◆◇ 道徳の教科化とこれからの課題 ◇◆ 2014年10月23日の産経新聞の 「産経抄」 に驚くべきことが書かれていました。
このコラムに書かれていたのは
「 『透明人間になったら何をしたいか』。小学校6年生にこんな質問をすると、7人の児童から驚くべき答えが返ってきた。『人を殺す』 『強盗する』。2年前、岐阜県の公立小学校の卒業文集にそのまま掲載され、保護者に配布されて大騒ぎになったことがある。」
というものです。
コラムでは、このような児童たちは 「人を殺してはいけない」 ことを教えられてこなかったに違いないと述べ、「徳育の欠如した戦後教育の被害者」 と指摘していました。
記憶に新しい佐世保市での高校同級生殺害事件でも、加害者の生徒は 「体の中が見たかった」 と述べております。学校では、毎日のようにいじめが繰り返されています。
ここに共通するものは、常に大きな倫理観、道徳心の欠如です。
2012年の年末に第二次安倍政権が誕生し早3年が経ちました。
学校における教育課題は、いじめ、不登校、学力不足、意欲不足、規範意識の低下、教員の指導力不足など多岐に及んでいますが、中でも現政府はいじめ対策に積極的な姿勢を示し続けてきました。
2013年に 「いじめ防止対策推進法」 を制定し(同年6月28日公布)、現在は2018年度以降に 「道徳の時間」 を 「特別の教科 道徳 (仮称)」 にし、教科化する準備を進めています。
この道徳教育の改革も 「いじめ問題への対応」 が最大の動機でした。
本当に道徳の教科化は、子供たちの 「道徳心」 を取り戻し、いじめ問題の解決につながっていくのでしょうか。
公立学校において 「道徳の時間」 は、教育の目標である 「人格の完成」 を目指す中核を担っています。
しかし、文部科学省が2005年に実施した 「義務教育に関する意識調査」 によると、道徳の時間に対する子供の受け止めは教科全体の中で下位に位置し、六年生では 「最も好きになれない学習」 になっています。
道徳の授業の重要性は誰しもが理解しているものの、実際の授業の内容には問題があるということでしょう。
「道徳の時間」 は、1958年に創設されましたが、それ以降、「道徳の時間」 に関してさまざまに議論がなされてきましたし、現在はその形骸化も大きな問題になっています。
2006年、教育基本法が約60年ぶりに改正され、その内容を反映するために2008年に道徳の学習指導要領も改訂されました。
この指導要領では、道徳教育の充実を図るため、「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」 とされ、「要」 という表現を用いて 「道徳の時間」 の道徳教育における中核的な役割や性格を一層明確にしました。加えてあらたに 「道徳教育推進教師」 が置かれました。
しかし、それでも効果には地域差があり、現場の教師に理念が浸透せず、結果として他教科に比べ軽んじられる傾向は変わりませんでした。
昨年、道徳の時間は大きな政策転換を迎えました。文部科学省の中央教育審議会の道徳教育専門部会は2014年10回の審議を開き、最終答申案をまとめました。
今回の答申では道徳教育は 「道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」 という理念の浸透と、具体的な取り組みを推進するために、これまで正式な 「教科」 ではなかった道徳の時間を 「検定教科書」 を用いる教科とし、「特別の教科」 に格上げすることがまとめられたのです。
「道徳教育」 は学校教育全体で行う根源的なもので、「特別の教科 道徳」 はその道徳教育の要を担う時間であり、各教科や特別活動などにおける道徳的指導の包括的な位置にあることをはっきりと示したことになります。
この重要な意識改革を現場の教員はもちろん、国民にも促すことができるかどうかが、今回の教科化にむけても大きなポイントとなります。
道徳の教科化がいじめ問題の解決につながるかどうかは、「社会規範」 や「価値秩序」を教えることが出来るかどうかにかかっていると思います。
そのためには、やはり 「いじめは犯罪である」 というような 「善悪の基準」 や 「何が正義なのか」 を教えることが不可欠です。
さらに、「なぜいけないのか」 という理由を教えられるかどうかも重要です。そのためには、戦後タブーとされてきた宗教的な価値観を含めた 「正しさとは何か」 という価値観を学び、考えることが必要です。
今後の、道徳の教科化にむけて、教科書内容や教える教師の育成方法を含めて、子供たちにどのように善悪の価値観を教えていくのかが大きな課題となるでしょう。
担当 和田 みな

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