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☆★ 集団圧力に負けない、正しく考える力とは。 ☆★ 

201127 たなびくアメリカの星条旗

☆★ 集団圧力に負けない、    
     正しく考える力とは。☆★

 小学生や中学生の「いじめ相談」を受けていますが、子育ての相談にのることもあります。
 その中で、学校文化、いわゆる日本独特の問題につきあたることがあります。つまり、欧米では問題にならないのに、日本では問題になるということです。それは、価値観の問題でありますが、「集団圧力」という空気が支配する問題です。

 少し前のことです。
 2学期が始まってすぐ、ある公立中学生男子のお母さまから、相談がありました。息子さんは、成績優秀で英語とピアノが得意ですし、スポーツもそこそこにできる子なのですが、すこし頑固なところがあります。

 お母さまは、仕事休みの日にたまたま中学校のグラウンドの横を通りかかり、自分の息子さんが、体育大会の集団演目である、演舞というか集団ダンスの練習をしているのが目に入りました。
 そこで息子が参加してはいるのですが、手足をふる程度で、いかにもいやいや付き合っている様子で、参加しているとは言い難い姿を見たのです。そんなことをしているのは自分の息子だけだったそうです。

 指導の先生も冷たい視線を送っていますし、周囲の子も遠まきにしており、関わり合いたくない様子です。きっと何度も注意されたのでしょうが、指導にしたがわなかったのでしょう。

 「このままでは、体育の成績が悪くなり、希望の高校受験に失敗してしまう」と、お母さまは思ったそうです。
 その都市では、高校受験に内申点がかなり重要視されており、英語や数学がよい成績でも、音楽、美術、体育などの内申点が「1」だと志望校入学が難しいのです。

 本人はお母さまに、「やりたくないから」と言うだけです。
 お母さまはオロオロしてしまい、担任の先生と話をしたようですが、「中3という、この時期に信じられません。彼のやる気のなさの問題です。家庭に問題があるのでは?」と言われてしまい、泣き崩れてしまいました。

 子どもの頃に面識のあった子どもだったので、私は、下校時に偶然を装って通りがかったお母さんの友達のおばさんを演じて、本人にストレートに聞いてみました。彼は、
「だって、ソーラン節だよ。北海道の民謡ではないですか。僕は昨年の先輩たちの演舞を見て、3年になってすぐクラスで話して、まとまったから全体に提案したんだ。この地方の音楽を使った郷土愛にあふれたものにしようって。一度は話し合いで、クラス代表が集まった全体の会議でそれが決まった。でも、先生たちが嫌な顔をして。みんな先生たちの顔色をうかがって去年と同じにした。くだらないから、やりたくない。」

 なるほど、一応、理由があったわけです。
「でも、集団のダンスなら、君一人がやらないことで調和が崩れて、台無しになってしまうし、運動だと思って割り切ってやれば。」と言うと、彼は、
「中学生最後の思い出に、記念になるようなものを・・という目的で熱心に話し合ったのに、例年通りじゃあ意味がないし、意味がないってことで、僕は筋を曲げたくない。」と言い張ります。
 そこまで言うなら良いでしょう。
 先生には、彼の主張は伝わっていたようなのですが、生徒たちみんな、特に他のクラスの人達には伝っていないようでした。

 私が会った時には、彼ひとりだけで下校していましたし、カバンがいやに汚れていました。
 理由を聞いてみると、体育大会の練習がはじまってから、友人たちは彼を避けるようになり、教室では物が隠されたり、様々ないやがらせ、ハラスメントを受けているようなのです。

 彼は、「たとえ、知らないところでカバンが蹴られて白くなっていても、それを見たところで先生たちは知らん顔さ。僕は先生に逆らっているから。いじめはダメの法治主義でなく、集団圧力という人治主義なのさ。これが日本という国なのさ。」と言います。

 とても頭の良い子です。そして、“我一人行く” ある意味、見上げた根性です。このような学生はめったにいません。

 そして、ルールや手順を遵守しながら討論をかわすでもなく、長いものに巻かれろ、で先生の意向や集団の空気で決まることへの理不尽さをよく分析しました。
 彼なりに、考えに考えて出した結論なので、ダンスをやらない自由を選ぶ以上、自己責任をとらねばなりません。成績が悪くなっても仕方ありません。

 実は、彼は幼稚園から小学生まで、お父様の仕事の関係で、欧州各国で教育を受けていました。
 そのため、納得するまで討論し合いたいのです。空気が支配する、日本の学校集団文化には馴染めないのでしょう。

 しかし今回の件は、学校も本人も双方、度を越していると、私は考えました。
 私は、お母様にこのことをお伝えし、お父様と交えて話し合いをして、学校に、
「たとえどんな理由があったとしても、いじめやハラスメントは許されない。ハラスメント行為をやめるよう指導をしてほしい」
と申し入れをするようにお勧めしました。
 その結果、いじめ行為は無くなりました。

 後日、どうなったのか伺うと、体育大会が終わり、合唱大会の練習が始まり、こんどは彼の提案がクラスで通ったようで、希望のビートルズがクラスの楽曲になったそうです。

 こんどは逆に、先生から「空気読め!」というメッセージ性のある圧力がクラスにあったかもしれませんが、英国仕込みの発音アドバイスの役目をもらい、彼はクラスのセンターになりました。
 そして、音楽で成績優秀となり体育のマイナスを消し込んだようで希望の高校に合格しました。

 日本人から見たら、ただの我がままに見えるかもしれません。チームワークを乱す、悪いヤツかもしれません。
 しかし、学校は思春期の青年たちに、「なぜ、ソーラン節なのか」を少なくとも説得力を持って説明する責任はあったでしょう。
 また、民主主義はさまざまな意見を大切にします。反対意見の相手の人権も守る、という観点からみたら、この事案は特にアフターフォローも必要でした。

 さらに大きな視点では、「人権」を守る、ということが、「法治主義のもとでの民主主義でなければ、守られないのだ」、という永遠性のある真理を伝えるエピソードになっています。

 いま香港では、大学を卒業したばかりのアグネス・チョウさんら民主活動家が、過去のデモ行為について、裁判で有罪とされ収監されました。
 量刑は12月2日に言い渡されるということですが、さらに、本来、効力が及ばないはずの「行為の後につくられた法律」によっても裁かれるのではないか、と懸念されています。
 むずかしい言葉で言えば、「法律の不遡及(ふそきゅう)の原則」に則っていないということです。それでは、法治主義の国ではなく、人治主義の国ということになります。
 このような大人の世界の現在進行形の「いじめ問題」に対し、民主主義の国アメリカならどのような意見を発するのでしょうか。もしかしたら、今ならば、「もう自由はないので、空気読め」なんて、言い出すこともあるかもしれません。

 価値観の違いについては、私たち日本人も身近な問題から大きな問題まで、ぶれることなく正しい選択や判断ができるよう、考える力を身につけたいものです。

社会福祉士、精神保健福祉士
元保護観察官
前名古屋市教育委員会 子ども委員SSW
現福祉系大学 講師 堀田利恵

 

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[ 2020/11/27 20:47 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ(2020年11月)◇◆ いじめ認知件数 ◇◆ 

201106 文科省1

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ いじめ認知件数 ◇◆

文部科学省は10月22日に2019年度のいじめ認知件数を公表しました。
「2019年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果、いじめ認知件数が61万2496件、過去最多を更新しました。

数値の概略は以下の通りです。
「重大事態」は前年度より121件増の723件。
インターネットやSNSによるものは1590件増の1万7924件。
暴力行為は8%増の7万8787件。中学高校では減少したが、小学校で19.4%増で4万3614件。
不登校は10.2%増の18万1272人。

文科省は、記者会見において、いじめ認知件数や暴力件数が増加している理由について、「学校は初期段階の対応を強化し、見過ごされていたいじめを積極的に把握するようになった」との説明をしています。

いじめを認知した学校数は、3万583校で、534校増となり、全体の3万7011校の82.6%に上っています。
反面、資料によると16.3%、6038校の学校ではいじめは認知されていない、つまりいじめゼロ、いじめが無かったとされています。
事実がそうであれば素晴らしい限りですが、そんなはずはないでしょう。まだまだ、数字が作られていると感じられます。残念です。
数としては公立より少ないのですが、私立のいじめを認知した校数が2588校中の1317校、50.9%にすぎないことも気になります。私立の場合には、いじめに対応してもらえないという相談が多いということと連動しているようにも感じます。

都道府県では宮崎県は、1万5171件を報告しており、1000人中122.4件となっております。
政令指定都市では、新潟市が1万5431件、1000人中259.3件の数を公表しました。
宮崎県の割合を全国に当てはめると、168万件にもなりますし、新潟市をベースに全国に当てはめると、356万件という数が出てまいります。

何が言いたいのかと申しますと、一点目としては、文科省のいじめ認知件数は、まだまだ、実態には「程遠い」ということが推測されるということです。
とはいえ、年々、実数に近づいていることは確かですが。
現実を見つめないと、いじめ対策はできません。そのためにも、正確な数字と、その数字を基にした的確な分析を行うべきだと思います。

二点目としては、多かれ少なかれ、いじめ、あるいは子供たち同士のトラブルは起きるものです。
大切なことは、「いじめを解決できるかどうか」ということです。いじめを解決できる学校、いじめを解決できる先生が、いじめ問題の「鍵」です。
早期に発見し、いじめにならない段階、からかいやケンカの段階で解決してしまえば、不登校などの重大事態にはなりませんし、いじめと認知されるようにもなりません。
全国の学校が「うちはいじめを解決できる学校です」と、自信を持って宣言できるようになっていただきたいと願っています。
ですから、学校は「配慮したいじめ認知件数」に固執することなく、堂々と、「実際のいじめ認知件数」を公表していただきたいのです。

今回の発表の中には、学校が把握した生徒の自殺は、いじめ以外も含めて、317人に上り、前年度よりは15人減りましたが、かなり多いといえます。
また、今年は、コロナ禍における子供たちの自殺が増えているという報道も相次いでいます。
結局、今の子供たちにとって、「学校は素晴らしい」空間になっていないのではないでしょうか。
子供たちが通いたいと思える学校になるために必要なのは安心感だと思うのです。
日々、いじめの相談を受けていて感じることは、教師が善悪を明確にしないことが多いということです。

昨日の相談でも、あるお母さんは、教頭先生から、「加害者にも人権がありますから、本人がやってないというと叱れないんですよ」と言われたというのです。
被害者から聞き取りすれば明確ですし、加えて、周囲の子から聞き取りすれば、いじめの事実はより明白になるはずです。
「いじめを叱れません」などという教師がいてはいけません。これでは子供たちが学校に「安心」して通えるはずなどありません。
学校の変革する第一歩は、教師が毅然として立ち、「何が悪くて、何が正しいのか」を示すことです。
善悪をはっきり言える教師であるための、その背景には、教師としての自覚や誇りが必要です。
文科省には、「私は教師です」と自信を持っている先生を育てていただきたいと思います。

いじめ相談も増えてきています。
何かおかしいなとか、お子さんの様子が変わったなとか、気になることがありましたら、ご遠慮無くご相談いただければと存じます。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
http://ameblo.jp/kzizawa/
Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawa
Twitter: @kzizawa

 

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[ 2020/11/06 15:57 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)