◇不屈のひみつ
ダサい僕かき消したギター

ROLLYさん
ロック・ミュージシャン
「いじめを恐れて個性を抑えるのではなく、むしろ伸ばせばそれがウリになる。変なやつほど磨けば光るのだから」=菅野靖撮影
1963年、京都府生まれ。「すかんち」では「ローリー寺西」の名でボーカルとギターを担当。俳優、プロデューサーとしても活躍。プロデュースを手がけた歌手、Kimeruの新曲「恋してキメル!」が先月発売された。
「電気ブタナマズ」
大阪・高槻の電器店に生まれた待望の跡取り息子。両親は期待を込めて、「一雄」という男らしい名前を付けた。ところが本人は、野球やサッカーには、まるで興味なし。マレーネ・ディートリヒとマリリン・モンローに魅せられ、女性の服を着て、鏡の前でうっとりする少年だった。
「勉強はできないし、駆けっこはビリ。気弱で陰気なうえに女装趣味ときたら、周りからはすっかり変態扱い」
「人に迷惑をかけたらあかん」という母の教えを、かたくなに守っているにもかかわらず、いつも異端視される。いい知れない孤独を物心ついたころから味わっていた。
広い屋敷に、ばあやがいる裕福な家庭だった。やっかみからか、小学3年生のころ、いじめが始まった。小太りで強度の近視、おまけにうっすらヒゲが生えている。あだ名は「電気ブタナマズ」。
掃除当番を押しつけられ、うつむいてゴミを集めていると、「ドンクサ」とはやし立てられ、ほうきでたたかれる。帰り道では皆の荷物を持たされ、一つでも落とせば最初の地点に戻ってやり直し。担任の女性教師は見て見ぬふりだった。
「ずる休みする度胸もない。風邪をひけば休めると、おなかを出して寝たことも」。そんな息子を母は「そんなん放っておき。いじめられたお陰で、人より強くなれると思えばええんや」と励ました。その底抜けの明るさが、唯一の救いだった。
中学1年の時の夏休み、兵庫県の母の実家でギターと出合った。「いとこのお兄ちゃんにいくつかコードを教えてもらったら、すぐにうまくなって。うれしくて、夏休みの間ずっと練習してたなあ」
新しい世界の扉が開いたような気がした。学校に戻れば、相変わらずダサくて暗いいじめられっ子で、好きな女の子に声をかけることもできない。だが、ギターが上達するにつれて、自信が育っていった。20代半ばには、過酷なダイエットで20キロ近く減量。「電気ブタナマズ」の面影は、もうなかった。
「神様のわな」疑う
デビュー時のバンド「すかんち」解散後は、シャンソンやジャズ、ミュージカルなどへと、活動の幅が広がった。4月には、一昨年結成したバンド「The卍(ザ・マンジ)」の初アルバムのリリースを控えている。
順風の中にいるが、そんな時ほど、なぜか心細くなる。「神様のわなかと疑ってしまう。すべて夢で、目がさめたら何もかも失っているんじゃないかと」。思春期の暗い記憶が鮮烈で、幸運を無邪気に喜べない。だが、あの苦しい時代を乗り越えたお陰で、今の自分があるとも思う。
「小太りで弱虫の一雄は消えた訳じゃない。今も僕の中にいるんです」。どこまでも「孤独」や「不安」と共に進むしかないと、覚悟している。
ROLLYさんは、いじめを受けた暗い記憶のためにいまも「孤独」や「不安」を抱えている。しかし、負けてはいない。自分の個性を大切にし、磨くことで光を放つことができることを不屈の闘志で証明しようとしている。
いじめに苦しんでいる君、決していじめに負けるな! by Y.H.
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