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◆◇ スクールセクハラから子どもを守るためには (2) ◇◆ 

210727 夕日と少女たち

◆◇ スクールセクハラから     
   子どもを守るためには (2) ◇◆

 昨年はコロナウィルスの蔓延により、春先から長期間、学校が休校になったために、夏休みが短くなり、子どもたちは猛暑の中、登校せざるを得なくなりました。
 楽しみにしていた山や海、家族との旅行なども経験することができませんでした。
 コロナでいろいろと制限が有ろうかと思いますが、今年は、子どもたちが活き活きと過ごせる安全で安心な環境が整ってほしいと願わずにいられません。

 さて7月20日には、多くの学校で一学期の終業式を迎えました。リモートで校長先生の挨拶が行われた小中学校も多いようです。
 夏休みは楽しみですが、反面、海や川、プールなど水の事故には気をつけていただきたいと思います。それだけではなく、レジャー先での誘拐未遂、夜道で露出魔にあうなど、夏休みには性被害が憂慮されます。

 今回は、保護者の立場で、そして子どもを守る教師やPTA、主任児童委員、ソーシャル・ワーカーの視点にたって、性被害から子どもたちを守るにはどうしたら良いかを考えてみます。

 深刻な性被害の場合、まず第一に、「子どもたちは声をあげられない」、「被害を訴えられない」ということを知っていただきたいと思います。
 その訴えは、ときとして「からだ言葉」になって表れてくることもあります。特に女子には顕著に現れることが多いのです。

 小学5年生の女の子、ナツミ(仮名)さんは、校庭で体育の授業中、足をがくがくさせて、身体全身を震わせて、しゃがみこんでしまいました。顔は真っ青です。立つことも歩くこともできません。
 周りの子どもたちが気付いて、緊急に保健室に運ばれたのですが、大きな病気の危険も類推されたため、救急車で搬送され、そのまま入院となりました。
 病院では、さまざまな病理検査が行われましたが、骨折や病変はありません。とりあえず自律神経失調症の病名がついたものの、1週間で退院の予定となりました。

 「なにかおかしい、心理的な問題があるのかも・・」、担当の女医さんは気にかけていました。
 明日が退院という日、ナツミちゃんは担当の女医さんに、小さな小さな声で、涙を流しながら訴えました。
「家に帰りたくないです。病院にいたいです」
専門的な手順を踏みつつ女医さんとそのスタッフが聞き出したところ、性的虐待を受けていた事実が判明しました。憎むべき性犯罪者は、母親の再婚相手、つまり義父でした。
 病院から通報を受け、児童相談所が子どもを保護したことは言うまでもありません。

 同じようなケースで、加害者が、まさかの教員ということもありました。
 性の被害を受けた子どもたちは、最初、何をされているのか、意味がよくわからないばかりか、暴力や暴言を受けて、行動を抑制されたりしますし、被害を言えないだけではなく、子ども自身が情緒不安定になったり、精神的疾患を持つことは決して珍しくありません。
 また、「お母さんには言うな」と口止めされたり、「お前が約束を守らない悪い子だから、こうなったのだ。」と洗脳されたり、あまりの心的葛藤の末、自傷行為をする場合もあります。

 多くの場合、高校生ぐらいになってから初めて、「実は、あのとき・・」と被害を訴える事例が少なくありません。今も、性被害のPTSDに苦しんでいる方もいらっしゃいます。
 いじめと同じで、加害者が処罰されずに、放置され続けることは、被害者個人の人生を狂わすばかりか、私たちの社会に及ぼす悪影響は大きいといえます。

 事後のカウンセリングも大切ですが、未然に防ぐためにも、実効性のある、早期発見、犯罪防止を考えなくてはなりません。
 子どもを守る保護者や真っ当な教員、PTAや地域の立場からすれば、「早期発見」がとても重要です。子どもの「からだ言葉」に細心の注意を払い、しっかりSOSをキャッチしなければなりません。
 これは、いじめの被害を発見するプロセスでも同じことが言えます。ほんのささいな変化や言動を見過ごさないことです。
 以前、このメルマガでも紹介されましたが、
優秀な教員は、隣の子の机とその子の机の距離、ほんの10センチのスキマから、いじめを見抜いていきました。

 では、「もしかして性被害かも」と疑うべきポイントはなんでしょうか。
 子どもが自信を失い、自己嫌悪感を持ったり、否定的な感情を見せてきたときは、慎重な配慮が必要です。
 同時に、観察すべき点として、1. リストカットなど身体の傷、2. 衣服の汚れ、3. 異装、4. ヘアースタイルの変化などに注意が必要です。
 髪の毛が長く、少女らしい可愛らしい女の子が、短髪にズボンの男の子のようにすることで、必死に自己防衛していたケースもあります。
 反対に、大はしゃぎをしたと思ったら、急に泣き出すなど、情緒不安定になることもあります。
 「イジメ」、「家庭内虐待」等さまざまな原因を考えつつも、「性被害」も原因の選択肢の範囲に入れてください。

 もし、子どもたちが被害を訴えてきたならば、「話をしてくれて、ありがとう。」「あなたは悪くない。」と絶対的な肯定をしてあげることが重要です。
 子どもの年齢にもよりますが、
「たとえ、からだが傷ついても、心はダイヤモンドだから、けっして折れたりなんかしない。あなたは、美しいし、強いです」
という趣旨をやさしく包み込むように語ってあげたいものです。

 児童相談所に保護されたり、病院や民間のシェルターに入れられることで、加害者と被害者が空間的に顔を合わせることがなくなり、かつ、時間が経過し、信頼できる大人と出会うことで、はじめて子どもは心を開いて、真実を話してくれるようになります。

 第二に、教員を信頼する気持ちは大事ですが、性犯罪を繰り返すような教員は、被害者である子ども、児童をよく選別しているということを知ってください。
 つまり、「被害を訴えないであろう」という子どもをわざわざ選んでいるのです。
 ほとんどの場合、保護者が子どもを守るだけの余力を持っていないケースがみられます。母子家庭である、親に精神疾患がある、家庭が機能不全だ、といった弱い環境の子を選んでいます。
 頭の良い犯罪者は、自分の立場が危うくなるような環境には決して持ち込みません。

 加害者が教員で、あなたがもし同僚である教員であったり、近いところにいる人であれば、直に校長先生に訴えたりするといった正攻法で糾弾するというより、慎重に外堀から埋める、という戦略を立てなければならならない場合もあります。
 なぜなら、ほとんどの場合、口の立つ教員の説明により、「子どものほうの妄想である」とか、「指導に対する逆恨みである」とか、「気を引きたいだけ」とか、の理由が勝ってしまうからです。
 そして、報告を受けた校長先生も組織維持のため、結果的に隠ぺいに走る、ということになるからです。

 では、外掘とはなんでしょうか。公的機関である、児童相談所や警察署、法務局、そして教育委員会です。
 直接、先生やPTAに訴えた場合、学校への所属意識の方が勝ってしまい、「犯罪なのだから警察に被害届出や相談をして当然」という、社会常識が飛んでしまうことがあります。
 「校長先生の許可がないのにできない」と思い込んでしまうのです。

 また、口先での言い逃れができないように、証拠や証言、あるいは診断書なども集められると良いのですが。
 「性犯罪」の対処法は、苛烈で犯罪行為まで及んだ「いじめ」と同様の方法で対処すべきです。
 場所が、学校内であるとか、対象者が教員であるとか、は関係ありません。ハードルが高いと思うのは、思い込みです。
 こと、性被害の相談においては、公的機関は守秘義務を必ず守ってくれます。
 捜査機関へ犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求めることです。「告発」は誰でもできます。告発することには、被害者やその保護者の同意は必要ないのです。
 特に公立学校の教職員は公務員であり、公務員には「告発義務」が法律で定められています。(注)
 ですから、本来、公立校の先生方は警察等に、子供に対する犯罪行為を届け出なければいけないのです。

 子どもを守りたい、その強い気持ちさえあれば、高いハードルも越えられます。重い扉も開いていきます。
 密室で行われることの多い性犯罪、まして子どもが被害者となってしまうと、立証することはむずかしいと思いがちです。けれども、検察や裁判所においても、「被害者の証言は具体性及び迫真性がある」、「経験した人でなければ語ることのできない発言・・・」という判決が示すように、子どもの真摯な言葉に耳を傾け、被害者を尊重する傾向が顕著になってきています。

 もしも、身近で、子どもが悩んでいたら、手をさしのべてあげてください。
私たちは常に、正しい人を相談援助、支援する側に立っています。

社会福祉士・精神保健福祉士・行政書士
元保護観察官、前名古屋市子ども応援委員会 スクールソーシャルワーカー
現・福祉系大学講師  堀田利恵

(注)
刑事訴訟法 第239条 
第1項 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
第2項 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。


 

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[ 2021/07/27 13:37 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ (2021年7月) ◆◇  いじめには加害者がいるんだ ◇◆ 

210716 ハス4

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ いじめには加害者がいるんだ ◇◆


各地で梅雨明け宣言がなされています。ここ関東地方でも本日梅雨明けいたしました。

さて、先週、先々週と続けて2校の小学校に行ってきました。
ただ、講演ではなくいじめ被害者の保護者に同行しての学校訪問です。

2件共に解決に向かいましたが、キーマンとなったのは「教育委員会」でした。

そのうちの1件は、いじめ相談員をしてくださっている方のところへの相談メールでした。
小学生男子のいじめです。体の大きな男子からいじめを受けて、不登校になっているというものです。
もともとは仲が良かったのですが、ある日の被害者の子のテストの点がよかったことがきっかけに、いじめられるようになってしまったというのです。

しかし、問題はここからです。
本人から担任に訴え、さらに母親からも担任に相談すると、
「その子に悪気はないから」
「じゃれ合っているようなものですよ」

それだけではありません。
母親は管理職に相談しようとしたのですが、教頭からは面談を断られ、替りに、児童支援コーディネーターを紹介されました。
「話を聞く気はない」という意思表示に見えます。

やや期待はしてたのですが、コーディネーターはとんでもない方だったのです。家庭の責任、子育ての責任を言い立ててきたというのです。
曰く、
「親が笑っていれば、子供はすぐに元気になるものですよ」
「(子育てにおいて)理想と現実のギャップがあるのではないですか」
「ご家庭の中に悩みがおありではないでしょうか」

こんな言動を繰り返すばかりで、肝心のいじめについては、担任もコーディネーターも全く対処しようとしないのです。「馬鹿なことを言ってんじゃないよ」と言いたくなります。

このメルマガで何度も言ってますが、
「いじめには加害者がいる。加害者を止めない限り、いじめは止まらない」。
この当たり前のことを認識していない教員にあたってしまったのです。

こんな状態の中で、お母さんは校長との面談のアポをとりました。
いじめについて相談したいと言っても拒否されるだろうからと、「息子の不登校について、どのようにしたら学校に復帰できるかご相談したい」という体裁で面談の約束をされたのです。悔しかったことだと思います。
校長先生とお電話をしていて、お母さんが気付いたことは、
「校長先生は、うちの子がいじめられていることを全く知らないんだ」ということだったのです。
担任からも教頭からも報告が上がっていないという「隠蔽体質」に染まった学校だとこの時知ったのです。

私たちは、このまま面談してもいじめがスルーされることを懸念しました。また、第三者である私たちの同席も拒否されるだろうと予測されましたので、教育委員会に電話を入れることにしました。
ちなみにお母さんからは、教育委員会への相談は検討はしたけれどまだしていないとのこと。

教育委員会においてこの小学校を担当している指導主事の先生を電話口まで呼んでいただき、「このお母さんからご相談をいただいたのですが、少し確認させていただきたいのですが」と、いじめに対しての姿勢について、まずお話を伺いました。
「お子さんが心身に異常を訴えている状態では、重大事態に近いのではないでしょうか」
「いじめについて加害者を指導しない、叱らないという指導方法を教育委員会は教師に勧めているのでしょうか」等々、
「いじめ防止対策推進法」やいじめの対処方法について確認をしながら、「実は、このようなご相談をいただいておりまして、明日、面談の予定ですが、お母さんから同行の依頼を受けているのですが、伺ってもよろしいでしょうか」と教育委員会に申し入れをいたしました。

学校には、当日の朝、再度お母さんから、「いじめから子供を守ろうネットワークの人に付き添いをお願いしたのですが、大丈夫ですか」と確認を入れていただいて同行の運びとなりました。
お母さんからの報告によりますと、「了解はいただいたのですが、学校は大慌てしているような雰囲気でした。教育委員会に電話をいれていただいたのが良かったように思います」とのこと。

当日は、すぐに校長室に案内され、担任、児童支援コーディネーターも同席の上で面談が始まりました。
私たち被害者側から学校に伝えたことは、
・「いじめには加害者がいる。加害者のいないいじめは絶対に起きない」、この当たり前のことを認識していますか。
・加害者がいじめをやめようと思わなければいじめは止まらない。
ですから、加害者に自覚を促し、指導していただきたい。
・加害者は叱られていないから、いじめを繰り返す。加害者の保護者にも連絡し、家庭ぐるみで、いじめすることは悪いことだと教える環境を整えていただきたい。
・その上で加害者から被害者に対してしっかりと謝罪させて欲しい。
・ただし、「話し合い」をして加害者の言い訳を正当化させるような機会を設けないこと。
・本人が相談しても放置されたわけですから、本人が登校できるようになるには、「いじめられない」という確信と、「先生が守ってくれる」という安心感が必要。
ですから、担任からも「絶対に守る」という決意と、本人への謝罪をしていただきたい。
・「家庭の問題」だとか言い出すのは論外の対応であり、責務を果たすことを避けないで欲しい。
・また校長がいじめが起きていることを知らなかったのは、組織としての風通しが悪いことを意味している。
その場合、一つは校長が「悪い情報」を嫌っていると知り、教員が遠慮している、あるいは、担当教員が自己保身のためにそうしているという場合が多い。
校長先生には、組織風土を変える決意をお願いしたい。

これに対して、校長先生は、「全くおっしゃるとおりです。全ては私の責任です。必ず学校に来ていただけるように、私からも息子さんに謝罪させていただきます」と話してくれました。

話をしてみると校長先生の考え方はごくごく真っ当な方で、いじめの対処方法についても、しっかりとした認識を持っておられるように感じました。
ただ、外部から人が来ていたり、教育委員会から指導が入ったことが影響していると思われるので、もしかしたら取り繕っていただけなのかもしれませんが。

その翌日には、加害者のお子さんと保護者の方からの謝罪がありました。また、担任、教頭、校長先生がそれぞれ息子さんにあやまってくれたとのことです。
息子さんは安心した様子でしたが、その次の日は疲れ切って寝ていたとのことです。
「現在はまだ保健室登校ですが、休み時間には友達と遊んでいる」という報告をいただいております。

まもなく夏休みに入ります。
コロナ禍の中でオリンピック・パラリンピックもテレビでの観戦となりましたし、出かける機会も減っておりますが、その中でも子どもたちの心が元気になるような夏休みをつくってあげていただきたいと思います。
子どもたち同志が直接に会う機会は減るのですが、インターネット、SNSのトラブルは気にかかるところです。
何か気になるようなことがありましたら、早めにご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
http://ameblo.jp/kzizawa/
Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawa
Twitter: @kzizawa

 

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[ 2021/07/16 13:27 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

◆◇ スクールセクハラから子どもを守るためには (1) ◇◆ 

210703 教師2

◆◇ スクールセクハラから       
   子どもを守るためには (1) ◇◆

 教員による児童・生徒に対する性犯罪があとを絶たちません。特に女子の被害が大半をしめています。統計では、毎年、懲戒免職者数が増加の一途をたどっています。大学の研究者の中には、実際の被害者は最低でも10倍はいるのではないかと述べておられる方もいます。

 子ども達から見れば、先生は絶対的な指導者であり、権力者であるため、被害にあっても声を出しにくいのです。そのことを熟知している教師が、性とは何かを知らない無防備な子ども達に対して、鬼畜とも思える犯罪行為を行う、決して許されるものではありません。

 これまでは、性犯罪を犯した先生が、戸籍上の氏を変えたり、違う県に住所を移して情報ネットをすり抜け、県を変えて就職し、そして「再び事件を起こした」ということも報告されています。

 そのため、今国会で、児童生徒にわいせつ行為をして懲戒免職となり、教員免許が失効してしまった教員に対し、都道府県教育委員会は教員免許の再交付を拒否できるとする新法が、5月28日、可決、成立しました。今までは、失効後3年が経てば教員免許の再交付が受けられていたのです。

 このメルマガの読者は、子どもを持つ保護者や教師など教育関係者が多いことから、今回は、こういった事件が止まない原因について考え、大切な子どもを守るための学校としての防止策や保護者の心構え、そして教師自身の子どもとの心理的、社会的距離の取り方を中心に考えてみたいと思います。

 子どもへの性犯罪を行う教師が、なぜ存在するのでしょうか。「子どもが大好きで教師を目指しました」とはよく聞かれるセリフです。
 その中に、最初から故意の性犯罪者はいるのでしょうか。
 学生時代からロリコンであり、そういった画像を集めたりする性癖の方が、教員試験に合格し、学校の先生になる・・残念ながら、司法での取り調べや本人の供述を調査すると、そういった故意の性犯罪者が極少数ながらいることは事実です。

 反対に、「えっ!あの、みんなから慕われている熱血先生が? 奥さんも子どももいるのになぜ?」という事例もあります。
 もともとは、そのような性癖から縁遠かった先生も、後天的に環境的要因も相まってアディクション(*注)に走る場合があります。
 職場にもよるでしょうが、勤務時間超過、過重労働、上司との軋轢等のブラックになりやすい職場環境の中において、ストレス発散のために、アルコール依存、パチンコ依存、そして性依存などに陥る危険性があるのです。
「ぱっとストレスを解消して、集中して眠りたい、休みたい」、
 そのアディクションに没頭している時は、ストレスから解消されるように思えてしまうのです。依存性を増し、繰り返していくうちに悪習慣となって、もう離れられなくなるケースも後を絶ちません。本来は生真面目であった先生ほど、はまると抜け出すことが困難になります。

 教員の皆様には、無駄な仕事に見切りをつけるスキルを身に付けることをお勧めしたいと思います。また、できるだけ休暇を取り、負担やストレスを解消し、リラックスできる方法を見つけていただきたいのです。

 人間は自分自身で考え方を決めることができる存在なのだと信じてください。
 性情報に溺れることは「偽物の自分」です。自らの意志で決別し、「真実の自分」を見出してください。

 加えて、教師としての「目標」を見直すことも大切です。だれかからの評価ではなく、自分自身の人生の目標です。あなたが死ぬ際に、どういう人物であったか、あるいは、あなた自身が生徒からどのように言われたいかという基準で考えることをお勧めします。
 北極星のごとき目標に向かって歩み始めると、性的な執着から離れるためのスタートを切ることができます。

 あるベテランの男性教員から、私はこういう言葉を聞きました。
「僕らの職場は、毎年、若くてかわいらしい子ども達が必ず入ってくる。お化粧なしのすっぴんの顔で美しいピチピチの少女たちが、供給され続けるのです。
 そういった環境の中で、社会的常識を保ち続けることができるかどうか。それはその人自身の問題だ。
 教師は大学を出てすぐ教員になるから常識がないと言われる。しかし、学生時代の部活にしろバイト先にしろ、また教師になってからの社会生活の中でも常識は培われている。
 でも、若い先生には誘惑や落とし穴が口をあけて待っている。ときには、生徒からも恋愛感情を持たれ告白されることもある。家庭で問題を抱えている子どもが甘えてくることもある。
 しかし、そんなときこそ
『中学を卒業し、そして高校を卒業しても、まだ好きだったら、その時、もう一度言ってね。』と笑って答えることだ。
 少女たちは、先生という身近な青年男性である自分を通じて、擬似的な恋愛体験の練習をしているに過ぎない。大人になったら、忘れているだろう。
 いまの感情は受けとめてあげるが、未来に向けては、決して流されない。子ども達の精神的な成長を暖かく見守り、次のステージに送り出すことが教師の役目だ。」

 たしかに人として、しっかりとした自己覚知をお持ちの言葉だと思いました。教師は、子どもとの心理的距離の取り方、社会的距離の確保を考え、誘惑に打ち克っていただきたいものです。ぜひ、人生の先輩であるベテランの先生と話をしてみてください。

 そして、「学校組織」としての取り組みも考えていかなくてはならないと思います。
 男女複数担任制や、クラス担任だけを相談窓口に限定しないという取組みも必要です。日頃からフランクリーに子どもや保護者が相談することができる、開かれた学校環境づくり。そのためには、先生を支援するための心理カウンセラーと弁護士等の総合相談窓口を持つことです。その窓口は、ときに校長や教育委員会への報告を要しない、守秘義務を柱とした組織とすべきだと思います。
 学校内外で、死角をつくらない、空間的な犯罪防止対策も大切です。
 PTAや地域を巻き込んだ、子どもの安心安全な地域支援体制づくりです。

 今回は、保護者が子どものために気づきたいこと、性被害に遭った子どものケアや被害回復の方法等は述べませんでした。またの機会に述べたいと思います。

社会福祉士・精神保健福祉士・行政書士
元保護観察官 
現福祉系大学 講師   堀田利恵


(注)アディクションとは
「ある物質や一定の行為にひどくのめりこみ、日常生活に害があるとわかっていながら、自分ではコントロールができない、そうせざるを得ない不健康な習慣への耽溺がアディクションであり、日本語では嗜癖(しへき)である。」(日本アディクション看護学会ホームページより)


 

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[ 2021/07/03 14:27 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)