「自分以下を求める心」の克服
― 子供を「いじめっ子」や「傍観者」にしないために ― かつて高校に勤務しながら、教育学者の髙橋史朗先生の下で学ばせていただいたことがありました。当事、髙橋先生は明星大学の教授でいらっしゃいました(現在は麗澤大学教授)。
私は、戦後の歴史教育の今日に至るまでの影響と、その問題点を明らかにし、あるべき歴史教育の姿をについて研究していました。不肖の学徒でしたが。
併せて、髙橋先生には「いじめ」や「不登校」に関することもご指導いただきました。その中で「自分以下を求める心」という言葉を聞きました。それは、「いじめ」をする心とはどのような心であるか、との問いかけに対する答えでした。
他者との比較や競争に心が支配されておらず、自己の重要感や価値を自覚していれば、他の人を「いじめる」気持ちは起きないと思います。私も、自分自身を振り返ってみると「自分以下を求める」ことはありました。しかし、「求め」ても自分の下には誰もいないということがしばしばでしたが(笑)。
「自分以下を求める心」は、自己信頼(自信)がない、つまり、自分の素晴らしさや良さを把握していないことから芽生えてくるのだと思います。そうしますと、「自信をつける」、「自分の良さを把握する」、そのためにはどうしたらよいか、ということになります。
これが難しいところです。
第1には、親を中心とする大人の支え、言いかえますと、「受容」と時に「愛情に裏打ちされた厳しさ」(これも高橋先生から教わりました)が必要です。中には、保護者の方が子供を受け入れることができない家庭もあります。その場合は、教師をはじめ周りの大人の関わり方が大切です。「受容」の中には、子供に関心を持ち長所を見つけ褒めることが含まれます。褒め言葉は長く子供の心に残り支えになるものです。
第2には、子供自身の問題ですが、努力の姿勢を身につけることです。勉強やスポーツ・文化的活動で努力をし、少しでも成果を挙げられるようになることです。特に勉強は、努力の成果が表れやすいものです。
第3には、子供の心を感動で揺さぶることだと思います。筑波大学名誉教授の村上和雄先生風に言えば「遺伝子をONにする」ということです。そのツールとしては、日本の誇れる話、先人や現代に生きる人の立派な志や行動・生きざまを紹介し、感動を与えることです。今の若者はそういう話を求めていると思います。人間のすばらしさに感動し、「自分もあのようになりたい」と思うのではないでしょうか。現在、小中学校で熱心に道徳教育が行われていますが、戦後教育では特に戦前、戦中のことはほとんど学校で語られることはないと思います。「自虐史観教育」の弊害の現れです。勇ましい武勲の話や、戦前戦中に関わらず、その時代その時代に「世のため人のため」に尽力した数多くの偉人たちの話は、感動を呼びます。そのような事実を知ることが、自分の生き方を考える上での良き教材になると思います。
また、「アメリカにおいて1974年から2000年の間に発生した校内銃乱射事件37件(犯人41人)に対する連邦教育省の調査では、41人中31人(75%)がいじめ、脅迫、暴行などを受けたことがあると答えた」(矢部武『間違いだらけの「いじめ」対策』)としています。
このように、「いじめ」は被害者の心を破壊し、その怒りが外に向けられれば上記のような加害を行い、内に向けられれば自ら命を絶つことにもつながりかねません。被害者も加害者も傍観者も、誰をも幸せにしない「いじめ」から離れることが大切です。
花々の美しさは様々であり、それぞれの個性を生かして咲いているかのようです。その違いや多様性は豊かさの現れです。人も各自の個性の花を咲かせている姿こそが豊かさの現れです。
お互いに「自分以下を求める心」の克服を心掛けていきましょう。
元公立高校 校長 清川 洋

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◆◇ 絵に描いたような「いじめ隠蔽」 ◇◆ 今週から夏休みに入る学校も多いかと思います。
1学期を振り返ると、実に多くのいじめ事件が報道されました。
6月、7月の目についた報道だけでも、
・ 6月12日、大阪府吹田市で、市立小5年の女児が、1、2年生の時、足首骨折、心因性の視力障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になっていたことで、第三者委員会がいじめを認定。
女児はアンケートで「いじめられている」と訴えていましたが、学校は約1年半にわたって放置していたことが判明。
・ 6月14日、大阪府泉佐野市で、今年1月、飛び降り自殺した、市立中2の女子について、市教育委員会が、いじめを認める調査結果を公表。
学校が昨年10月に実施したアンケートでは、いじめを把握できていなかったとのことです。
・ 6月17日、兵庫県尼崎市で、2017年、市立中2の女子が自殺した問題で、生徒の母親が、市に慰謝料など約7900万円を求めて神戸地裁尼崎支部に提訴。学校がいじめに対する適切な対応を怠ったと訴えています。
今年3月、第三者委員会は、「ブタ」「死ね」等の悪口を言われるなどのいじめを認め、自殺に影響したとの報告書を公表。いじめを示唆する女子生徒のアンケートを、担任教諭が放置したことも明らかになりました。
・ 6月18日、大阪市で、2016年、市立中1年だった女子生徒が不登校になった問題で、第三者委員会は、たたいたり蹴ったりした同級生らの行為をいじめと認定。
当時の学校や市教委が、いじめと認識せず、適切な対応を欠いたと指摘しました。
・ 6月19日、大阪府八尾市の市立小6年の女児が不登校になっている問題で、第三者委員会が、いじめが原因と認定しました。
女児は、男児から「デブ」「ブス」等言われ、暴力を受け左手小指骨折等し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断。
担任は、相談を受け男児を注意しましたが、悪口はいじめと認めず、学校も暴力行為は校外でのけんかだとしており、さらに担任は、悪口や暴力に対応した内容の記録を、廃棄していました。
・ 7月3日、岐阜市の中3男子生徒が、「自分が死ねば、いじめた側はどうなるだろう」という趣旨のメモを残して転落死。
担任は、5月31日、給食時のトラブル、持ち物を隠す等のいじめ内容を記したメモをクラスメートから受け取りましたが、名前があがっていた同級生2人に指導して、解決したとして、メモをシュレッダーで廃棄。いじめ防止対策推進法が義務付ける、学校(管理職)への通報もしていませんでした。
死亡後、「ビンタする」、「蹴る」、「つばをかける」、「口に含んだジュースを吹きかける」、「トイレで土下座」、「金銭要求」等々、凄惨ないじめを受けていたとの情報が次々と学校に寄せられました。
男子生徒は中学1年の頃からいじめを受けているとアンケートで答えていましたが、学校側は組織的ないじめ対策を行っていませんでした。
・ 7月9日、仙台市内で昨年11月、市立小2年の女児と母親が、いじめを苦に無理心中した事件で、学校側が、女児の欠席日数を、年間30日から28日に訂正していたことが明らかになりました。
いじめ防止対策推進法28条は、いじめが原因と疑われる欠席が相当期間(30日以上を目安としている)あった場合、「重大事態」として調査すべきことを定めていますが、欠席日数を28日として隠蔽したのではないかと、遺族が反発。
しかし市側は「欠席の連絡があった後、登校した日が2日間あり訂正した。誤記が原因」と説明し、女児へのいじめは「重大事態に当たらない」と結論付けたとのことです。
・ 7月17日、山口県の大島商船高専で、2016年5月に男子学生が自殺した後、寮で同室だった2年生の男子学生がいじめを受けるようになったと訴えている問題で、2017年8月に同校が同級生に聞き取ったアンケートが廃棄されていたことが明らかになりました。
同年10月に紛失が発覚。同年末から調査を始めた第三者委員会にアンケート現物は提出できず、保護者は隠蔽だと反発。学校側は、「誤って廃棄した可能性が高い」、「(第三者委員会に)アンケート内容は報告している」と説明しています。
以上、6月12日から7月17日までの1カ月余りの間に報道された、事例をいくつかあげてみました。このほかにも、いじめ事件の報道はありました。
あまりにも多く、そしてその内容に暗澹とした気持ちになります。
記者会見で教育長らが深々と頭を下げている映像も何度も目にしましたが、子供が命を絶ったり、PTSDなどの後遺症に苦しんでいる後に、頭を下げても遅すぎることは言うまでもありません。
結局、「いじめを放置した」ことによって生み出された深刻な被害の問題と、いじめが発覚した後の「学校ぐるみでの隠蔽工作」という「放置」と「隠蔽」が、いじめ問題の大きな障害となっているのです。早期に発見し、いじめを止めれば、こんな問題にはならないのです。
学校でのいじめを解決できるのは教師だけですし、いじめ対応を学校や校長に指導するのは教育委員会です。子供の自死や後遺症など、ひどい学校に行かなければこのようなことは起こらなかったと言えます。
埼玉県の川口市では、いじめで不登校になった元生徒が、市を訴えた訴訟の中で、市教育委員会が、いじめの対応について、県教育委員会や文部科学省から55回も指導されていたこと、さらに市教委や校長は、3回も文科省に呼び出されて直接指導されたのに、是正しなかったことが明らかにされました。(7月18日付朝日新聞)
こんなとんでもない市教委や学校は減りつつあり、ここ数年、学校のいじめに対する姿勢も変わろうとしています。
しかし、いじめから目をそむけ、逃げる教師や学校がまだまだあるのです。
もはや、教師や教育委員会の善意だけを信じることも限界ではないでしょうか。
子供をいじめから救い守るためには、いじめ防止対策推進法に、「いじめ放置、いじめ隠蔽等の教師は懲戒する」と定めるなど、もう一歩、抑止力ある施策が必要です。
いじめの早期解決に向けて、ご相談を受けています。
お子さんのことでご心配なことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子

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茨城県の小学校PTAで井澤代表が講演
「親子でできるいじめ対処法」 7月10日(水)、茨城県内の公立小学校PTAにお招きいただき、井澤一明(いじめから子供を守ろうネットワーク)代表が、PTAの保護者の方々(お母様たち)に、「親子でできるいじめ対処法」と題して、お話をさせていただきました。

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◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 夏休み、ネット依存に注意 ◇◆7月に入ったばかりですが、豪雨の被害が出ています。
子供たちも夏休みを目前につらい経験をしている子も多いと思います。
無事に夏休みを迎えられることを祈っております。
さて、夏休みを目前にして、いじめが解決しないで困っている子たちもいます。
先日いただいた中学生のお母さんからのご相談は、担任の対応に困っているという内容でした。
本人は、「部活を続けたいから、学校は休まない」と譲らないので余計に困っているとのこと。
担任に何度も相談しても「注意しました」だけで、いじめがやまないので、ご両親は、そろって、校長に直談判に出向きました。
校長から「ひどいいじめですね。学校で責任を持って対処します」というお言葉をいただきました。
その次の日から、学校の対応はそれまでは全く変わって積極的になりました。加害者たちを一度に呼び出し、口裏を合わせられないような状況での聞き取り調査が行われたのです。
ここまでは、よかったのですが、その後の担任から連絡は、「加害者たちにも理由があったので、お子さんと加害者たちとの話し合いを明日させたい」というものでした。
よくよく話を聞くと、この学校の教師たちは加害者たちから話を聞くだけで、叱ってもいませんでした。
「話し合い」は危険です。私たちの相談の事案では、話し合いの後、被害者が不登校になる割合は、9割近いものがあります。私たちは、相談してくる方には「話し合いは拒否してください。危険です」とお話ししているのが現状です。
まだ、「話し合いで解決できる」とか、「加害者にも言い分がある」とか言い出す教師がいます。
「理由があってもいじめは許されないこと」、さらには「いじめ被害者に寄り添う姿勢が基本」、それがいじめ対策推進法の精神です。こんなことも理解していない教師がまだまだいるのです。
加害者の言い訳をうのみにする前に、被害者の子に寄り添い、話を聞くことが優先されなければならないのです。
結局、ご両親は、再度、校長に話をしに学校に行かなくてはなりませんでした。幸いにして校長先生はいじめについてよく理解しており、学年主任、担任を指導してはくれました。
ただしかし、教師は、本人や保護者の訴えがあったら即座に対応しなくてはならないと知っておいて欲しいものです。
さて、夏休み前にいじめ問題は解決しておくことが大切です。そのためにも早めにご相談いただきたいと思います。
夏休みに入るに際して気になることがあります。
今週、「小4~6の3.6%、ネット依存深刻 弘前大学センターが弘前市内の小中学校調査」というニュースが「東奥日報」から流れてきました。
ニュースによると、「使用時間を自分でコントロールできない」などの問題がある小学4~6年生は全体の13.0%いて、特に3.6%は依存度が高いという結果がでたとのことです。
さらに、中学校では15.8%が「不適切使用者」、7.1%が「依存的使用者」という数字がでています。
夏休みは、「いじめ」が少なくなりますが、ネットについては、自由な時間がある分、リスクは高くなると言えます。
保護者としては、お子さんの「ネット依存」について気にかけていただきたいと思います。
繰り返しますが、いじめについては夏休み前に解決しておきたいものです。
なにかお困りのことがあれば、ご遠慮なくご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
井澤一明ブログ: http://ameblo.jp/kzizawa/Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawaTwitter: @kzizawa

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