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◆◇ 学校組織のマインドセットを変えよう ◇◆ 

181228 さざんか

◆◇ 学校組織のマインドセットを変えよう ◇◆

 「いじめは解決されにくい」 ということを、日本人社会や学校組織という観点から考えてみたいと思います。

 かつてテレビの「水戸黄門」は国民的時代劇と言われ、日本人の間で長く親しまれてきました。
 農民や町人たちに対して、旅のご隠居様一行という第三者的立場でお話をじっくり聞き、その悲しみや苦しみに寄り添い、共感する。その後、黄門様チームが密かにリサーチし真実を明らかにします。そして、最後には、正義の鉄槌がふりおろされます。悪代官や悪徳商人たちを、天下の副将軍水戸黄門さまの権威のもとでこらしめ、時には改心させるのです。
 毎週この勧善懲悪のテレビを見て、日常生活のストレスを解消していた人は多かったことでしょう。

 最近の人気ドラマ「下町ロケット」でも、一部似ているように思います。
 もちろん主題はモノづくりへの情熱、夢への挑戦なのですが、視聴率と満足度が高いことから察するに、大企業と下請け、上司と部下、競合他社や銀行との兼ね合い、上から受けるストレスフルな人間関係模様に、「ある、ある、わかる」と共感すると共に、あざやかな逆転劇に胸のつかえがおりるような感じを味わっているのだと思います。

 日本人社会では、上司と部下との間で軋轢が生じた場合、部下が救済されることは少ないのです。うつ病で倒れるのは大方が部下の方です。最近でこそパワハラ、セクハラという言葉が周知されるようになりましたが、それまでは、民間企業では“相性”という美名にくるまれ、配置転換されるまで、忍耐という美徳の名の元に放置されるのが実情でした。
 大手の上場企業以外では、いったん「長」という立場を得た上の人たちに対して、浄化作用が働くことは考えられませんでしたし、部下を大切な人的資源として考えて活かしていこうとする人材マネジメント機能はほとんどみられませんでした。日本的ピラミッド型組織がまねく弊害です。(最近はIT産業等でチーム型提案型組織も生まれている。)

 では、学校という、古くからあるピラミッド組織ではどうでしょうか。
私は学校現場に足場を置いて、さまざまな人間関係を見てきました。
 誤解を恐れずに言えば、教育、教職員という職域は、感情のふり幅を伴うストレス空間なのです。

 もともとは不登校やひきこもり、いじめの相談など心のケアのために採用されたのがスクールカウンセラーでした。
 しかし、スクールカウンセラーの相手は生徒だけではなく教師からの相談も後をたちません。
悩む教員たちが、わらをもすがる思いで「ここだけの秘密」と、上司との軋轢や教師間の人間関係を相談してくるのです。
 実は相談している教員も「解決する」とは思っていません。ただ、愚痴や不満を聞いてもらいたいだけなのです。その都度「心が救われた」と感謝を述べて、また教育現場に戻っていかれます。

 このような悩み相談に対してカウンセラーは「リフレーミング」を提案します。つまり、物事の見方の枠組みを少し変えてみましょう、と提言するのです。
 例えば、「たしかにパワハラ校長ですね。他の教員などがいる人前で繰り返し、繰り返し、怒鳴る、叱責する、真っ赤な顔で怒る、その時々で言うことが異なる。その校長先生は、きっと体育会系で熱くて、仕事に真面目で少しでも厳格な仕事をしたいからではないかしら。相手の立場にたって見方を変えるといいかも」と。

 しかし、カウンセラーさん方の努力もむなしく、統計の数字が物語っているように「うつ病」など精神疾患で休職する教員は後をたちません。
 やはり、最悪のことが起きない限り、「長」がつく人の行動変容を促すことは困難です。パワハラ裁判に訴えるなどの事例も生じています。
 先のパワハラ校長の事例は、人事権がある教育委員会の部署では解決できず、地方自治体への申請を経由して、横からのアプローチの結果、改善されました。パワハラ校長の多くは、手腕のある校長と教委からは認識されていることが多い為です。
 このような校長の指揮下では、実際のところ、教員のトラブルも、いじめ問題も解決されません。部下からの信望が無いうえ、調整能力なき校長のもとでは何も解決されないのです。先生たちは叱られないよう萎縮してミスが無いよう、何もしないだけでした。

 ここで一般論として、まとめてみましょう。
 第一の問題は、日本のカウンセラーは、欧米と異なり、主に医療系、病院等のニーズで求められ育ってきました。ですから、弱った人へのケアはとても得意ですが、攻撃的な人への対処のスキルはつたなく、ほとんど効果を有していません。
 しかも非常勤という不安定な立場が多く、学校組織内では全く権限がありません。不安や苦痛には寄りそってくれるけれども、「いじめの解決をしてくれる人ではない」のです。このことを、相談する側の保護者の皆さんには知っておいていただきたいと思います。
 心のケアで「リフレーミング」を教えるのは、まだ傷の浅い場合や予防段階こそ効果があります。既に起こった深刻ないじめ問題では、「泣き寝入りしろ」と被害者に言っているのと変わらないことになります。それは、小中学生の子どもには、とても耐えられないことです。

 第二の問題は、校長への、管理職教育が不足していることです。
 組織経営理論、リーダシップ論からアンガーマネジメントなどのスキル教育が必要なのですが、現存のシステムでは全く足りていません。尊い年月を経て「経験知」を経た、人格も優れた校長先生がいる一方で、パワハラ校長も野放しにされています。
 これは日本社会に、組織マネジメントいう合理的精神が欠けているからです。管理職への再教育プログラムが不可欠であろうと思います。

 第三の問題は、水戸黄門様は、日常生活の中でこそ必要であって、村人たちや町人たちが自殺してしまった後では手遅れだということです。水戸黄門様チームはどうあるべきなのか再考する必要があります。
 教育界における水戸黄門チーム、つまりいじめ対策委員会などは、将軍様の直属として、権威と実行力に担保された組織にするべきだと思います。

 第四の問題は、マスコミの従来前としたワンパターンの報道です。
 マスコミでは第三者委員会の発表をしばしば取り上げます。真実を知りたいという被害者遺族の心情に寄り添う姿はとても大切ですが、いじめに苦しむ子どもを死なせないためにはどうしたら良いか、という根源的な問題に関しても、切り込んでほしいと思います。

 改めて、大人の時間と子どもの時間が、大きく異なることを理解していただきたいと思います。公害裁判や冤罪裁判のように、20年も30年も待つことなどできません。
 いま苦しんでいる子どもがいます。すぐに判断し行動し、解決すること、これを周囲の大人たちが心と力を合わせて行うことです。

 私の周囲には、パワハラ校長に反して、いじめを解決に導き、子どもを助けたのち、配置転換を余儀なくされた教諭、そして勇気ある行動の後、次年度、契約更新されなかった親友のスクールカウンセラーがいます。たしかに日本型組織では、許されないことでしょう。
 しかし、彼らは、自分の立場よりも、子どもの人権や生命を大切に思ったからこそ行動したのです。そこに自己犠牲の精神があります。人を人として存在せしめている尊い精神です。

 組織論として、いじめを解決した人を評価する学校組織にチェンジさせていくこと、少なくとも学校組織のマインドセットを変えていくことを心から願ってやみません。
 子供達は教師の背中を見て育っていくのです。

前・名古屋市教育委員会 子ども応援委員 スクールソーシャルワーカー
現・福祉系大学講師  堀田利恵  (ペンネーム 村崎京子)


 

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[ 2018/12/28 21:15 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

☆★ 大人の責任 ★☆ 

☆★ 大人の責任 ★☆

181220 書籍「わたしのせいじゃない」 絵本 「わたしのせいじゃない-せきにんについて-」(岩崎書店) は、いじめの本質に迫る良書である。スウェーデンの作家レイフ・クリスチャンソンらによるこの作品は世界中でロングセラーとなっている。
 教室で泣くひとりの男の子をめぐって、周囲の人間が「わたしのせいじゃない」と自分が悪くないことを主張する。ページを繰るたびに、明らかな加害者から傍観者までが自分を正当化する姿が描かれる。作者は、その姿を通して、いじめの本質に迫っていく。

 スウェーデンでいじめ防止に取り組むNGOに「FRIENDS」がある。FRIENDSでは、いじめを解決する責任は大人にあると考える。しかし大人にはいじめが起こったことを知ることは難しい。そこで子供にはいじめの事実を大人に知らせる責任があると教える。
 この考え方は実に有効である。子供が大人にいじめを知らせないのは、報復を恐れる気持ちもあるが、言っても無駄だという考えがあるからである。しかし無駄かどうかにかかわらず、解決の責任は大人にある。子供は子供自身の責任として大人に知らせる。

 いじめ自殺などの悲しい出来事があったときに、大人はなぜ気が付かなかったのだと責められることも多い。しかし遊びに偽装されたり巧妙に陰で行われたり、ネット上で行われたりするいじめを発見することは大人にとって簡単なことではない。

 知らせる責任は子供に。
 解決する責任は大人に。

 もしも、この考えが広がったなら、絵本「わたしのせいじゃない」の登場人物のセリフは、「わたしのせいです。大人にすぐに知らせなかったから」に変わるだろう。
 では、大人自身はどう変わらなければならないのだろうか。
いじめが起きたときに誰かの責任を追及することは簡単なことである。しかし自分自身に何が出来るかを問い続けることは簡単なことではない。
 たとえ今出来ることが見つからなくても、出来ることが何かを問い続ける。
 その姿こそが子供に対する教育となる。
『やってくるこの毎日が人生だと知っていたら!』というスウェーデンのことわざがある。日々の暮らしの中で、大人が果たすべき責任を忘れてはいけない

 守矢 光児


 

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[ 2018/12/20 07:07 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

千葉県流山市で 「いじめから子供を守ろう」 勉強会を開催! 【いじめから子供を守ろうネットワーク 流山】 

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千葉県流山市で
「いじめから子供を守ろう」 勉強会を開催!

【いじめから子供を守ろう ネットワーク 流山】


 12月9日(日)、千葉県流山市で、「いじめから子供を守ろう」 勉強会を開催いたしました。(於: 流山市おおたかの森センター 主催: いじめから子供を守ろうネットワーク 流山)。

181214 181209流山勉強会1

 「いじめから子供を守ろうネットワーク 流山」 の古山隆夫代表、井澤一明 (いじめから子供を守ろうネットワーク) 代表が、いじめの解決方法等お話しさせていただきました。

 質問もたくさんいただきましたが、親として学校に子供を通わせてはいても学校の対応に不安を感じられている方が多いように感じました。

 お帰りの際に、「こんなセミナーなら、もっと沢山の人に聞いてもらいたかった」 と言ってくださった方がいらしたので、大変にうれしく感じると共に、さらに一歩すすめていかねばと思います。
 
 皆さま、ありがとうございました。


181214 181209流山勉強会2
【写真】 いじめから子供を守ろうネットワーク流山の古山隆夫代表

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【写真】 質問に答える 古山隆夫代表(左)、井澤一明代表(右)

 

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[ 2018/12/14 21:37 ] 活動報告&集い | TB(0) | コメント(0)

☆ 代表メッセージ (2018年12月) ☆★ 不登校に対応した制度改革を ☆★ 

181206 いちょう

☆ 代表メッセージ ☆
★☆ 不登校に対応した制度改革を ☆★


12月、例年に比べて温かい気がします。
家の周りではイチョウの葉がやっと色づいてきましたが、季節は秋ではなくて冬ですよね。

さて、現代の学校の抱える問題を、新聞等の記事から拾ってみると、いじめ、不登校、虐待、発達障害、体罰、教師によるセクハラ、教師の長時間労働などが目に付きます。

少し前になりますが、以前相談を受けた子が東京に来ているというので会いに出掛けました。
大学生になったその子に加えて、一緒に来ていた大学生の友人が二人。
その同級生の一人は、高校まで不登校だったと話していました。
「不登校の間、自分でもどうなるんだろうって、とても不安だった。
布団から出ようと思っても、起きるのが辛くて、寝てるだけだったなぁ。
でも、自殺したら 『十倍苦しくなるんだ』 って親が言うから、絶対に死なないって決めてた」
「よく出てきたね。何かあった?」
「よくわかんない。なぜかわからないけど、気がついたら動けるようになってた」

私たちのところにはいじめ以外にも不登校の相談も入ってきますが、不登校の相談は本当に難しいと感じています。
私の年代の頭の中には、
「学校にはいかなければならない。不登校は悪いことだ」
「学校に行かなければ勉強もできない。働くこともできない」
という先入観が染み付いています。
だから 「学校に通えるようにしてあげたい」 と思ってしまいがちです。
しかし、そう簡単には解決しないというのが現状です。
何より学校にいけなくなった原因を本人がわからないことが多いのです。

いじめによって不登校になっている子たちは、ある意味で原因がわかっていますから、加害者の子が謝罪したり、加害者の子が学校からいなくなったり、自分が転校したり、先生たちが守ってくれて安全な空間が生まれたりすることで学校に戻ることができるようになることもよくあります。
つまり、「いじめられなくなる」ことが確信できたら復帰できるのです。

いじめや友達関係以外にも不登校になる原因は様々です。
相談事例から拾ってみますと
・クラスに溶け込めない。
・いじめられている子を見たくない。
・担任と合わない。
・海外の学校の方が良かった。戻りたい。
・親がうるさい。
・長期間休んだので、戻るのが恥ずかしい。
・勉強がまったくわからない。行くだけ無駄。
・学校が荒れていて、クラスが学級崩壊している。
等々、多種多様な理由を抱えています。

中には、相談電話を受けて次の日から学校に行けるようになったという事例もありますが、あくまでも特例ですし、奇跡レベルです。
特に、原因が不明の場合は、得てして長期戦になりやすいと感じています。
また、いじめが原因であっても、すでに不登校状態が何年も続いているような場合などは、簡単には解決しないものです。

ただ言えることは、その子たちにとって 「学校は行きたくない場所」 ということです。
「学校は怖い」
「私のことなんて誰もわからないんだ」、
このような気持ちを抱えて一人で苦しんでいる子供たちが多いのです。
不登校と向き合う時、私たち大人は、「学校は楽しくない」 という気持ち理解してあげること、ここが出発点なのではないかと思っています。

今年、公表された不登校の児童生徒は14万4,031人、小学生が3万5,032人、中学生が10万8,999人となっています。
不登校の子を抱えている保護者も苦しんでいますが、多くの教師たちも苦しんでいます。
心ある人ほど苦しんでしまうのです。

対策もさまざまに議論されています。
私たちとしては、「学校に行かなくても良い」 と考えています。
しかし、社会に出てから困らないだけの基礎的知識をつけてあげることは、保護者の役割だと思っています。
そのためには、通信制の学校を選択することも必要ですし、渡部昇一先生が生前提唱されていたように 「塾を学校と認める」 ことや、さらには、ホームスクールでの学習を認定するという方向、つまり 「学校でなくても学習できる」 という制度改革が必要だと考えています。

ただ、根本には子供自身の意欲がなければ、何をやっても無意味だとも言えます。
ですから、自主独立の精神、自立する心、挑戦する勇気、強い精神力、感情をコントーロールする力などなど、日頃から気にかけて、本人が成長する方向でサポートしていく必要があると思っています。

12月、これから、クリスマスもありますし、冬休みもあります。そしてお正月も間もなくです。
子供たちにとってはうれしい日が続きます。
そんな中、落ち込んでいる子もいると思います。
ぜひ、お話を聴く時間をとってあげて下さい。
なにかご不安なことがありましたら、ご遠慮無くご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
http://ameblo.jp/kzizawa/
Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawa
Twitter: @kzizawa


 

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[ 2018/12/06 21:57 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)