☆★ SNSによるいじめ相談 全国展開へ ★☆ すでに、このメルマガでも何度かとり上げましたが、文部科学省の「いじめ防止対策協議会」では、SNSを活用したいじめなどの相談体制について、検討が進められています。
スマートフォン (スマホ) の普及で、子供たちの用いるコミュニケーション手段において、SNSが圧倒的な割合を占めることから、電話だけでなくSNSを活用して、子供たちからの相談を受ける体制が模索されています。
そして、昨年12月、文科省は、SNSで相談を受ける事業の導入経費として、2017年度補正予算案に2億円を盛り込むこととしました。
SNS相談は、当初は、2018年の4月以降に開始する予定でしたが、昨年10月、座間市でSNSを悪用した殺人事件が起きたことで、前倒しされました。
今後、参加する自治体や教育委員会を募り、全国20カ所程度で事業を始める、と報道されています。今年度中に着手されるもので、まさに、SNS相談元年といえる年になりそうです。
現在、各地での取り組みも進んでいます。
長野県では 試験的に、昨年9月に2週間、LINEでの相談を受けつけました。10人の相談体制で、県内の約12万人の中学生・高校生を対象としました。
なんと 1,579件のアクセスがあり、547件の相談に対応しました。
前年度1年間の子供たちからの電話相談は259件でしたので、たった2週間で、1年間の2倍以上の相談に対処したことになります。
相談の内訳は、「交友関係・性格の悩み」 119件、「恋愛」 83件、「学業・進学」 48件、「いじめ」 については45件、「不登校」 は3件の相談があり、数人からは 「自殺したい」 などの相談もあったと報道されています。
電話相談と比べて、恋愛、学業の悩みなど相談内容が多様化しており、身近な相談ツールとして認識されたのでは、との推測もされています。
この結果をふまえ、長野県では、さらに検証するために、今年の入学シーズン、最大で60日程度相談窓口を開設して、本格的な導入に向けて検証を深めたいとしています。
滋賀県大津市では、昨年11月から、1人の相談員が対応する体制で、試験運用を始めました。
市内中学生の3割にあたる3中学校の 約2,500人を対象に、LINEでいじめの相談を受け付けました。
12月22日までの約2か月間に 68人が登録し、13人から23件の相談があり、いじめの相談は6件でした。
前述した長野県の相談件数にくらべて、少なく見えますが、長野県は高校生も含んでいるのに、大津市では中学生のみを対象にした違いが出ていると言えます。中学生のスマホの普及率51,7%を勘案するとほぼ同程度になります。
大津市は、今年1月からは、市内の全中学校18校の9,062人に対象を広げるとしています。
さらに、大阪府も今年1月8日から2月2日までの期間限定で、試行実施すると報道されています。府立高校10校の1・2年生を対象に、LINEを活用した教育相談を、週2回行います。
名古屋市教育委員会も、LINEなどを使い子供たちからいじめ相談を受け付ける事業を、来年度にも始める方針を示しています。
SNS相談は、子供たちにとって身近な相談方法です。
ただ、学校などで、SNS相談を強調すると、「スマホがないと相談できないんだ」 と思い込む子も多いと思いますし、スマホを欲しい子供たちには、スマホを買う良い口実を与えることにもなります。
ですが、子供のスマホ所持は、LINEいじめやスマホ依存など、その弊害が問題となっています。
また、多くの小学生は、まだスマホを持っていません。
したがって、ことさらSNS相談を強調するのではなく、電話相談、メール相談なども一緒に伝えることが大切です。
もう一点述べておきますが、いじめの相談は、1回のやり取りだけで解決できるような事案はほとんどありません。何度も、何度もやり取りすることは避けられません。
また、相談員が直接、学校や教育委員会に連絡することも必要になります。
SNSによる相談であってもここは変わりません。
今後、本格化するSNSによる相談システムも、「解決するまで関わるんだ」 という強い姿勢を忘れないでいただきたいと思います。
今後も試行錯誤はあると思いますが、全国で展開されていくSNS相談に注目していきたいと思います。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子
【注】スマートフォン所有率は、
高校生は94,8%、中学生は51,7%、小学生は27,0%。
(内閣府「平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査・調査結果」)。

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