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◆◇ お弁当メンバー ◇◆ 

200428 緑 葉

◆◇ お弁当メンバー ◇◆
 
 かつて、勤務していた高校で1年生女子のトラブルがありました。

 その日は秋の文化祭の当日で、学校の一般公開日でした。1人の女子生徒の母親とその知人が、学校を訪れました。仰ることには「この子たちを呼んでこい」とのことでした。
 私は困りました。聞けば、娘さんが、ある女子のグループからいじめられているということでした。
 保護者が学校に怒鳴り込んでくるからには、よほどの事だろうと思いました。すぐに、被害生徒を呼び、お母様たちの前で事情を聞きました。

 直接聞くと、入学後間も無く「仲良し」グループができ、当初は仲良くしていたと言います。昼休みには机をくっつけて一緒にお弁当を食べる「お弁当メンバー(弁メン)」でした。
 ところがある時から、なぜかメンバーから無視されて、仲間外れ、つまり、お昼の仲間に入れない、移動教室で一人だけ置いて行かれる等が始まり、さらには、その名前を挙げずに、聞こえよがしに被害生徒の悪口を言い合うなどの“いじめ”行為を受けるようになったとのことでした。

 当時、私は教頭でした。担任の先生もいじめに気付いていないようなので、呼んで、一緒に本人からの事情を聴いてもらいました。学年の先生たちに、他の「弁メン」からの事情聴取をお願いしました。
 ところがあいにくその日は文化祭の一般公開日であったため、担任の先生をはじめほとんどの教員が動きまわっている状態で、事情聴取が進みません。
 さらに困ったことに、その間に、被害生徒の保護者たちが、「弁メン」の生徒たちを懲らしめようと、一般公開されている校内を探し回ろうとしはじめてしまいました。私はそれを止めるのに大変苦労しました。

 その後、個々の事情聴取の内容が徐々に入ってきました。
 他の「弁メン」が被害生徒を無視するようになったきっかけは、ある時、本人が他クラスの教室で別グループとお弁当を食べていたからでした。「裏切った」という受け止め方をしたようです。些細なことですが、それがきっかけとなって、つらい日々が始まったのです。

 私は校長に報告し、教頭の私が個別に、被害生徒を含む「弁メン」全員に話をすることにしました。(業界用語では「指導」と言います)
 加害生徒たちには、無視などの行為が“いじめ”であることを認識させました。また、逆恨みをしないこと、これまでのような対応をしないこと、報復をしないことなどを確認し、その場で「反省文」を書かせました。
 救いだったのは、5人のメンバーの生徒たちは、みな素直であったことです。今後はよければ、元のように仲良くしたいと言ってくれました。

 その様子を、娘さんとお母さんたちに伝えました。そして、担任が間に入り、被害生徒と「弁メン」たちを会わせました。
 加害生徒たちは謝罪し、「ごめんね」、「また仲よくしよう」と言っていました。本人も喜んでいたように思います。

 お母さんも安心したようで、その後、私たちにお礼を述べてくれました。
 お母さんたちが帰られる時、私がお見送りしていると、問題となったグループの「弁メン」メンバーが駆けつけて、笑顔で手を振っていました。ご一家もそれに笑顔で応えていました。
 もう時刻は午後7時を過ぎていました。その日は、朝からこの件の対応にすべての時間を費やしました。
 「弁メン」グループの保護者の方にも、連絡を入れ事情説明をしておきました。
 表面的な仲直りではないか、との心配もありましたので、その後も担任が注意深く見守っていましたが、担任の目から見てもその後は問題はないという報告が届いて安心しました。

 今年は、学校生活が始まらない学校が大半ですが、新入生は当初、「友達ができるだろうか」、「仲間外れにならないだろうか」という不安を抱いています。
 生徒たちは周囲をうかがいながら、同調し行動を共にするようになります。その内心は「自分だけ浮いてしまわないだろうか」という不安でいっぱい。
 社会学者の宮台真司氏はこれを「寂しさ地獄」と呼んでいましたが、入学してしばらくは、教員が意識しておく必要のあることだと思います。

 「弁メン」もこのような心理状態で形成され、その中の影響力のある子供の「声」に周囲が同調し、グループへの帰属を確認し安心しようとする心理があるのだと感じました。その関係が崩れると攻撃対象とされてしまうことがあります。
 新入生の保護者の皆様には、新しい友達関係にも心配りをお願いしたいと思います。

元公立高校校長 清川 洋


 

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[ 2020/04/28 13:37 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ (2020年4月) ◆◇ 子供たちに学びのチャンスを ◇◆ 

200417 菜の花と虹

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 子供たちに学びのチャンスを ◇◆


長い長い春休みが続いている学校が数多くあります。
いじめの相談もかなり少なくなっています。
そのような中でもいじめ関連のニュースはいくつか出ています。

京都新聞によると、滋賀県の立命館守山中の元男子生徒(15)が、中1の時にいじめで不登校になり、学校が第三者委員会を設置する方針であることが13日わかったと報道されています。
今春、生徒はすでに卒業しています。対応が遅すぎたと言えます。
当時、保護者が、教師に相談したが状況は改善せず、中1の2学期から不登校になってしまいました。
保護者がその後、学年主任に対し、いじめに対応するよう申し出ると「調べてみます」と返答されたが、何も変わらずに調査結果も知らされることはなかったとのこと。
結局、保護者が昨年、中3の6月に、滋賀県総務課に相談し、学校は、県から相談記録の交付を受けた後、12月に保護者に第三者委員会を立ち上げることになったことを伝えています。
公立の学校では、「教育委員会」という組織が上位にあり、学校が対応してくれない場合に教育委員会に相談するという道があります。
しかし、私立の学校の場合、都道府県の私学の担当部署に相談しても、ほとんど何もしてくれないことが多いというのが現状です。
私学では「生徒のことよりも学校の評判の方が大事だ、隠蔽しよう」と考える学校が多く、そのことを正せる仕組みも脆弱です。
今回のケースのように県の総務課が動いてくれるケースの方が珍しいといえる程です。
私学のいじめ問題への対応では、対処が適切で早期に解決する学校と、泣き寝入りせざるを得ないような隠蔽工作をする学校の両極端の対応になるケースが跡を絶ちません。
先生方には教師としての自覚と誇りをもって、いじめを隠蔽せずに、いじめ等の諸問題に、積極的に取り組むことによって子供たちを守っていただくようにお願いしたいと思います。

先生方に頑張っていただきたいところですが、現在、休校が続いている学校が6割にも登っています。
4月13日 のNHKの報道では、文科省が10日までにとりまとめたところ、新学期からの学校再開は全体の約4割、38%にとどまることが判明したといいます。国立30%、公立36%、私立49%しか学校を再開できません。
今後、更に新型コロナウイルスの感染が広がり緊急事態宣言をする地域が増えるとますます増えることも考えられます。
ちなみに、大学等では、国立大学90.7%、公立大学85.4%、私立大学85.2%、高等専門学校85.5%が、授業を延期しています。ほとんどということです。

新型コロナウイルスのワクチンの開発が期待されておりますが、開発までには早くても一年半程度の期間を要するとする記事も見かけます。
子供たちの将来、そしてこの子たちが大人になって社会を支えるようになる世代のことを考えると、どうしても学習環境は必要です。
このままでは大半の生徒が「不登校児童生徒」という扱いになりかねません。
日本が現在まで発展してきた大きな理由は「教育」にあります。知識教育は、教育の基礎の部分です。文科省には、国としての責任を担うことを期待したいものです。

かなり以前になりますが、「知的生活の方法」という著作で知られる渡部昇一先生が、「義務教育の到達目標に達しさえすれば塾だけでいい」と発言されていたと記憶しております。
塾での学習を、学校での履修に充当することを文科省は認めても良いのではないでしょうか。
あるいは、「高等学校卒業程度認定試験」と同様に、義務教育の修了認定試験を検討することも必要になるかもしれません。

新型コロナ対策で自粛している塾も多いと思いますので、これだけでは不足でしょう。
2016年12月に「教育機会確保法」が制定されましたが、制定前には、家庭学習、ホームスクーリングを認めるかどうかという議論がありました。最終的には、法制化になりませんでしたが、この時期ですから、家庭での学習も、同様に履修認定をするようにしてあげて欲しいものです。

またテレワークが推奨され自宅でお仕事をされている方も多くなっています。
子供たちにもテレワーク、つまり、IT学習を推進し履修を認めても良いのではないかと思うのです。大手進学塾では何年も前から遠隔授業を取り入れておりますし、YouTube等のネットを使った授業の試みをされている先生もいらっしゃいます。
この際、文科省は地上波のテレビを使って全国ネットで授業をするというのはいかがでしょう。
幸いにして、日本には学習指導要領もありますので、緊急事態においては全国一律の授業になっても許されるのではないでしょうか。

このような子供たちが学べる環境を、文科省主導で、整えて頂きたいと思いますが、現実には時間がかかると思われます。
つらい時期ではあります。このような時間を大切にして、ご家庭の中で知識的教育とともに、心の大切さ、考え方の大切さを子供たちに伝えていただきたいと思います。
学校でいじめが蔓延している現状を見れば、「こころ」の教育が足りていないのです。
50年前の私たちの年代では「人をだませても神様は見てる」とか「自分の心には嘘をつけない」、「悪いことをしたら地獄におちるぞ」などとよく叱られたものですが、このよう道徳観に底にある家族の絆の大切さ、仲良くする、うそをつかない、約束を守る、だまさない、思いやること、人を信じることなどのごくごく当たり前の価値観を取り戻すことで、いじめる心を減らすことができると考えています。

休校中の学校が多くありますが、まだまだいじめは起きています。
何か不安なことがございましたら、ご遠慮なくご相談ください。
精一杯、お答えできるように努めさせていただきます。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
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[ 2020/04/17 12:07 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

★☆ 言葉だけではない 真の「子供ファースト」を ☆★  

200404 つくし

☆ 言葉だけではない 真の「子供ファースト」を

 4月になりました。
 新年度を迎えましたが、新型コロナウィルスの影響で、学校の再開が5月の連休以降という学校も少なくありません。
 何とか1日も早く終息にむかってほしいものです。

 連日の新型肺炎関連のニュースで、いじめや教育関係の記事は小さな扱いになっていますが、そんな中、4月1日、昨年秋に発覚した神戸市での教師間暴力について、被害者の教師が教壇に復帰するとの報道がありました。

 これは神戸市の市立小学校で、複数の教員が後輩教員に暴力や暴言を続けていた事件で、被害教員に激辛カレーを無理やり食べさせて大騒ぎしている動画や、男性教員が被害者の車の上で飛びはねている動画がテレビニュースでも放送され、教員がこんなことをするのか、と世間に衝撃を与えた事件です。

 被害を受けた教員は、昨年9月から、適応障害で入院して療養していました。
 今はおおむね回復したとのことですが、元の小学校に近づくと体調が悪くなるため別の小学校に異動となり、新しい学校でクラスの担任を務めると報道されています。

 加害教員らについては、神戸市教育委員会が、2月28日、処分を発表しています。
 内訳は、男性教諭2人を懲戒免職、女性教諭を停職3カ月、男性教諭を減給10分の1(3カ月)に、また、前校長を停職3カ月、現校長を減給10分の1(3カ月)、元校長を戒告、その他、市教委教職員課の担当職員らも資料の提出漏れなどで戒告、教育次長ら3人が口頭訓戒になったと報道されています。

 兵庫県警は、3月11日、被害届が出されていた4人の加害教員を暴行罪や強要罪の疑いで書類送検しました。
 ただ、全員が懲戒処分を受け、容疑を認めていることなどから、県警は書類送検に際し、検察側に起訴を求めない「寛大処分」の意見を付けた、と報道されています。
 3月27日、神戸地方検察庁は、加害教員4名全員を不起訴(起訴猶予)にしました。理由については「市教委による懲戒処分で社会的制裁を受けていることなどを考慮した」とのことです。

 結局は、懲戒処分だけで、暴行罪や強要罪等の刑事責任は問われませんでした。
 調査委員会の報告書では被害者は他にもいて、入院した教員を含めて男女4人の20代教員が被害を受けていました。
 認定された加害行為は105項目で、懲戒免職の男性教諭の1人は加害行為89項目、もう1人は加害行為34項目のほか、女性教員への悪質なセクハラがありました。
 停職になった女性教諭は加害行為13項目と、児童への体罰まがいの行為が認定されました。減給の男性教諭は加害行為7項目のほか、校長の指導後も被害教員に報復するような言動をしていました。

 懲戒免職の場合は、法律により教員免許が失効しますが(教育職員免許法10条1項2号)、問題は、免職にならなかった教員が、また教壇に戻ってくる、ということです。
 教育委員会は、「当面は教壇には立たせない」と言っているようですが、これは、しばらくしたら教壇に立つかも知れないということです。
 一般の市民感情からは納得しがたいものもあります。

 法律では、刑事裁判で禁錮以上の刑が科せられると、教員免許が失効し(教育職員免許法10条1項1号、5条1項4号)、もう教壇には立てなくなりますが、今回は不起訴です。

 前述した女性教諭のように、他の教員に激辛カレーを無理やり食べさせるなどの暴力や暴言を繰り返し、児童に「あなたのことは嫌い」と発言したり、児童が座っていた椅子をいきなり引いて、勢いで後ろの机に頭をぶつけさせるなどしていても、停職期間が過ぎれば、教壇に立って、「先生」と呼ばれ、子供たちを指導するのです。
 今回の教師間暴力発覚後、児童1人は今も不登校の傾向が続いていると報道されています。
 教育委員会や、警察、検察の姿勢には疑問を感じます。子供の心をも傷つけた加害教師たちを教壇に立たせようとしているようにさえ見えます。

 神戸市教育委員会では、2018年にも、2016年10月の中3女子自殺事件について、教育委員会の首席指導主事が、当時の校長に、「校長、腹をくくってください」、と言って、生徒の友人への聞き取りメモの隠蔽を指示していたことが発覚し、大問題になったことが記憶に新しいことだと思います。
 教育委員会自体が校長に隠蔽を指示するなど信じられない事件でした。

 神戸市では、こども家庭センター(児童相談所)の不適切な対応も問題になりました。
 2月10日、深夜午前3時すぎ、こども家庭センターに小学6年の女児が1人で助けを求めて訪れましたが、対応した男性職員はドアもあけず、インターホンの画面越しに「警察に相談しなさい」と言って追い返していました。女児は約30分後、交番を訪れて保護され無事でしたが、あまりにも残念な対応です。

 さらに2月10日、神戸市教育委員会が、今から15年前のいじめ事件について、過去の対応に問題がなかったかを検証する第三者委員会の設置を決めたという驚くべき事実が報道されました。
 この事件は、2005~06年頃、当時、小5だった男性(現在25歳)が、7名の同級生からいじめを受けて、現金約50万円を取られるなどした事件です。
 当初から、神戸市教育委員会は一貫して、「いじめではない」と言い続けていて、その後、男性は、同級生らに対して民事訴訟を起こし、地裁でも高裁でも、いじめが認定されて勝訴したにも関わらず、市教委は、判決後も「いじめと判断できない」としてきました。
 被害者側は、2011年以降、市議会への陳情を続けてきて、ようやく16回目の陳情となった昨年11月、陳情が採択されて、市教委が第三者委の設置を固めたとのことです。
 神戸市教委も神戸市議会も、なぜ、15年間もいじめを認めなかったのか、第三者委員会での真相究明が待たれます。

 これら一連の神戸市で起きた事例は、子供の人権や子供の教育、子供の保護よりも、身内である教員の身分の保護や、教育委員会や児童相談所などの組織を防衛したいという意識の表われであるように感じます。

 神戸市だけではありません。
 他の教育委員会や学校でも、同様なことが起きています。
 新型コロナウィルス問題で揺れる今だからこそ、子供にたずさわる機関は、子供のためを1番に考える「子供ファースト」を、掛け声だけで終わらせることのないよう、姿勢を正していただきたいものです。

 いじめの相談を受け付けています。
 ご心配なことがございましたら、ご遠慮なくご連絡ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子


 

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[ 2020/04/04 13:07 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)