OECD学習到達度調査
日本の読解力15位→8位 経済協力開発機構(OECD)は7日、
2009年に65カ国・地域の15歳を対象に実施した
「生徒の国際学習到達度調査(PISA)」の結果を発表した。低迷が続いていた日本の順位は、文章やグラフの内容を読み取る読解力で8位と、前回の15位から大幅回復。数学的応用力と科学的応用力も順位を1つずつ上げ、それぞれ9位と5位となった。
トップクラスには日本以外のアジア諸国・地域が目立ち、
初参加の中国・上海は3分野で1位を独占した。
PISAは3年に1度、
読解力、数学的応用力、科学的応用力の3分野で行われる。今回はOECD加盟34カ国、非加盟の31カ国・地域で、約47万人を対象にテストを実施。日本は全国から抽出された185校の高校1年生約6千人がテスト問題に取り組んだ。
読解力は00年の水準にまで戻したが、
トップグループとの平均点の差は大きく、1位の上海と比べると36点低かった。文部科学省は、読解力が向上した理由を「始業前の読書活動などの取り組みが進んだ」と分析。知識や技能を実生活で活用するPISA型の設問を07年度から始めた全国学力テストに取り入れ、学校現場に浸透したことも一因とみている。
数学的応用力と科学的応用力も平均点や順位はそれぞれ少しずつ上がったが、
トップクラスには戻れなかった。
数学的応用力は00年は1位、科学的応用力は00、03年と連続2位。
いずれの分野でもトップクラスの国と比べると、
日本は得点の低い生徒層が多く、
基礎的なデータ情報を解釈したり、
自分の知識・経験に結びつけて考える力が弱いという結果が出た。
生徒へのアンケートも併せて行われ、「趣味で本を読む」割合は56%で、00年より11ポイント増加。ただ「趣味で読書をすることはない」割合も44%で、OECD平均(37%)を上回った。
全体ではアジア勢の躍進が目立ち、2位は読解力が韓国、数学的応用力は初参加のシンガポール、科学的応用力はフィンランドが入った。
■OECDの国際学習到達度調査(PISA) 義務教育段階の学習内容をどれだけ日常生活や社会生活に生かせるか、3年ごとにテストで調査する。
2000年にスタートした際は、31カ国の参加だったが、65カ国・地域まで拡大した。出題は「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の3分野で自由記述式か選択式で構成され、解答までのプロセスや概念の理解が重視される。
ゆとり教育の影響色濃く
OECD学習到達度調査「授業時間確保を」 国際学習到達度調査(PISA)では、読解力も数学・科学の応用力も世界トップクラスには達していない日本の教育の実情が浮き彫りになった。
調査対象になった15歳は小学3年から「ゆとり教育」を受け、授業時間が減らされてきた世代。脱ゆとり教育路線が始まっているが、道はまだ半ばだ。専門家からは「もっと授業時間の確保を」「より難しい本を読むべきだ」との声が上がった。

「日本の順位が『上の中』で停滞している。
勉強の習慣がない、努力を好まない、という子供たちの生活環境の問題だ」
数学の専門家で東海大教育開発研究所の秋山仁所長は、今回の結果をこう分析する。ゆとり教育では、授業時間を減らして「総合学習」の時間が導入された。秋山所長は「総合学習の時間を有効に活用できなかった」と話す。「『最近の円高で、企業は大変』とか『スーパーの円高還元セール』というニュースを耳にして、どういうことなのか興味を持たせ、自分の頭で考えていけば思考能力も高まったはずだ」
埼玉大経済学部の岡部恒治教授は「
子供たちが自分で考える機会をつくるためにも、授業時間の確保は欠かせない」と話し、ゆとり教育での
授業時間“削減”が原因と分析する。
ゆとり教育は数年前から実質的に路線転換が図られ、教育現場では授業時間は増やされ始めた。小学校では平成23年度から正式に脱ゆとり教育の新学習指導要領が施行される。
しかし、単純に授業時間を増やすだけでは、不十分だとの意見もある。東大名誉教授で高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の兵頭俊夫特別教授は「
学校で基礎問題をしっかりと解ける力を身につけていけば、応用問題にも対応できる。基礎の大切さが見直されるべきだ」と話す。
PISAで併せて行われたアンケートでは、日本の子供たちは以前より読書の習慣が身に付いているという結果も出たが、国語作文教育研究所の宮川俊彦所長は「世界のトップレベルを目指すなら、
読む本の内容も問われる。自分の好きな分野だけを読むのではなく、
難解な古文や古今東西のさまざまな作品を読むことが必要」と注文を付けている。
【2010年12月8日 産経新聞】

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