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映画 『明日、君がいない』 

        自殺を鋭く描く―映画


           『明日、君がいない』   


                                       若林 順平


「一体、誰が自殺するんだ」。


 そんな奇妙な疑問を持ちつつ映画を見たのは、初めてだった。そして、クライマックスのシーンがあまりに辛くてスクリーンを直視できなかったのも初めての経験だった。




(C)2006 2:37 PTY LTD.



 美しい陽光と、緑に輝く木の葉をとらえて映画は始まる。そして、どこにでもあるような高校の校内。とある一室は、内側から鍵がかけられ、外から大きな声で呼びかけても反応がない。しばらくして、ドアの下のすき間から多量の血液がゆっくり流れ出る。


 登場する6人の高校生は、それぞれ悩みを抱えている。


 親の期待からくるプレッシャー。好きな人の冷たい態度。体の悩みで繰り返されるいじめ。兄弟に対するコンプレックス。そして、誰にも言えない性的な問題。


 映画はそんな6人の若者のある1日を追っていく。1人を追う中で、またもう1人をとらえる。まるでバトンを渡すかのように人物を次から次へととらえ、その中で感情がにじみ出る鮮やかなシーンが大胆に若者の心のうちを照らし出す。そして、時折入るインタビューシーン。人間の呼吸に沿うようなリズム感が見る者の心をわしづかみにする。その巧妙な演出が若干19歳の若き才能によるものとはとても思えない。


 高校生にとっての「生きがい」とは何だろうか。そんなことをすごく考えさせる。


 優等生は、テストの点数が数点足りないことで親に怒られてしまう。それが怖くてヒステリーを起こし、担当教諭に対して怒号とともに「テストの点数をごまかせ」と迫る。


 ハンサムボーイは、異性にモテる外面と誰にも言えない感情を抱えた内面のギャップに苦しみ、1人シャワーを浴びながら涙する。


 体のことでいじめられている内気な彼は、親の心配を考え、いじめられていることを親に言うことができない。周りの同級生から聞くに堪えない言葉を浴びて無表情。劣等感ばかりを背負って、笑顔を忘れた姿は痛々しい。


 彼らを苦しめ、追い込むものは一体なんだろうか。


 




(C)2006 2:37 PTY LTD.



 親、家庭、学校、友人、先生。はっきり断定することはできない。ただ思ったことは、彼らの等身大の姿をちゃんと見ている大人が1人もいないということ。成長過程の彼らを見守って、愚痴を聞いたり、助言をしたりする大人がこの映画には出てこない。


 彼らの素直な言葉や、素直な感情を包む存在が彼らの苦しみや孤独を和らげるのかもしれない。


 映画のクライマックス。直視できないシーンがしばらく続く。


 その壮絶なシーンは死ぬことの果てしない苦しさと孤独を感じさせる。痛々しく、時に劇場を出てしまおうかと思わせるくらいに見るのが辛い。しかし、確実にそのシーンには若者の孤独が招く結果が表現されている。


 この映画は自殺までの過程を描きながら、現代の若者の心の孤独を鋭く描いた素晴らしい作品。この映画のことは一生忘れないだろう。


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