実った夢 信じた心
松井秀喜選手「いじめ撲滅」へのメッセージ
「いじめは夢の遠回りになっている」
ワールドシリーズを制し、MVPを獲得した松井秀喜外野手(35)の試合後の第一声は、「夢みたいですね」だった。彼らしかった。ヤンキースで世界一となることは、松井の「夢」そのものだった。
松井は「夢」を語り続けてきた。故郷の石川県能美市にある「松井秀喜ベースボールミュージアム」には、まだ右でバットを構えていた少年時代のブロンズ像がある。台座に掘られた文字は「僕には夢がある」。当時の夢は「甲子園」。それはプロ野球選手に、巨人の4番に、大リーガーに、ヤンキースで世界一にと変わった。夢を信じ続け、努力を怠らないことで、すべてはかなえられた。
松井は例えば「夢」という言葉をこう使う。かつて「いじめ撲滅」へのメッセージを発したときのこと。
《僕の夢は野球そのものだった。いじめることが夢なんていう人はいないはずだ。かなう夢、かなわない夢があると思うけど、いじめは夢の遠回りになっている》
「夢」とは、そこへ向けて突き進むもの。06年のWBCでは日本代表を辞退し、激しい非難にさらされた。ひざの故障と戦っていた彼は、それでも悩み抜き、「ヤンキースで世界一になるという夢がおろそかになるのを恐れる自分がいました」と語った。夢への遠回りは許せなかった。そして今日がある。
3年前の秋、全国でいじめに悩む子供の自殺が相次いだ。社会部で当時、1人でも悩める子供にストップをかけられないか、と話し合い、松井に呼びかけを頼んだ。依頼を快諾してくれた彼は「いじめている子と、いじめられている子、どちらに書けばいいのだろう」と悩み、メッセージは2日後に届いた。
《もう一度考えてほしい。あなたの周りには、あなたを心底愛している人がたくさんいることを。人間は一人ではない。一人では生きていけない。そういう人たちが悲しむようなことを絶対にしてはいけない》。呼びかけは、翌日の産経新聞に掲載された。
試合後、松井は「NYが好きだし、チームメートが好きだし、ここのすべてが好き」と語った。球団は松井を放出する方針らしいが、ゲームの中盤から「MVP」コールを送り続けた彼を愛するファンが、それを許すだろうか。(別府育郎)
【2009年11月6日 産経新聞】
【写真】笑顔でMVPのトロフィーを掲げるヤンキースの松井秀樹選手=4日、米NY(AP)

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