◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 「こども家庭庁」によって、
教育界はいじめ解決能力を持つことができるか ◇◆街のあちこちや通勤電車に、新入生や新入社員の姿が目に入ってきます。その初々しい姿を眺めるだけで元気をもらったような気分になります。
さあ、4月になりました。子どもたちに、新しい年度を気持ちよく迎えていただきたいと心から願っています。
4月1日より内閣府の外局として「こども家庭庁」が発足いたしました。同庁の「こども家庭庁におけるいじめ防止対策について」のページには、
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いじめの問題には、これまでも学校、教育委員会などの学校設置者、国は文部科学省による取組が進められてきました。
これらの取組に加え、こどもの権利利益の擁護等を担う「こども家庭庁」が、いじめ対策での第三者性の確保などに資する地域の体制づくりを推進し、文部科学省とともに関係府省と連携しながら、「こどもまんなか」社会の実現に向け、いじめ防止対策の強化に取り組みます。
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と記載されております。
同ページには、「こども家庭庁の取り組み」として「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針(令和3年12月21日閣議決定)に基づき、以下のとおり主に3つの事項に取り組みます。」として、
(1)学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくり
(2)第三者性確保による重大ないじめ事案への対応強化
(3)こども政策の司令塔としての政府全体の体制づくり
以上の3点が述べられています。
私たちとして一点目にある「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組み」を構築することができるようでしたら、とても効果があると考えています。
なぜなら、1万件近くのいじめ相談を承って、その大半を解決してきたという私たちの活動状況を振り返ってみると、解決できた事例の大半は、「学校の先生にいじめを解決しようと決意してもらう」ことによってなされたものだからです。
学校にいじめ解決を決意してもらうポイントは、私たちのような外部の組織からのアプローチ、あるいは上位組織である教育委員会に訴え教育委員会からの指導、さらには政治家に相談することにより、政治家から教育委員会にアプローチしていただくなどの外部の協力を得ることで、学校にいじめ解決の決意を促す点にあります。
学校の先生方は、原則、いじめ解決の能力を有していますが、せっかくの能力を温存してしまうことが多いのです。ですから「いじめを解決しよう」と教師が決意すれば、ほぼ解決したのも同然と言えるのです。
「こども家庭庁」がこの外部機関の役割を果たすことで、日本の「いじめ解決能力」は格段に上がるのではないでしょうか。
ただ、それが絵に書いた餅にならないように、私たち保護者やいじめ問題に取り組んでいる先生方、あるいは団体などからの適切な意見を参考にすることも大切なのではないかと思います。
一方で、大変に残念なニュースがあります。
4月6日の毎日新聞の報道を読みますと茨城大学がいじめの隠蔽工作していたようです。
水戸市の茨城大教育学部付属小学校が、当時小4女子がいじめられ不登校になっていた問題を、2021年11月に、「重大事態」と認定はしたものの約1年3カ月にわたり文部科学省に報告せず、いじめ防止対策推進法に基づく調査委員会も立ち上げていなかったことが、毎日新聞の取材で判明したといいます。
報道では、
「学校側は6日、取材に「制度に対する認識が不足していた」などと対応の誤りを認め、同法に基づく第三者委員会を設け、いじめを調査すると明らかにした。」
とあります。
いじめ防止対策推進法に示される「重大事態」には相当の期間、学校を欠席した場合も含まれており、文科省は、年間30日欠席することを目安にしています。
この子が受けたいじめの内容について、
「被害女児は21年4月ごろから、同級生の女児から登下校時を含めて学校で一日中付きまとわれたり、悪口を言われたりした。同年6月から休みがちになり、不眠や腹痛、吐き気を訴えるようになった。母親が付き添って登校することもあったが、5年生になっても不登校が続いていた。」
とあります。
保護者は、文科省への報告と第三者委員会による調査を訴えたが、これに対して学校は、「22年5月30日に大学から報告した」としながらも、第三者委員会による調査を拒否しました。
そこで、23年2月2日に、母親が文科省に対し、情報開示請求したところ、3月3日付で「(記録を)保有していない」と通知があり、学校側の未報告であると判明したのです。
さらに報道によりますと
「母親は同17日に茨城大教育学部の副学部長2人と面談。この際、文科省への報告について改めて確認すると、実際の報告日は、開示請求後で2023年2月16日だったと認め、同法に基づいた調査を実施していないことも明らかにした。」
とんでもない大学です。この記事から大学は附属小学校からは報告を受けていたようにしか読めません。
それにもかかわらず、
『茨城大は6日、毎日新聞の取材に「付属小及び教育学部において、いじめ防止対策推進法などの諸制度に対する認識が不足していたため法人及び文科省への報告などが不十分であった。不適切な内容を保護者に説明していた」などと文書で回答した。』
と毎日新聞は報道しております。
本来、附属小学校を指導すべき立場にある茨城大学が、隠蔽するなどあってはなりません。
原稿を書いている途中で、続報が入りました。
共同通信によりますと、大井川茨城県知事は4月12日の記者会見で、「世の中の流れと懸け離れた、あり得ない対応だ」、「県としても看過するわけにはいかない」と、経緯を調べる考えを示しています。
当然です。
同じく共同通信によりますと、
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茨城大の太田寛行学長は同日県庁を訪れ、教育長に現状を説明した。記者団に「いじめられた児童や保護者に申し訳なかった。学習支援や心のケアに努める」と述べ、第三者委員会を設置し、いじめの詳細や学校の対応を調査する方針も明らかにした。
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と報道されています。
しかし、情けない国立大学です。マスコミに報道されてから重い腰を上げるなど、被害者を馬鹿にしているとしか思えません。どちらを向いて経営しているかが問われています。
私たちがサポートさせていただいた「いじめ相談」を振り返ってみますと、国立の学校のいじめの隠蔽は、公立や私立のいじめ隠蔽よりたちが悪い場合が多いように感じています。
国立系の学校がいじめを隠蔽しやすい理由としては、
1. いじめを解決するスキルがない
2. 監督する組織からの「いじめを放置するな」という発信が脆弱
3. そもそも学校を研究の場ぐらいにしか考えておらず、子供を育てるという気概が希薄
などが挙げられるのではないでしょうか。
監督している文科省が各学校の状況を細かく把握していないことにも大きな問題だと思います。
そのような中で「こども家庭庁」が発足したのです。ぜひ、外部機関として学校に意見を言える組織に育っていただきたいものです。
4月が終わるとゴールデンウィークが待っています。子どもたちが、級友、学校に慣れてくる時期ですが、同時にいじめ問題も起きやすくなります。
ふと不安になったりいたしましたら、ご遠慮なくご相談いただきたいと存じます。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
井澤一明ブログ: http://ameblo.jp/kzizawa/Facebook: http://www.facebook.com/kz.izawaTwitter: @kzizawa

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