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「ゆとり教育以前」、昭和の数学教科書を復刻、教師に人気 

昭和の数学力めざせ
「ゆとり教育以前」の教科書を復刻、
教師に人気


110606 教科書 子供の学力低下を招いたと批判される「ゆとり教育」。その脱却を目指し、来年度から中学校で実施される新学習指導要領を前に、ゆとり以前の昭和50年代前半の数学教科書が復刻され、現場の研究用教材として人気だ。3千セット発行されこの手の教材としては好調な売れ行きで、出版社にも問い合わせが相次いでいるという。(横山由紀子)

 復刻された教科書は、啓林館(大阪市)の「新訂数学」で53年から55年に使用された。
 昭和の高い数学力を支えた教科書のひとつで、「集合の概念」をはじめ、「不等式」「二次方程式の解の公式」など現在は高校で教える内容を収録しているのが大きな特徴。

 数学者の岡本和夫・東大名誉教授は「『新訂数学』は数学教育を構築した教科書といってもいい」と評価する。
 同社の統合企画部小・中企画課の中嶋朋宏課長は「教育転換の節目に、これからの数学指導を担う若い先生方の研究用教材として復刻しました。現場の教員から多数の問い合わせがあり、ゆとり以前はここまで教えていたのかと、高い評価を頂いている」と説明する。

 私立の東京都市大学付属中学校(東京都)では現在、「ゆとり教科書」に独自に、今では高校の単元となった「集合の概念」や「二次方程式の解の公式」などを補完。同高校数学科の田口哲夫教諭は、「現在のゆとり教科書は不十分で、日本の子供たちは数学を面白いと思えなくなっている」と指摘。復刻された「新訂数学」については、「単元ごとの導入部分が分かりやすく説明されるなど、日本が高い数学力を誇った原点ともいえる良質の教科書。特に若い教員に読んでほしい」と評価する。

 ゆとり教育は、昭和50年代後半から段階的に進められ、平成14年度の完全学校週5日制にあわせて、授業時間を縮減し学習内容を平易にするなど、実質的にスタートした。
 しかし「ゆとり後」は、日本の学力の低下が顕著に。経済協力開発機構(OECD)が世界の15歳を対象に行う学習到達度調査では、12年にトップだった日本の数学が、10位(18年)、9位(21年)へと転落している。
 こうした状況を受け、20年告示の新学習指導要領では、ゆとり教育を全面的に見直し。検定に合格した中学の教科書全14科目131冊は、現行教科書と比較してページ数が平均24.5%増加。数学は、理科の45.2%増に次ぐ32.8%のボリューム増となっている。
【2011年6月6日 産経ニュース新聞】
【写真】「ゆとり教育」の見直しに合わせて復刻された昭和50年代の数学教科書

 

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