
ビタミン 別フレKC
著者
すえのぶ けいこ 講談社
さてさて、「いじめマンガ」のお勉強、第2弾です。
前回にひき続き、少女マンガを読破してみました。購入にも抵抗がありますが、少女マンガを読むこと自体も、オジさんにはつらい修行ですね・・・
さて今回は、講談社から発刊されているコミック、すえのぶけいこ著、KC別フレ「ビタミン」です。
実は、二週間も前に読了していたんですが、この作品、どうしても直視することができませんで、今まで、感想を漏らすことすらできませんでした。受ける印象は、地獄そのものって感じでしょうか。今、この感想を書いている時ですら、もう一度ページを開いて読み直そうという勇気が、どうしても沸いてこないくらいです。
気を許せば、このコミックに結果を張ったりしたくなりますし、「お焚き上げなんかもいいかなあ」なんて思っちゃうくらい、「ズドーン」と心が沈みこむ作品です。
本書の内容は、本当に書くのも嫌ですが、主人公が「不純異性交遊」の現場をクラスメートに見られ、それが契機となって、クラス中からいじめにあう話です。その「交友」の相手にも裏切られるという、まったく、救いのない話です。
もちろん、いじめの内容は、「強制わいせつ」に「傷害」など刑事事件として、充分に立件できる悪質な犯罪行為です。とてもではありませんが、子供には見せたくない内容のオンパレードです。
ところがところが、とんでもなく間抜けなことに、買ってきた本書を、娘に先に読まれちゃいました!中二の娘にです!まったく、親子してこんなの読んでるんですから、救いはありませんよねー。
閑話休題
本書の特徴です。
一つには、クラス中総がかりでやる「いじめ」の実態が描かれています。昔ならば絶対になかった、「クラス全体による一人へのいじめ」の光景が、説得的に展開されています。もちろん、胸ふさがる光景としてです。
いま一つには、「不純異性交遊」の不毛さでしょうか。決して、「蜜の味」としては描かれていません。そして、いつの時代にも、女性が犠牲者となります。
そして最後には、保護者の無理解が上げられましょうか。いじめで不登校になっても、世間体を優先する母親の姿。反省を迫られます。もっとも、この作品中の母親は、最後には、見事に子供の守護天使として覚醒するのが希望ですが。
また一方、短所と言えるかどうかわかりませんが、気になる視点はあります。
まずは、本書の結末、結論として、いじめが解決されていないこと、でしょうか。最後まで、正義は実現していません。解決策は、卒業によって、縁が切れることだったのです。しかも、和解も反省もありませんでした。正義は実現せず、悪の力には、反省のよすがもないのです。
さらには、善人が一人も出てきません。覚醒後の母親が唯一の例外でしょうが、クラスメート、交際相手、担任、その他すべての外界が、悪意と悪人で満ちています。その「悪の世界」との一方的な決別を以って、主人公の再出発、というラストになるのです。これは、読み手に対して、世界を暗黒視させてしまうといっても、過言ではありますまい。
そして、父親が役割を果たしているとは思えません。父親が、その聖なる義務である家族の保護に、生命がけで立ち向かっていれば、もっと違った展開になれたであろうに、という、父親全体を代表しての懺悔の念でした。世は、父親不在、父権の喪失の時代なんでしょうか・・・
さて、この作品がフィクションであることは間違いありませんが、私は、この作中に生々しい苦しみと悲しみを感じてしまいます。
このいじめの描写は、この暗黒感、絶望感は、実際の体験者でなければ書けないのではないかという疑念です。著者デビュー作ということもあり、著者の心の苦しみが、一冊の本になっている、という見方も可能でしょう。
本書で接する苦しみは、読むことによって、読者が地獄・煉獄に、直接に接する苦しみ、作者が接した、この世の地獄の苦しみ日本の教育界に巣食う、いじめの地獄の苦しみそして、いまだに著者が抜け出ていない、世を恨む不信の苦しみでしょうか。
こんな地獄が、日本中から払拭されることを期待したいと思います。
なお、次回は同じ作者の「ライフ」を予定しています。これがまたゴツイんだー!
いじめから子供を守ろう!ネットワーク
特派員 いいだたけし
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大変、興味深く拝見させていただきました。書評、感謝いたします。
以前より、最近のいじめは悪質になるのは何故か?そして一人対複数という構図に疑問を感じていました。子供達をとりまく環境がかわってきたのでしょうか。十年ほど前、小学生の娘の部屋にたくさんのコミックがあったのをふと、思い出したりしました。友達から借りてくるのですが、小学生低学年らしからぬ内容でした。 今の子供達は~と当時も思ったものです。
私も読んだことあります。
こわかったです。
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