いじめやひきこもりなど、様々な悩みを抱える子どもの専用電話「チャイルドライン」を運営する中国地方の8団体が、相談業務を相互に補う体制を5日、スタートさせる。これまでは、団体ごとに週1~4日の限られた時間で対応してきたが、統一のフリーダイヤルを設け、中国地方のどこからでも、日曜を除く毎日午後4時~9時につながるようになる。運営団体は「これを機に、一人でも多くの子どものSOSを受け止めたい」としている。
チャイルドラインは18歳以下を対象に、子どもの気持ちを受け止め共感することで心を和らげ、自立を支えるのが目的。研修を積んだボランティアが「秘密厳守」「互いに匿名」「大人の価値観を押しつけたり説教したりしない」などの約束で対応している。
1970年ごろに欧州で始まり、日本がモデルにする英国では24時間対応。国内では1998年3月の東京都世田谷区を手始めに、36都道府県で65団体が活動中で、県内では、NPO法人のひろしまチャイルドライン(広島市西区)とチャイルドラインびんご(福山市)が、個人や企業の寄付などで活動している。
相談日や時間帯は、各団体で異なり、中国5県ではボランティアの少ない鳥取(週1回)や岡山(週2回)の対応強化が課題だったが、5日以降は電話番号を統一し、交代で対応する。
「僕はいつも独りぼっち。僕が触ると友達に気持ち悪がられる。僕の心は石のように硬くなる」(小学男子)、「勉強を頑張っているのに成績が伸びずイライラする」(中学男子)、「知り合いの男性から『好きだ』と毎日メールが来る。放っておくと『どうしてすぐ返信しないのか』と怒りのメールが来て精神的にきつい」(高校女子)。
中国5県と愛媛県の9団体が共同で、昨年11月の1か月間、同様の取り組みを行ったところ、2683件の電話が寄せられ、人間関係やいじめ、恋愛などの悩みが目立ったという。
ひろしまチャイルドラインの上野和子理事長は「親や先生に思いを受けとめてもらえない子どもらの<心の叫び>にもっと耳を傾けたい。理解してくれる人がいると分かるだけでも勇気づけられ、自分の力で歩いていくきっかけになるはず」と話している。
フリーダイヤルは、0120・99・7777(4日までは0120・7・26266)。問い合わせは、ひろしまチャイルドライン(082・272・5540)へ。