◆◇ ジャングルから聞こえる ◇◆ 昭和40年代のこと、食生態学者の西丸震也さんが、ニューギニアのオーエンスタンレー山脈の地で、現地の方に聞いた話です。
森の中から声が聞こえるのだそうです。
このニューギニアでは、大戦中に何万人もの兵隊さんが亡くなっています。
米軍から 「日本は、世界最強の抵抗を示した」 と絶賛されたほどの激戦でしたが、戦闘よりも、食料難と無理な行軍のために亡くなった方の方が多かったと言われています。
探検家としても有名な西丸さんは、その時、日本軍が踏破したルートをたどっていたところでした。
日本アルプスが幾重にも重なったような物凄いスタンレー山脈。
そのジャングルの中から、一体どんな声が聞こえるのか、再現してもらったのです。
「しっかりしろ」
「がんばれ」
現地の方は日本語を知りませんでした。
その方は、この声を単なる音として再現したのです。
私は、彼らの言葉に衝撃を受けました。
行き倒れになったら、「自分は一体、どんなことを言うだろうか」 と思ったからです。
たぶん、私なら 「助けてくれ」 「食べ物をくれ」 と、救いを求め続けることしかできないでしょう。
でも、兵隊さんたちは、「しっかりしろ」 「がんばれ」 と、他の人間を思いやり、助けることだけを考えているではありませんか。
「一緒に故郷へ帰ろう。みんなで力を合わせて国に帰ろう」。
そのけな気さに、私は涙流れる思いでした。
日本はニューギアの戦場で、「拠点抵抗主義」 といって、一つの陣地で抵抗している間に次の後退陣地を築造しておいて、少しずつ、撤退をしていくという戦い方をしました。
このような撤退戦を強いられていたため、負傷したり、病気にかかったりして動けない兵隊さんは、置いていかざるをえませんでした。
残していく兵隊さんには、「これから攻撃に行ってくる」 と声をかけたといいます。
「分かっているよ。撤退するんだろう? オレがここで食い止めてやるから、軽機関銃を置いていけ」
これが返事でした。
残った病兵たちは、その陣地で一週間、精強な米豪軍の猛攻撃に耐え続け、手痛い反撃を与えたそうです。
戦死した彼らの日記には、故郷に残してきた娘の写真を毎日眺めて、「会いたい、会いたい」 と涙を流していたことが記されていました。
ただただ、自分の戦友が、生きて故郷に帰れることを願いながら、最後まで戦い続けたのです。
死してなお、「しっかりしろ!」 「がんばれ!」 という彼らのけな気さ。
「日本人も捨てたものではないな、人間っていうのも、そう悪いものでもないな」 と思います。
現代の社会では、ニュースを見ても、社会や人間に絶望するようなものばかりです。
相模原の障害者施設殺傷事件のような残忍な事件も起きておりますし、教育の現場においても、いじめが無くならないという現状があります。
でも人間の真性は 「善」 です。
どうかどれほど困難でむごい状況に置かれようとも、信じてみようではありませんか。
「いじめ」 に絶望することもあるでしょう。
それに対処する大人たちに対して、絶望することもあるでしょう。
そんなのを許している社会に絶望することもあるでしょう。
しかしそれでも人間の真性は 「善」 です。
身動きのとれない絶望の中で、仲間を助けるために、自分を犠牲にした若者たちがいたのです。
今もなお、ジャングルの中で 「しっかりしろ!」 「がんばれ!」 と、他者を勇気付けようとしている勇者がいるのです。
彼らが残してくれたのは、日本人の、否、人間の素晴らしさです。
絶望しそうになった時には、彼らを思い出して下さい。
「分かっているよ。オレがここで食い止めてやる。軽機関銃を置いていけ!」
人間とは、そんな素晴らしい存在です。
担当 こしがやじろう

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