◆◇ スクールセクハラから
子どもを守るためには (1) ◇◆ 教員による児童・生徒に対する性犯罪があとを絶たちません。特に女子の被害が大半をしめています。統計では、毎年、懲戒免職者数が増加の一途をたどっています。大学の研究者の中には、実際の被害者は最低でも10倍はいるのではないかと述べておられる方もいます。
子ども達から見れば、先生は絶対的な指導者であり、権力者であるため、被害にあっても声を出しにくいのです。そのことを熟知している教師が、性とは何かを知らない無防備な子ども達に対して、鬼畜とも思える犯罪行為を行う、決して許されるものではありません。
これまでは、性犯罪を犯した先生が、戸籍上の氏を変えたり、違う県に住所を移して情報ネットをすり抜け、県を変えて就職し、そして「再び事件を起こした」ということも報告されています。
そのため、今国会で、児童生徒にわいせつ行為をして懲戒免職となり、教員免許が失効してしまった教員に対し、都道府県教育委員会は教員免許の再交付を拒否できるとする新法が、5月28日、可決、成立しました。今までは、失効後3年が経てば教員免許の再交付が受けられていたのです。
このメルマガの読者は、子どもを持つ保護者や教師など教育関係者が多いことから、今回は、こういった事件が止まない原因について考え、大切な子どもを守るための学校としての防止策や保護者の心構え、そして教師自身の子どもとの心理的、社会的距離の取り方を中心に考えてみたいと思います。
子どもへの性犯罪を行う教師が、なぜ存在するのでしょうか。「子どもが大好きで教師を目指しました」とはよく聞かれるセリフです。
その中に、最初から故意の性犯罪者はいるのでしょうか。
学生時代からロリコンであり、そういった画像を集めたりする性癖の方が、教員試験に合格し、学校の先生になる・・残念ながら、司法での取り調べや本人の供述を調査すると、そういった故意の性犯罪者が極少数ながらいることは事実です。
反対に、「えっ!あの、みんなから慕われている熱血先生が? 奥さんも子どももいるのになぜ?」という事例もあります。
もともとは、そのような性癖から縁遠かった先生も、後天的に環境的要因も相まってアディクション(*注)に走る場合があります。
職場にもよるでしょうが、勤務時間超過、過重労働、上司との軋轢等のブラックになりやすい職場環境の中において、ストレス発散のために、アルコール依存、パチンコ依存、そして性依存などに陥る危険性があるのです。
「ぱっとストレスを解消して、集中して眠りたい、休みたい」、
そのアディクションに没頭している時は、ストレスから解消されるように思えてしまうのです。依存性を増し、繰り返していくうちに悪習慣となって、もう離れられなくなるケースも後を絶ちません。本来は生真面目であった先生ほど、はまると抜け出すことが困難になります。
教員の皆様には、無駄な仕事に見切りをつけるスキルを身に付けることをお勧めしたいと思います。また、できるだけ休暇を取り、負担やストレスを解消し、リラックスできる方法を見つけていただきたいのです。
人間は自分自身で考え方を決めることができる存在なのだと信じてください。
性情報に溺れることは「偽物の自分」です。自らの意志で決別し、「真実の自分」を見出してください。
加えて、教師としての「目標」を見直すことも大切です。だれかからの評価ではなく、自分自身の人生の目標です。あなたが死ぬ際に、どういう人物であったか、あるいは、あなた自身が生徒からどのように言われたいかという基準で考えることをお勧めします。
北極星のごとき目標に向かって歩み始めると、性的な執着から離れるためのスタートを切ることができます。
あるベテランの男性教員から、私はこういう言葉を聞きました。
「僕らの職場は、毎年、若くてかわいらしい子ども達が必ず入ってくる。お化粧なしのすっぴんの顔で美しいピチピチの少女たちが、供給され続けるのです。
そういった環境の中で、社会的常識を保ち続けることができるかどうか。それはその人自身の問題だ。
教師は大学を出てすぐ教員になるから常識がないと言われる。しかし、学生時代の部活にしろバイト先にしろ、また教師になってからの社会生活の中でも常識は培われている。
でも、若い先生には誘惑や落とし穴が口をあけて待っている。ときには、生徒からも恋愛感情を持たれ告白されることもある。家庭で問題を抱えている子どもが甘えてくることもある。
しかし、そんなときこそ
『中学を卒業し、そして高校を卒業しても、まだ好きだったら、その時、もう一度言ってね。』と笑って答えることだ。
少女たちは、先生という身近な青年男性である自分を通じて、擬似的な恋愛体験の練習をしているに過ぎない。大人になったら、忘れているだろう。
いまの感情は受けとめてあげるが、未来に向けては、決して流されない。子ども達の精神的な成長を暖かく見守り、次のステージに送り出すことが教師の役目だ。」
たしかに人として、しっかりとした自己覚知をお持ちの言葉だと思いました。教師は、子どもとの心理的距離の取り方、社会的距離の確保を考え、誘惑に打ち克っていただきたいものです。ぜひ、人生の先輩であるベテランの先生と話をしてみてください。
そして、「学校組織」としての取り組みも考えていかなくてはならないと思います。
男女複数担任制や、クラス担任だけを相談窓口に限定しないという取組みも必要です。日頃からフランクリーに子どもや保護者が相談することができる、開かれた学校環境づくり。そのためには、先生を支援するための心理カウンセラーと弁護士等の総合相談窓口を持つことです。その窓口は、ときに校長や教育委員会への報告を要しない、守秘義務を柱とした組織とすべきだと思います。
学校内外で、死角をつくらない、空間的な犯罪防止対策も大切です。
PTAや地域を巻き込んだ、子どもの安心安全な地域支援体制づくりです。
今回は、保護者が子どものために気づきたいこと、性被害に遭った子どものケアや被害回復の方法等は述べませんでした。またの機会に述べたいと思います。
社会福祉士・精神保健福祉士・行政書士
元保護観察官
現福祉系大学 講師 堀田利恵(注)アディクションとは
「ある物質や一定の行為にひどくのめりこみ、日常生活に害があるとわかっていながら、自分ではコントロールができない、そうせざるを得ない不健康な習慣への耽溺がアディクションであり、日本語では嗜癖(しへき)である。」(日本アディクション看護学会ホームページより)

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