
photo by T. Ikeda「またあの子の親になりたい」
いじめ自殺1年で両親が手記
昨年十月、いじめを苦に自殺した岐阜県瑞浪市の瑞浪中学校二年の女子生徒=当時(14)=の両親が命日の二十三日を前に、現在の心境をつづった手記を本紙に寄せた。「家族が今あるのは支えてくださった皆さんのおかげ」「許されるなら、またあの子の親になりたい」-。手記からは、最愛の娘を失った家族を気遣う周囲の人への感謝の気持ちと、亡き娘への絶えることのない愛情が伝わってくる。
突然、大切な宝物がなくなってしまってから、一年が過ぎようとしています。どうやって過ごしてきたか、わからないほど、ただただ時間だけが過ぎていきました。そんな中、私たち家族が今あるのは、そばでいつも優しく温かく支えてくださった皆さんのおかげだと、感謝の気持ちでいっぱいです。
言葉にできず、涙しか出ない時、黙って抱きしめ一緒に泣いてくださった方、「何回でも話して」と優しく受け止めてくださった方。「苦しんでつらい思いをしていたのにわかってあげられず、悔しい気持ちでいっぱいです」「私が一番苦しかった時、唯一声をかけてくれたのに…」と話してくれた友達。娘のことを自分のことのように受けとめ、たくさんの言葉をかけていただきました。
心を壊されてしまったあの子は、家族や大切な祖父から誰よりも愛されていると実感していながら、それを振り返ることができず、命を絶ってしまいました。
まだまだ生きたかった。大好きな本をいっぱい読み、きれいな絵を描き、好きな京都で暮らしてみたかった。ケーキバイキングを食べ、笑って仲良しの友達と本の話をしたり、浴衣を着て七夕祭りにも行きたかった。三年生最後の体育大会で、応援団として熱く燃えたかった。塾にも楽しく通い、家族でいろんな行事を楽しみたかった。夢いっぱいの人生が、どうして。胸が張り裂ける思いです。