■人を変える「ありがとう」
小学生のころ、いじめに苦しんだ。蹴(け)られたり、かばんを隠されたり、教科書を破られたり。中でも、ある女の子の仕打ちは陰湿だった。
仲良しの同級生からお誕生会に誘われて出かけていくと、玄関でそのいじめっ子が待っていた。「ちょっと、ここで待ってて」。立ったままずっと、待っていた。そのうちトイレに行きたくなって上がっていくと、パーティーはすでにクライマックス。結局、部屋には入っていけずに、そっと帰った。
「最初のころは、いじめなのか遊ばれてるのか分からなかった。抵抗しないからだんだん、いじめがいのある子になってたんでしょうね。仕返しをしたかったけど、母親からいつも『自分がされてイヤなことは人にしてはいけない』といわれていたので、耐えるしかなかった」
優しい人もいた。用務員のおじさんだ。放課後に声をかけられた。「いつも1人だね。お茶でも飲んでいきなよ、デガラシだけど」。心が温まった。「デガラシ? でもおいしい」。その意味を知ったのは大人になってからだが、「人の心を動かしたんだから、出がらしも一級品です」。
やがて転校することになった。お別れの日、母親からクラスメート全員分のノートと鉛筆、消しゴムのセットを渡された。「笑顔で一人一人に『ありがとう』と言いなさい」
えーっ? いじめっ子にまで? イヤだなぁ。その女の子に近づくにつれ顔がひきつっていくが、「ありがとう」と言って手渡すと、その子は言った。「ごめんね。がんばってね」
いじめのことは母親に気づかれないようにしていたつもりだが、母は事情を知っていた。「お母さん、『ありがとう』って、すごい言葉だね」。毎日、逃げるように下校していた校舎をその日、初めて振り返った。教室の窓からみんなが手を振っていた。(以下中略) 敬称略(文 柳谷昇子)産経ニュース
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