめよりも 「暴力」、「傷害」、「恐喝」 などの事件が起きたならば、より真剣に取り組まなくてはならないはずですが、学校の常識は逆転していて何よりも 「いじめ」 の方が重いのです。
ですから、学校に相談する時には 「いじめ」 という言葉をしっかりと使ってください。
言葉の暴力や、無視などのいじめの場合には 「人権侵害」 という言葉も使って学校と話すことが大切です。

2. 相手の子、相手の親には言わないでください
二点目、よく伺う言葉が、「相手の子には言わないでください」、「相手の親には言わないでください」 というものです。
講演の中でも、何度も繰り返し話していることですが、
「いじめには加害者がいる」
「加害者のいないいじめはありえない」
これは、当たり前のことなのです。
ですから、「相手に言わないで」 ということは、「何もしなくて良い」 と言っているのと同じと受け止められてしまうのです。
実際、「ご家族からの要望で加害者から聞き取りはしていません」 と言われてしまった事例もあります。
もしくは、「学活や道徳の時間にいじめについて話して欲しい」 という意味もあるでしょうが、これは大変、危険です。
全体指導は、「おまえ、チクったろう」 と報復、リンチ事件に発展することがあるのです。
加害者たちを個別に指導したり、叱ったりすることを飛ばして全体指導だけ行うと、いじめが止まらないことの方が多いのです。
したがって、しっかりと 「加害生徒を叱ってください」 と言うことを忘れないでください。

夏休み明けには、例年、いじめによる自殺事件が起きる傾向が明らかになっていますので、いじめは夏休み前に、解決しておく必要があります。
いじめの可能性がありましたら、前述したことを念頭に、早めに担任にご相談ください。

私たちもいじめ相談を承っています。
気になることがありましたら、ご遠慮無くご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
http://ameblo.jp/kzizawa/
Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawa
Twitter: @kzizawa

 

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[ 2017/07/06 12:00 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

☆★ 子供たちの範たれ ★☆ 

170702 文科省

☆★ 子供たちの範たれ ★☆

 7月に入り、期末テストもまもなくはじまります。

 先日、「教科書検定や採択で不正行為があったら…検定不合格に」 という見出しのニュースが流れました。
 6月26日、文部科学省は、教科書採択の不正に対して、厳しく臨む姿勢を明らかにしたのです。
 報道によると、「教科書検定規則」 を改正し、検定中に不正が発覚した場合は、その教科書は不合格とすること、また、合格後の不正については、既に採択してしまっている学校が発生することをかんがみて、次回の申請で不合格とすること、という内容を盛り込む方向とのことです。
 現在、パブリックコメントを受け付けており、8月に正式決定します。

 きっかけとなった事件は、2015年の教科書の採択時期に起きました。
 本来、検定の対象になっている教科書を、外部の者に閲覧・流出させる行為は禁じられているのですが、教科書会社が検定申請中の教科書を、学校の先生方に閲覧させ、意見を聞いた謝礼としてお金や図書カードなどを渡していたことが大きな問題となったのです。

 不正発覚を受けて、文科省は教科書会社に自主報告をさせたところ、教科書会社22社のうち12社 (2009年~2014年) が不正に閲覧させ、10社が謝礼を渡していたことが判明したものです。
 ちなみに、閲覧した教師は全国で5,147人、謝礼を受け取った教師3,996人。
 ある社は、2,245人の教員に対して、総額約2,250万円の金品を渡していたというものです。

 教科書を採択してもらえるかどうかで売上が大きく変わってしまうわけですから、会社としては必死で 「営業活動」 を行い 「接待」 していたのでしょう。
 当然ながら、謝礼を受け取る教員の側にも 「罪悪感」 はなかったであろうことが推測されます。
 結局、この不正は 「業界内の常識」 だったと言えます。

 規則には、罰則もありませんでしたので、世論の反応も踏まえて、今年、改めて 「罰則」 が盛り込まれようとしています。
 「罰則がないからなにをやっても構わない」 という考え方は変えていくべきです。

 いじめ問題においても、自殺した子がいじめを訴えていたのに、いじめを止めなかった教師がいます。
 教科書不正問題においてペナルティが検討されているように、「いじめ防止対策推進法」 にも 「いじめを隠蔽したら懲戒にする」 という罰則規定が必要な時にきています。
 文科省も身内の教師には甘いと言われないように、隠蔽教師に厳しい姿勢を示して欲しいものです。

 ともあれ、「慣習」、「常識」 という言葉でおおい隠されていた悪しき慣習や事実が、
少しずつ明らかなる時代がきているようにも感じます。

 子供たちに関わる保護者、教師、教育に関係する会社や団体、官公庁、一言で言うと大人たちこそが、子供たちに対して 「恥ずかしくない行動」 を常に意識しなければなりません。
 いじめ問題でも 「いじめはなかった」 と言っていた教育委員会や校長が、「実はいじめがありました」 と頭を下げている姿が映し出されるテレビ画面をよく目にします。
 子供たちに 「嘘をつくのは悪いことだ」 と教えているはずの教師が、嘘をつき、しかもその嘘がばれる。 これは恥ずかしいことです。
 教科書の不正問題も同じです。
 子供に関わっている大人であるからこそ、私たちは 「子供たちの範たれ」 と常に自らに問い続けなければならないと思います。

 昨日も、「学校には相談しにくいんです」 とお話されていたお母さんがいらっしゃいました。
 何か不安に感じたり、わからないことなどありましたら、ご遠慮無く、ご相談ください。
お電話、メールお待ちしております。

いじめから子供を守ろう ネットワーク  
井澤・松井


 

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[ 2017/07/02 11:07 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)