安部首相の教育改革を前面的に支援し、国民のいじめ撲滅意識を高めることが、今後いじめを無くす大きな原動力となるだろう。by HM
いじめ見舞金 隠蔽体質の改善 こそ重要
学校生活で子供が事故で死亡した場合の「災害共済給付制度」について文部科学省が省令を改正し、学校でのいじめが原因なら校外で自殺した場合も見舞金が支払われることになった。
自殺した場所によって見舞金が支給されない場合があるこの制度に対して、遺族から強い疑問がでていた。改正は当然だが、いじめを隠そうとする学校や教育委員会の体質が変わらなければ、改正しても効果をもたない。
この制度は、教育委員会や学校法人、保護者が掛け金を負担し、子供が学校内や通学路、修学旅行など「学校の管理下」で死亡したりけがをしたりした場合、死亡見舞金や医療費が保護者に支払われる。
しかし、学校でのいじめが原因と判明しても、福岡県筑前町で昨年10月に中学2年生が自宅で自殺したケースや、愛媛県今治市で昨年8月に中学1年生が通学路から離れた所で自殺したケースは支給が認められなかった。
制度改正について遺族は「広く救済されることになる」など一定の評価をしている。しかし遺族らが本当に望むのは、いじめの真相解明やいじめをとめる学校側の責任ある態度だ。
北海道滝川市で小学6年の女子児童が自殺したケースでは、いじめを示す遺書が残されていたが学校や市教委は1年間公表しなかった。文科省の統計でもいじめ自殺が「7年連続ゼロ」とされるなど、ずさんな実態把握に不信感が広がった。
学校側の責任を明らかにするために損害賠償訴訟に踏み切る遺族もいる。講演会などでいじめ撲滅を訴える遺族らの取り組みは真剣だ。
国会閉幕後の記者会見で安倍晋三首相は「いじめに対しクラス、学校、教育委員会が見て見ぬふりをしてきた」といじめ問題で明らかになった教育界の体質を厳しく指摘し、教師の資質向上や教委改革など教育再生の重要性を改めて訴えた。
愛媛県今治市で自殺した生徒の祖父は今回の制度改正を歓迎する一方で「孫が戻ってくるわけではない」と語り、相談をしても対策をとらなかった学校などへの苦渋の気持ちを口にした。こうした遺族の気持ちを重く受け止め、いじめをなくす取り組みを続けなければならない。