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◆◇ 人が人を支えるということ ◇◆ 

200912 ススキ

◆◇ 人が人を支えるということ ◇◆

 以前、私は社会人1年生の男性から「いじめ相談」を受けました。その方のお話を聞くと、どうやら「いじめ」の被害があったのは、中学生時代のことです。

 クラスで発言力のあるリーダー的な男子同級生から、日常的にくりかえし、暴言、どつき、性的なからかい、カバン等を壊す、などはもちろんのこと、人格を否定するような言動を繰り返され、不登校になってしまったというのです。
 当時、担任の先生に相談したものの、いじめが終わることはなく、結局、うやむやのまま卒業することになったということでした。

 彼自身は、中学時代の不登校期間がダメージとなって、希望の高校や大学に行くことができず、その後、たいへん苦労したとのこと、精神的に不安定になり、人間関係に自信が持てず、どうしても、中学生時代の苦しい思いがよみがえってしまい、「毎日が苦しい」と言います。
 ようやく、見つけた社会人としての仕事もうまくいかず、心身ともに疲れ果ててしまい、苦しいという胸のうちを聞きました。

 一方で、加害者の男性は、世間一般から見れば、恵まれた環境の中で、比較的エリートの大学に通い、有名企業に入った、と地元の友人から聞いたというのです。

 彼の主訴(しゅそ)は、いじめの被害で僕の人生はこんな目にあっているのだから、相手を訴えて、謝罪させ、被害弁償をしてもらいたいというものです。聞くと、弁護士には既に依頼して相談に乗ってもらっているということでした。
 「では、なぜ、NPOボランティアである私に相談を持ち掛けるのですか?」と聞くと、言葉をよどませながら、「実は・・・・」と困っていることを話してきました。

 「どうしても納得できず、しかも考えれば考えるほど悔しいし、怒りも収まらないし」ということで、中学時代のいじめ加害者の就職先の会社に手紙を送りつけ、彼がどんなにひどい人間か、どんなにひどいことをしてきたかを書いて送ったというのです。
 その結果、こんどは自分が訴えられて、警察沙汰になり、さらに裁判所に呼ばれたけれど、納得がいかず、行かなかったので、欠席裁判をされて、こちらが慰謝料を払うことになった、ということでした。その時点で、先の弁護士さんから、もう相談にのれないと断られてしまった、とのことでした。
 つまり、どんなに道義的に観て、いじめ加害者が悪くて、相談者が気の毒であったとしても、世の中の常識的な部分で、相談者は加害者に負けてしまったというわけです。

 本当は、「いじめ解決は初動が命!」なのですが、今となってはどうしようもありません。

 ここまで聞いて、私には、カウンセラーとソーシャルワーカーとして、2つの道が頭に浮かんできました。
 ひとつは、心の問題としてとらえ、「アンガーコントロール」、怒りをコントロールし、平静心を取り戻し、生活を取り戻しましょう、「リフレーミング」、あなた自身の心と向きあいましょう、過去の人生を第三者の目で見る、さらに別の角度から見てみましょう、前を向いて、あなた自身の人生の目標をもって進んでいきましょう、などの励ます方法です。

 けれども、今回は、相談者の「気になる点」を考慮して、もう一つの方法を選びました。ソーシャルワーカーとしての解決です。
 心の問題も大事ですが、相談者はすぐに行動に出てしまうタイプなので、具体的にどのように対処して問題を解決したらよいのか、その方法を一緒に考えました。

 「まだ、何をすべきなのか相談する余地は残っています。納得しがたくて、民事裁判を起こしたいと思うのであれば、訴訟ができるかどうかという視点も含めて、弁護士に相談する必要がありますよ。」

 相談者は、被害に関する資料など何も準備していないようなので、
「そのために、これまで受診してきた病院の診断書とか、お金を払った領収書、明細書とか、中学時代の日記とか、友達からもらったメールとか、そのようないじめ加害者から受けた被害を証明できるような物証など、集めることもできますか。」
 「また、法務局の人権擁護委員会に相談するとか、手立てはあるかもしれません。」

 このようなお話をして、その方のお住いの県の弁護士会、無料相談会、人権擁護委員会などの住所や連絡先をホームページで調べて、具体的に情報を提供させていただきました。

 それから、私は、彼に大事な約束をしていただきました。
 まず、「期限を切る」ということです。具体的にいついつまで、「〇月×日」までやってみる。できなければ、あきらめる。費やすお金は、いくらまで、それ以上で、払えないなら、提訴をあきらめる、ということです。

 また、同級生に証言を頼んでも良いけれども、もう社会人なので無理強いはしないこと、相手の時間をうばわないこと。
 同級生と電話やメールでつながることは、うれしいことですから、もし、つながって、相手の生活ぶりや進路を聞けたら、それだけでも良しとして、いじめのことを覚えていないなら無理に聞かない。
 いじめのことを覚えている人から、協力してもらえるなら、協力してもらう。
 そして、必ず、
「声が聞けてうれしかったよ。今、元気にがんばっていて、すばらしいね。これからも友だちでいてもいいかな。」
と相手に感謝し、相手が学校や仕事、そして良い人生を送っていることを祝福する、そういうことを忘れないようにする、ということです。

 彼は、まずは法務局人権擁護委員会へ行ったようですが、「弁護士にも相談した」と言ったら、「現在、係争中の方の相談に応じかねます」と断られたと報告してきました。
 彼は、裁判のための資料を集めてみると言っていました。

 その後、ぷっつりと連絡は途絶え、もうすっかり忘れ果てたころ、ショートメールがきました。
「友だちと会いました。みんな『〇〇が悪い、(あなたは)がんばれ』と言いました。ありがとうございました。」
 はたして、相談者がいじめ被害による慰謝料請求裁判にもちこめたのか、それとも、社会人になって大人の判断ができるようになった同級生たちから、癒されていって、心の整理がついたのか、それはよくわかりません。

 しかし、心の整理をつけ、一歩前に進んだことは間違いありません。毎日が苦しいと言っている中で、昔の同級生たちと会って、「何か」をつかんだのだと思います。
 その「何か」とは、「人生のさけがたい不幸の中に見つけた悟り」と言っても良いのだろうと思います。私は、仏陀の「からし種」の教えを思い出しました。(注) 彼から、人生を再出発することの大切さを教えてもらいました。

 ただ、このケースもそうですが、気をつけていただきたいのは、「いじめ相談は早めにしないと解決に結びつかない」ということです。
 前述したように、「いじめ解決は初動が命!」なのです。
 いじめの早期発見、早期相談が、解決に結びつきます。このことを知ってほしいと思います。

社会福祉士、精神保健福祉士
元保護観察官
前名古屋市教育委員会 子ども委員SSW
現福祉系大学 講師 堀田利恵

(注)「からし種」の教え
 自分の小さな息子を亡くした母親が、釈尊のもとに行き、「お釈迦様の持っている神通力でもって、生き返らせてください。」と嘆願しました。
 釈尊は、「では、生き返らせてあげよう。いまだ死者を出したことのない家から、からし種をもらってきなさい。」と答えたのです。
 母親は、町を尋ね歩きましたが、死者を出したことのない家は、どこにもなかったのです。
 すると釈尊は、「死者を出さない家というのはないのだよ。どのような人でも、必ずこの世を去っていく。」という話をし、それが縁となって、母親は出家して、釈迦教団に入ったと伝えられています。

 

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[ 2020/09/12 21:30 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

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