
本番を目前に控え、練習に励む生徒たち=豊川市南部中学校で
いじめ、非行…劇で問題提起
豊川市南部中学校の生徒たちが十二日開かれる同校文化祭で、いじめや不法滞在問題などを主題にしたオリジナル劇を披露する。スタッフは有志で出演者、裏方合わせて約百五十人。卒業生や先生のアドバイスを受けて七月にシナリオを作り、夏休み中も連日集まって練習を重ねてきた。衣装や音響も本格的で「多くの人に見てほしい」と一般の来校を呼び掛けている。
現代劇「空と君のあいだに」は(1)いじめに苦しむ少年(2)認知症の姑(しゅうとめ)の世話に疲れ果てる嫁(3)非行に走る少女(4)不法滞在で家族を支える父-の四部構成。一話完結だが、全体として「起承転結」を考えて演出している。
「いじめ」では知的障害者の少年がいじめに遭い、自殺を図るが助けられ、友人と分かり合う。「認知症」は「姑を殺したい」と思う嫁の心の動きをとらえながら共に生きていく姿を表現する。「非行」は離婚し、別の女性と再婚する父親の元を去っていく少女の物語。「不法滞在」は来日した中国人が差別や言葉の壁を乗り越え、家族のために懸命に働く父親の姿を描く。
大人の役が多く、役作りに苦労した。実際に同じ境遇の人を取材した生徒もいた。大道具や衣装の製作など裏方も、限られた時間での準備に追われた。練習では生徒たちの頑張りを記録に残そうと、ビデオ片手に見学する父母の姿もあった。