◆◇ 教室に正義を(最終回) ◇◆ <第1回、第2回の内容>
小6の良太君 (仮名) のクラスはやんちゃグループが暴れて学級崩壊状態です。担任は学校に来なくなり、常に数人の子が不登校になっていて、保健室に逃げ込んでいる子も7~8人います。
良太君はみんなと保健室で、工夫しながら自主的に勉強を始めました。しかし、やんちゃグループは保健室にも乱入してきて暴言、暴力などし放題。
やんちゃグループと保健室の子たちとの話し合いの会が開かれ、双方の保護者たちも傍聴しました。「先生の言うことを素直に聞きなさい。そして謝りなさい」 という保健室組の次郎君 (仮名) の祖父の一喝で、やんちゃグループはようやく謝りましたが・・・。
○ クラスが復活する日
このやんちゃグループとの話し合いについて、地元の議員さんに相談した保護者がいました。
議員さんからの連絡を受けて、教育委員会が動き出しました。予算がついて、先生の数が増やされました。
また、荒れる前の低学年時代に担任でもあり、児童たちの信頼が厚いベテランの先生が呼び戻されました。担任が交代となったのです。
39人のクラス全員についても、個々に分析がなされました。
クラスを荒らす児童たちの特徴として、授業がわからない子、学習が身についていない子がいることがわかりました。
早速、校長先生は、国語、算数は、習熟度別クラスに分けることを決断しました。普通、年度途中ではあり得ない、めずらしいことです。
社会や理科についても、19名と20名にクラスを分けて、別々の離れた教室で教えることになりました。やんちゃグループは完全に分断されました。
少人数クラスですので、先生の目が行き届きます。トラブルが大きくなる前に対処できるようになったのです。また、授業離脱する児童には、その子のために専用の先生がつくようになりました。
良太君たちは、保健室から教室に戻りました。
こうして安心して授業が受けられる環境がつくられて行きました。正義が、教室に戻ったのです。
また、「教室が綺麗になったこと」 や 「授業が静かに受けられる」 ようになったという話が、たちまち保護者の間に広まり、長期間不登校だった子の保護者からも、「学校に行かせたい」 という相談が入るようになりました。
○ いじめをなくす指導とは
学校全体で取り組み始めた頃、ある先生から、「いじめをなくすために、有効な指導方法は何でしょうか?」 と相談を受けました。
基本的に心がけなくてはならないことは、その子自身の全人格を否定するのではなく、その子が行う悪い行為について、ひとつひとつ丁寧に、やっていいこと、悪いこと、相手の立場に立って考えることを、具体的に示して、根気よく教えていくことが大事です。
そのような積み重ねの中で、規律や自制心を身につけさせ、できたこと、やれるようになったことを褒めていくことが大切になります。
このようなことは本来、幼少時から家庭教育で教えられていくことです。
しかし現代は、家庭が機能不全であったり、親自身も教えられないまま家庭を築いていたりしています。教師や学校が肩代わりせねばならない時代になっています。
加えて、いじめる子を指導する際、注意せねばならないのは、教師がいじめる側の児童達に迎合してしまうことです。
受容や寛容の精神は、子どもの心をひらく大切なものです。しかし反省や責任感もなくてはならないものです。
このような基礎をおざなりにして、いきなり自己肯定感 ( 「自分は大切な存在だ」 と感じる心)を高める教育をすることは、危険です。
そうでないと、子供達は 「やっぱり、自分たちの責任ではなかった」 と安易に思いがちになります。
○ 子ども達のその後
さて、現在、良太君たちは、私立中学受験を目指し勉強に励んでいます。
保護者たちも積極的に教室見学を繰り返しています。やんちゃグループの黒幕的な子の親はPTA役員でした。その子も落ち着いたようです。
しかし、このグループの中の家庭に問題のある子だけは、徐々に元気がなくなっていくように見えました。
ある雨の日のこと、先生は、窓辺で、その子が小声で歌っているのを聞いてしまいました。
「あめあめ ふれふれ 母さんが 知らない男と出ていった・・・」
学校で荒れていた、その子の本当の理由を知ったのでした。
<了>
スクールソーシャルワーカー 村崎京子

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