◆◇ 第三者委員会の限界 ◇◆ 3月、今年度もあと1週間あまり。
卒業式も終わり今週末から春休みになる学校も少なくありません。
そんな中、3月上旬、札幌市の第三者委員会が、男子中学生のいじめ不登校について、「いじめが原因とはいえない」 と結論づけました。
このいじめ事件は、2014年3月に重大事態として申し立てられ、札幌市では初めて、いじめ防止対策推進法の 「重大事態」 の疑いがあるとして、第三者委員会での調査、審議がなされていました。
父親によると、小学校高学年から嫌がらせを受けており、中学進学後もいじめが続き、差別的な暴言や性的ないじめを受けて、中学2年から3年にかけて不登校になったということです。
報告書はいじめの一部を認定し、学校や教育委員会の対応の不備も認めました。
しかし、「 (いじめが) 直接の原因となって、不登校が起きたと考えることはできない」 と結論づけました。
生徒の父親は、「不登校の原因分析は誤り」 として再調査を求める意見書を市に提出しました。
この理不尽な結論は、第三者委員会が学校側におもねっているとしか考えられません。
第三者委員会の 9人の委員のうち 3名の学識経験者は、全員が札幌市内の大学の教育学部等の教授や准教授です。 その他の委員も、札幌市内の大学の医師や、臨床心理士会から推薦された札幌市内の大学の准教授などです。
市教委が選んだのではないメンバーが入っているとはいえ、限定された地域の委員ばかりで構成されているところを見ると、利害関係があると疑われても仕方ありません。
教育評論家の尾木直樹氏は、ブログで、「いじめ第三者委員会の構成メンバーが大問題」 として、公平公正な真相究明のためには 「できるだけ県外のメンバーで構成すること」だ と述べています。
講演では、県内の大学の教育学部の教授等は教育委員会に気を使うので、第三者委員会全体の議論が活発でなくなってしまうと指摘しています。
また、調査報告書をまとめるのに、3年近くもかかっています。
こんなにも時間がかかっては、被害者側が訴訟をしようとしても、時効になってしまうこともありえます。いたずらに引き延ばしを図ったのではないかとの疑いさえ生じます。意図しなかったとしてもお役所仕事そのものであり、早急に結論づけるべき事案を遅らせることには、大きな責任が伴います。
以上、問題点をあげてみましたが、何といっても最大の問題点は、「いじめが原因ではない」 としたことです。
不登校の原因がいじめではないとするのなら、いったい何が原因だというのでしょうか。
いじめ以外の原因で不登校になったと言うならば、その立証責任は当然あるはずです。
単に否定するだけでは被害者側の申し立てを無視したにすぎません。
いじめられていると勇気をもって声をあげた被害者をますます傷つけるだけです。
被害生徒は現在も 「他人との関係に非常に敏感」 で、月に 1回精神科医の元に通っていると報道されています。
いじめは被害者の心に深い傷を残します。
一連の記事の中では、札幌市の定時制高校に通う18歳の女子生徒についても紹介されていました。
女子生徒は、2011年の中学入学直後から、悪口を言われたり、靴の中に画びょうを入れられるなどのいじめを受けました。担任等に相談しましたが、いじめと認めてもらえず、いじめは悪化するばかりでした。
そのため不眠が悪化し、鬱の症状に悩まされて不登校となり、転校せざるを得なくなりました。
母親は道石狩教育局などに調査を依頼しましたが、「証拠がない」 などと言われて、いじめの認定はされなかったとのことです。
「人間不信になり、自分にも原因があると責めるようになった」 と生徒は述べています。
6年たった今でも将来が不安で苦しんでおり、睡眠薬や安定剤を服用していると報道されています。
どちらの事案も学校側のいじめへの対処に問題があります。
簡単にいえば学校の隠蔽体質が原因だと言わざるをえません。
学校側が真摯にいじめと向き合って、適切な対処をしていれば、被害者側が長期間苦しむこともなかったと思います。
このような子供たちの心の傷が早く癒えて笑顔が戻るようにと思います。
学校側にいじめを認めさせるためにはどうしたらよいのか等いじめのご相談を承っています。
お子さんのことで気にかかることがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
井澤・松井

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