子供時代の苦悩、大人の今も
いじめ後遺症 傷深く
対人関係苦手に 長期ケアが必要 子供時代のいじめによる心の傷が、成長してからも残る
「いじめ後遺症」への関心が高まっている。きっかけの一つが今年5月、中学時代にいじめられ、4年後に自殺した女子生徒について中学の賠償責任を認めた判決。教育関係者は長期的ケアの重要性を指摘するが、実態把握は難しいのが現状だ。
「人と会おうとするだけで腹痛がする」。愛知県で通信制大学に通う男子学生(20)が自宅にこもるようになった原因は、
小学5年生だった8年前のいじめ体験だ。他人と会話することを想像するだけで手が震え、体調が悪くなるという。
クラスメートから殴られたり、無視されたりといったいじめを受け、中学に進学して開もなく不登校になった。いじめはなくなったものの学校には戻れず、高校は通信制に。
「本当は毎日大学に行き楽しい大学生活を送りたかった」と漏らす。
この学生が駆け込んだ民間フリースクール「木村登校拒否相談室」(名古屋市)には、月に25人ほどの中高生か訪れる。木村茂司室長(64)は
「思春期のいじめでふさぎ込み、一生立ち直れない人も多い」と指摘する。
ひきこもりの人の社会参加を後押しする特定非営利活動法人(NPO法人)「リーラ」(東京・文京)には、思春期にいじめを受けた成人からの相談がたびたび寄せられ、中には40代もいる。
「何気ない会話でも『自分が無視されている』と感じる」
「人が大勢いる場所に行くと無視された記憶がフラッシュバックする」。訴えは様々だが、
共通するのは対人関係が苦手なことだ。
内閣府の調査では、外出先が近所に限られる
ひきこもりの人は約23万人(2009年度)。リーラの市川乙允理事は相談を受けた経験から
「ひきこもりの2割は子供時代のいじめが原因」とみる。名古屋大の本城秀次教授(児童精神医学)は「この年代で受けたいじめ被害は、ひきこもりや社会への適応障害につながる大きな要素になる」と指摘する。
ただ被害の正確な実態把握は困難だ。例えば
09年度にいじめが原因で自殺したと認定されたのは
2人だが、対象となるのは高校生までで、
因果関係がはっきりしている事例のみ。卒業後何年もたって自殺したケースなどは含まれない。
学校現場や教育委員会からは、
長期的なサポートの難しさを指摘する声があがる。名古屋市教育委員会の担当者は「私立に進学したり、県外に転校したりした後までは把握できない」。東京都内の区立中の男性教諭も「受け持つ生徒への対応で手いっぱい」と漏らす。
「(いじめ被害を他校に伝えるのは)。個人情報保護上の問題もある」(都教委)との指摘もある。
法政大の尾木直樹教授(臨床教育学)は「文科省や教委は現状のいじめに対処するだけでなく、
後遺症の実態把握も急ぐべきだ。その上で長期的な支援の仕組みを検討することが大切だ」と話す。
【写真】いじめ後遺症の悩みをつづった手記(名古屋市中区の木村登校拒否相談室) ◆ 女子生徒の自殺をめぐる名古屋地裁判決 高校2年生で自殺した女子高生(当時16)の遺族が、
中学時代のいじめが原因として学校法人や当時の担任らに損害賠償を求めた訴訟で、
名古屋地裁は5月、学校側の責任を認める判決を言い渡した。学校、遺族側それぞれが控訴している。
判決は、
暴言などのいじめ行為を受けた結果、
解離性同一性障害を発症し、
4年後に自殺したと関係を認定。
将来的に自殺する可能性について
「十分予見可能だった」などと指摘した。
中学時代に不登校経験
文科省、20歳前後を調査 4年前のいじめが原因として
生徒の自殺に対する
賠償責任を学校側に認めた
名古屋地裁の判決は、教育関係者に衝撃を与えると同時に、
いじめを受けた児童や生徒の
長期的なケアの必要性を改めて浮かび上がらせた。
文部科学省が2日に立ち上げた
「不登校生徒に関する追跡調査研究会」では、
中学時代にいじめなどで不登校になった
20歳前後の若者を対象に
現在の生活状況や悩みなどを調査する。結果は、遅れていた長期的な支援策の検討に使う方針だ。
いじめが社会問題化し始めた1980年代以降、文科省は実態の把握を進めてきた。2010年度に全国の小中高校で把握された
いじめ件数は約7万5干件で、09年度に比べ3・5%増。同省が昨年、回答率が7割前後にとどまっていた
いじめのアンケート調査を全学校で実施するよう都道府県に通知したことなどで、
認知されるケースが増えたとみられる。
しかし
卒業・転校した場合などは
学校間で引き継がれず、長期的な被害実態は把握されていない。文科省の担当者は「名古屋地裁判決はいじめの継続対応の不備が認められた形。学校を離れた後も関係者が連絡を取り合って対応できるようにしたい」と話す。
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