「いじめ撃退マニュアル」
小寺やす子・野口よしみ 著
「子供がいじめられて毎日こんなに苦しいなら、もう死のう、死んで楽になろう。」と9階のベランダの手すりに足を掛ける。夜中の2時だった。そのとき近くのマンションの7階で、のうのうと寝ているいじめっ子の部屋が見える。ふつふつとはらわたが煮えくり返ってきた。
このとき小寺さんは変わったのだ。自分が世間からどう思われようと、「うるさい親」「過保護」「気ちがい」「変人」「常識はずれ」「異常性格」「ばか」「子供と同じ」「鬼」「悪魔」などなど、いろいろ言われようとも、自分の身がかわいくて世間に対してものわかりのいい親を演じるより、自分の子供を生きているうちに救ってやろうと。
動物なら、自分の子供が外敵に攻撃を受けたり、連れ去られそうになったらどうするだろうか。牙を向いて相手に命を顧みず襲い掛かるだろう。それが動物の本能だ。しかしこの国の大人はいつからかくも遠慮深く、怖くない存在になってしまったのだろう。いじめなどの社会悪に対しては、もっと本能むき出しで戦うべきなのだ、と私は本書から学んだ。
「わが子の命を救うためなら、何ものをも投げ出して戦う覚悟持った親」のための、いじめ撃退のための学校交渉法と言える。
普通、証拠や各種書類なしで、親がいじめの被害を訴えに学校に行っても、「いじめられるほうも悪い」「家庭にも問題があります」と言われて、落ち込んで立ち直れなくなってしまう。
そうならないためには、綿密に準備し、学校交渉のリハーサルもして、学校に乗り込むことだ。してはいけないことは、「かっとなって相手の親に文句を言う」「PTAの役員に泣きつく」ことだ。
連絡帳と被害記録ノートを持って、担任や校長、教育委員会と交渉(ステップ1〜5)
情報公開制度を利用する(ステップ6)方法が本書では詳しく説明されている。
被害記録ノートには、いじめの日時、聞き取り相手、場所、加害者の名前、いじめの様子、目撃者、先生の対応、本人の状態を詳しく記録する。泣き寝入りするも勝利するもこのノート作りにかかっている。
まさにマニュアルと言える、交渉の言い方、書き方が豊富に解説されたすばらしい本だ。
小寺さんが頼りない学校の先生に代わって、いじめ指導したエピソード。
「よろしければいじめっ子の指導、私がしましょうか。」と先生の許可を取る。
いじめっ子を学校のトイレの前に呼び出した。
「あんた、うちの大事な子に、いったい何をしてくれたの!」「警察に言うよ」「警察にマークされるような人間なんか、ろくなもんじゃない。高校だって、就職先だって、どこもあんたのいくとこなんか、なくなるんだよ。うちの子をいじめるなら、おばさんがあんたの行くところへつきまとって、全部ばらしてやる。高校にもいけなくなるだろうし、会社にも勤められなくなるし、お嫁さんも来ないし・・・・。弱いものいじめなんかやってると、いまにこじきか監獄行きだよ。それでもよければ、いじめ、バンバンおやりよ!」と胸倉をつかまえて、こども相手にすごみました。私は、いじめっ子が本気でいじめをやめるまで、つきまとってやる腹はくくっていたつもりです。もっとも親がいじめっ子を殴っても体罰にはならないし、教育基本法にも触れません。私は告発されてもいいと思っていたのです。告発されることで、いじめがあからさまになって、みんなが問題意識を持ってくれるなら、願ったり叶ったりだと思いました。
その日を境に、子供へのいじめは姿を消しました。そして私は、子供を守るために、徹底してうるさい、でしゃばりババアになることを決めました。
いじめをするような子は、いじめても自分にはなにも都合の悪いことが降りかかってこないから、やめないのです。いじめると自分になにか不利益をこうむることになれば、震え上がって卑劣な行為をやめるでしょう。
いかがであろうか。
私たち親は、子供に迫り来る悪魔に対して、野生の本能に目覚めて、腹をくくって戦おうではありませんか。
いじめっ子をみんなの前で、「うちの大事な子をよくもぶん殴ってくれたな。弱いものいじめしやがって。お前の親に代わって、その卑劣な根性、たたきなおしてやる!」と怒鳴りつけ、往復ビンタでもくれてやりましょう。
向こうの親が怒鳴り込んできたら、「お互い大事な子供です。悪いことをしたら自分の子供同様に叱ってやるのが大人の責任と愛情です。うちの子が悪いことをしたら遠慮なく叱ってやってください。正義感というものは、体と心で本能的にしつけなきゃね。お互い子供は大切に厳しく育てていきましょう。」と言い、子供には、「お父さんが手本を見せてやったんだから、今度はお前が同じようにやってみなさい。」と言ってみましょう。
「そこまではやりすぎだ」と、おっしゃる方には、連絡帳やいじめ被害記録ノート、録音等を駆使した本書の学校交渉法がお勧めです。 書評 by 小野田厚志
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「いじめ逆襲マニュアル」
(河西善治著)
「このくそオヤジ!ぶっ殺してやるぞ!」
180センチはあろうかと思われる、暴走族の17歳の少年は大声で怒鳴る。
自分の息子を恐喝する、非行グループ主犯格の家に乗り込んだときのことだ。
その少年の父親は、前歯を何本も折られ、自分の手には負えないと逃げ腰だ。
闘いのゴングは鳴らされた。
「恐喝をやめなさい!」という著者に、「うるせぇ!てめぇ〜ぶっ殺すぞ!」と少年は叫び、河西氏も一歩も引くことなく、「もしうちの子に手を出したら、この木刀でお前を半殺しの目にあわせてやるからな!」と応じる。
二人の怒鳴り声は、団地中に響き渡る。闘いは2時間続いた。
その間、河西氏は少年に恐喝は絶対に悪いこと、自分の子供を守るためにはどんなことでもする覚悟があることを身をもって示した。
その結果その少年は涙ぐみながら、恐喝をやめる約束をし、恐喝事件もぴたりと止んだ。
「自殺したい」と息子に言われ、問題解決のため加害者の家に乗り込んだ河西氏のいじめ撲滅体験である。
いじめを受けて親が学校に相談にいくと、ほとんどの場合、「学校は警察ではありません。」「双方から事情を聞いて善処します。」「努力しますので時間をください。」と学校から言われ、学校はその後何もしないので、「ちくった」報復としていじめは悪化する。多くのいじめ被害と悲劇は、公立小中学校に対する親の無知から生じている。今の教師たちは、昔と違って、定時出社退社のパートタイマーのおばちゃん、おじちゃんのようである。
学校でいじめを受けても、学校や行政は助けてくれない。だから、いじめっ子への直接行動しかない。それでもだめな場合は、相手の名前やいじめを隠蔽する教師の名前のビラを撒くなどの方法で公表したり、教師への公開質問状を出したりして社会的制裁を加えることが、いじめ解決には最も有効な方法である。子供を未然にいじめから守り、もしいじめにあっても早期に救うための認識と方法を「親学」として学ばねばならない、と河西氏は訴える。
自分の子がいじめられていることが判明したらどうすべきか。
まず、親は原因者であるいじめっ子に対して即反撃し、いじめを表面化する。具体的には学校の校門などで他の子供が見ている前でいじめっ子に直接注意する。
本書によると、ここでしてはいけないことは、事前に相手の親や担任に訴えて、学校交渉という密室に持ち込まれてしまうことだ。この点が他の、「いじめ対策」本と異なる。
それでもやめないときは、「うちの子の身の安全が心配だ」と担任に告げ、個人的に授業参観を行い、いじめっ子にさらに圧力をかける。小学校段階ならほとんどここまででいじめはストップできる。
注意することは、リーダー格の子供だけを攻撃することだ。その子を見せしめにすれば、いじめグループの結束は崩れ、いじめは収まる。そして長期戦にしないこと。自殺寸前に追い込まれている場合でも、直接一撃で撃退できる。「いじめを直ちにやめろ。もし、チクッたなどどいってうちの子に手を出してみろ、直ちにお前を私が制裁してやるからな。またこれまでの被害を調べて告訴してやる。」といえば十分である。と河西氏は言う。
いじめがあった場合、現在の公立学校の体制では正攻法で立ち向かったら、ほとんどの親は立ち打ちできない。だから河西氏の言うように、親の直接行動が必要なのだ。
もちろん親が乗り出すことで周囲から非難されたり、変わり者扱いされたりすることもあるだろう。だが世間体を気にしたり、親子とも無傷でいようとしたら問題はいつまでも解決しない。親が子供をどんなことをしてでも守るという気迫の大切さを本書から感じられた。いじめられている子供が求めているものは、世間的に立派な対応をする親ではなく、身を挺して子供を助けてくれる親なのだ。
本書は、学校に言ってもいじめが改善されないときに、緊急避難として親の直接行動を考える際には、必読の書であろう。
冒頭の河西氏のバトルを読んだとき、正直私はおじけづいた。果たして私にそこまでできるだろうか。しかも氏は他人の子供も何人も助けている。
しかし親が戦わなければ、子供に正義を教えられない。
そのとき戦わなければ、子供の手本になるような父親になれない。
本書を3回読み終わったとき、
私にも、来年小学校に上がる息子を持つ父親として、いじめに対する覚悟ができた。
「なりふり構わず、命を懸けて君を守る」と。by 小野田厚志
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この度、ヤンキー先生こと義家弘介氏が参院選に出馬するため、後任の教育再生会議委員に、
宮本延春氏が選ばれました。是非、いじめ撲滅に全力投球していただきたいですね。by HM
『オール1の落ちこぼれ、
教師になる』
(宮本延春・著 角川書店)
著者が中学1年のときの成績は「オール1」。中学卒業時の学力は、書ける漢字は自分の名前だけ、九九は2の段まで、知っている英単語は「BOOK」1語だけだったという。
小中学校時代の学習環境は最悪だった。クラスメイトから持ち物を隠され、壊された。殴られ、蹴られて顔面があざだらけになり、足に画鋲をさされ、仲間はずれにされ、修学旅行の班にも入れない。「死んだほうが楽かも」と考えたことも何度かあった。いじめを訴えても、学校も先生も何もしてくれず、逆に「チクッた」と言われてさらにいじめはエスカレート。まさに、最近、全国で報道されているような「いじめ自殺」の当事者になっていたかもしれない。「どんな理由があっても、いじめは悪なのです。自分さえ良ければいいと考える人間、他人の痛みを知ろうとしない人間が、いじめをするのです」と著者は言う。
著者を救ったのは、アインシュタイン博士のビデオだった。当時23歳になっていた著者は、まず、『小学3年のドリル』を買ってきて勉強をはじめた。そして、猛勉強を続け、27歳で、なんと難関の国立大学に合格。今では高校の教師として活躍している。
ある時、著者はこう考えたという。「神が私たちに平等に与えたものは何だろう。(略)時間だけは平等だ。だから、何かに時間をかけて努力すれば、未知の可能性が開けるのではないだろうか」。この考えの通り、著者は自分の運命を切り開いた。時間というものは、努力する者に有利に働くもののようだ。いじめられ、落ちこぼれ、一見、人生の敗北者に見えたようないじめられっ子でも、たゆまぬ努力によって、いじめる側の人間よりもはるかに優れた成功者になりうるのだから。最終章には、落ちこぼれから秀才に変貌した著者自身が実践した教科別の学習法も書かれている。本書を読んで実践すれば、いじめに悩む子どもたちが、5年後、10年後に人生の大逆転をすることは大いに可能だと思う。 by 島次郎
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格差社会で日本は勝つ
―「社会主義の呪縛」を解く
鈴木真実哉 著
2007-03-30発行
ISBN9784-87688-571-8
定価 1,575円(税込)
文句なく面白い。
知的痛快さを堪能(たんのう)できる本である。
今の日本は、「ルネッサンスと宗教改革と産業革命と明治維新が同時に来ているような時代である」との指摘に、目が覚める思いがする。
社会主義の呪縛である結果平等という時代遅れな価値観を捨てることを、平易な語り口で説く。そして真の自由主義の価値基準を私たち一人ひとりがもつことを要請している。
特に、「第5章 日本は世界一の経済大国になれるのか すべては「教育」からはじまる」
は、圧巻である。
「戦後、敗戦によって「宗教はダメだ」と言ってまず「徳育」が外され、次にゆとり教育で「知育」が崩壊し、「体育」の時間も徒競走で手をつないで走るなど、遊びの時間になってしまいました。たまたま心ある親やしっかりとした教師に出会えれば、しっかりフォローができますが、多くの子供は「徳育」「知育」「体育」と三原則全部が崩壊したという亡国の教育を受けているのです。」(本文より)
「格差はあっても、それぞれの速度で、それぞれの成長をし、それぞれの豊かさを実現することで、すべての人が幸福になれる社会に近づいてゆけます。そして、世のため人のために生きるような優れた企業家を無数に輩出することができれば、人類が抱える様々な社会問題も解決されていきます。そんなユートピアを創るために経済学は存在します。そのための第一歩が教育です。」(本文より)
先のフランス大統領選では、市場・競争原理を重視する与党・国民運動連合のサルコジ前内相が選ばれた。弱者保護を主張し初の女性大統領を目指した野党・社会党のロワイヤル候補は敗れた。「平等」より「自由」を選んだフランス国民の意思の意味するところは、「格差社会でフランスは勝ちたい」との選択ではないだろうか。事実、サルコジ新大統領は就任のあいさつで、「世界の変化に少しでも後れをとれば振り切られ、国家の存亡にかかわりかねない」と訴えた。
はたして日本のこれからは?
さらに、日本の教育界のこれからは?
本書を読むと、教育改革とは「社会主義システム」からの脱却とも読み取れる。努力しても努力しなくても身分も給料も保証されている公務員教師―。自殺者が出たとしても、責任を問われることから逃げたい保身のため、いじめの事件性を否定する学校―。「事なかれ主義」「無責任体質」の現在の教育界はまさに「社会主義システム」にはまっている。
では、日本の教育界に、真の自由主義を導入するとどうなるのだろうか。
教員の能力と成果を正当に評価して、向上心とやる気のない教師は再教育されるか辞めていただく。一方、優秀な教師には報酬を上げていく。
教師自身が自助努力をすると、そういう教師に教えられる子供たちも自助努力の精神を学ぶので、それが日本の繁栄と世界の繁栄、人類の幸福につながる。
さらに、自助努力の精神に加え、騎士道精神を自ら実践し、教えることである。教師も子供たちも、弱者に対する慈悲の精神、他人の成功を祝福する精神を発揮する―。
豊かな、真の自由主義の導入がいじめ問題を解決していくのではないだろうか。
ぜひぜひ一読をお勧めする。特派員 Y.H.