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★☆ いじめを解決するのはだれなのか。-スクールソーシャルワーカーの心がけ- ☆★ 

191221 ガラスの天使3

いじめを解決するのはだれなのか。
―スクールソーシャルワーカーの心がけ―

 これまで、スクールソーシャルワーカーとして、「子どもがいじめにあい、解決したいのでどうしたら良いか」という保護者からお話を聞き、相談にのり、解決への道筋を示し、保護者をエンパワーメント(勇気づけて行動を起こさせる)するということを長年してまいりました。
 でも、「私が解決した」のではなく、「保護者たちの熱意」こそが、いじめから子どもを守ってきた、と言っても過言ではありません。
 実際のところ、いじめを解決できたのは、学校現場の教師たちの努力であり、学校長のリーダーシップであり、保護者やPTAの理解と協力があってこそだと言えます。

 社会の要請を受けて、教育委員会や市町村の所属である、この職種(スクールソーシャルワーカー)が、これからも増え続けていくと思われます。
 元教員だけでなく、本来は医療や福祉の分野で活躍する社会福祉士、精神保健福祉士といった国家資格を持った方が基盤になります。

 そのため、「社会福祉士国家試験」では毎年のように、スクールソーシャルワーカーに関する問題が出題されています。その中には、いじめを題材とした出題も少なくないのです。

 昨年度(第31回)の社会福祉士国家試験の問題をご紹介します。  

問題96 事例を読んで、Fスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)のチームアプローチに基づいた対応として、適切なものを2 つ選びなさい。
〔事 例〕
小学生のG君(9歳、男児)は、同じクラスの児童から、「気持ち悪い」と言われたり、仲間はずれにされたりするなどのいじめを受けていた。
G君の友人から学級担任に、「G君がいじめられている」と心配が伝えられたため、学級担任が休み時間や放課後の様子を観察したところ、いじめの事実が明らかになった。
学級担任は校長に報告し、その後、教育委員会からFスクールソーシャルワーカーが派遣されることになった。

1 いじめた児童の保護者に連絡し、G君への謝罪を求める。
2 警察署に通報し、いじめた児童を指導するために援助を求める。
3 加害児童を他校に転校させるよう管理職に助言する。
4 児童が相談しやすい環境づくりについて学級担任の相談に乗る。
5 情報収集とアセスメントをもとに、校内ケース会議で対応を協議する。

 正解は、4番と5番です。
 しかし、読者のみなさんは、「なぜかしっくりいかない」、「もやもやした感じ」をお持ちになられたのではないでしょうか。
 なぜ、いじめの相談をしたら、教育委員会からスクールソーシャルワーカーが派遣されるの?
 その人が派遣されないと、イジメは解決できないの?

 もともと、チームアプローチ(多職種連携)とは、医療や介護の世界で、医師や看護師、ソーシャルワーカーや介護士など多くの専門家が力を合わせて、患者もしくは利用者の利益のために行う連携のことです。
 イメージとしては、学校が「ワンチーム」となって、いじめ問題にあたる体制が推奨されており、そのためのコーディネーター役として、多くの専門家の力を引き出し、福祉の専門家としてアドバイスをする立ち位置がスクールソーシャルワーカーといえます。
 人と環境との間に介入するソーシャルワーカーらしく、問題の背景にある、家庭の貧困や児童虐待、人間関係や制度に変化をもたらすために粘り強く活動していく・・・。

 たしかに、いじめから長期の不登校になってしまった、あるいは精神疾患となってしまった、などの困難なケース等には必要な仕事かもしれません。
 しかし、少し考えてみてください。困っている人はだれですか。大事なことは、早く解決することではないでしょうか。子どもたちも当然、早期解決を望んでいます。

 担任の相談にのって、担任を励まし、支持していくこと、先生に元気になっていただくことはたしかに必要ですが、いじめを解決するためのノウハウを教えることのほうが、より重要なのではないでしょうか。

 そして、誤解を恐れずに言えば、一番、不可解に感じるのは、「ケース会議」です。
 もちろんワンチームになるため、目標を明確化することが目的なのですが、いじめがあったと認めたうえでのケース会議は、利益相反する人をメンバーとするという、ストレスフルな状況をつくり出すこともあります。ときには不参加という残念な結果をもたらすことがあります。
 学校組織における意思決定者は校長ですので、校長が不在であれば、会議そのものが意味を持ちません。
 また、守秘義務とそれぞれの職責との兼ね合いは、いかがでしょうか。つまり、ケース会議と言っても、ピンからキリまであるということです。

 介護のためのケース会議では、病状やかかりつけの医師などの情報共有が大切です。サービスの契約なので本人の意思は明確です。
 反対に、非行・犯罪や児童虐待のために集まるケース会議のメンバーは、それぞれ専門家で公務員であり、守秘義務は守られ、問題を解決しようというタスク機能があります。個人情報を取りあつかう明確な根拠があります。

 一方、いじめ問題では、高い人権意識が求められます。
 被害児童をケース会議の中心に置く、つまり、被害を受けている子に、どのようにアプローチするかという観点や、被害児童がなぜいじめられたか、被害児童の家族関係などといった観点から会議をすると、児童やその家庭の了解を得ないまま、プライバシーを話し合うことにもなりますので、非常にあやういのです。
 しかしながら、この場に、児童委員や民間の組織を参加させるには高い壁があります。
 また、だれがどのように職責を果たすのか、不明瞭です。

 その結果、「被害児童の家庭に問題がある」、「本人がおとなしすぎる。性格の問題だ」などと、いじめられた被害者に責任があるとされてしまい、「様子を見ましょう」とか、「被害者をサポートしていきましょう」などという提案がなされ、結果、「いじめは解決しない」ということになります。

 これまでの経験では、ほとんどの場合、「加害児童」やその家庭をケース会議の中心議題に置くというのは見たことがありません。
 加害児童は指導されることもなく、通常のごとく登校し、家庭での不満を学校で解消し、いじめを繰り返します。
 被害児童は、不登校になります。
 被害児童を中心に置くと、学校は「楽」なのです。加害児童に対しての指導スキルのない学校では、対応に困りますから、被害児童を中心に置きたがるのです。

 けれども、本来の教育の使命、つまり加害児童を反省させ、謝罪に持っていくためには、教育的な力量や経験が必要です。それは先生の仕事なのです。

 実際のところ、いじめが起きた小学校で、効果が上がった方法は、
(1) 予算をつけてもらい補助教員を採用する。または、シフト体制をとり別の教員(OBでもよい)に応援にきていただく。
(2) クラスを半分に分けたり、教科別に生徒をわけたりして、加害者と被害者の学習環境をわける。
(3) 毎日が学校開放日(つまりは授業参観)とし、PTAや保護者に教室にお越しいただき、大人の眼がつねに光っている状態にする。
(4) スクールソーシャルワーカーは、休憩時間には、すすんで子ども達の遊びに入り見守る(自然な形で被害者のガードをする)
(5) PTAや地域の方々の協力を得て、登下校時には大人が子ども達と一緒に歩く。

 上記は一例ではありますが、このような方法で、これまでの環境をかえて、子ども達が静かに学習でき、運動や遊びができるようになりました。
 子ども達の心も安定し、いじめはなくなりました。

 これらを決断し、教育委員会を動かし、保護者にはたらきかけたのは、校長先生です。
 そして、校長先生を支えたのは、決してあきらめない、教育の使命を知る良心的な教員たちでした。
 大切なことは、手順や方法ではありません。いじめから被害者を守り、いじめられない環境をつくり出すことなのです。スクールソーシャルワーカーは影の根回し役でよいのです。

 子どもをいじめから守るのは、保護者、親のつとめです。
 そして、学校で、いじめを解決するのは、先生なのです。それを忘れないでください。

 いじめを解決する相談を受け付けています。ご遠慮なくご連絡いただければと存じます。
 
社会福祉士・精神保健福祉士
元保護観察官
前名古屋市教育委員会 子ども応援委員 SSW
現福祉系大学 講師  堀田利恵


 

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[ 2019/12/21 20:31 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◇ 代表メッセージ (2019年12月) ◆◇ 学校に付き添いました。◇◆ 

191205 冬木立

◇ 代表メッセージ ◇
◆◇ 学校に付き添いました。 ◇◆


師走、12月に入りました。
令和元年の今年は、四季の移り変わりが崩れ、大きな災害も続くなどして、天候が安定しない一年だったように思います。
でも、出会った子供たちをみていると、本当に精いっぱい生きているように見えました。

先週、いじめの相談者と学校を訪れました。
その子は、6月から不登校になっていて、もう既に11月の末。
保護者からは、「転校を認めて欲しい」と学校、教育委員会に何度も申し出ていたのですが、そのたびに
「転校の前例がないので認められない。お子さんがどうしたら学校に来られるようになるか、学校と話して欲しい」
との回答でした。
どうしようもなくなって、こちらにご相談いただきました。

教育委員会は、学校との話し合いに立ち会うつもりもありませんでしたので、お母さんと相談し、私たちの方から教育委員会に直接電話をし、
「もう既に重大事態である。診断書も出ている。放置しているのは学校と教育委員会ではありませんか」

結局、当日は、学校、教育委員会、保護者、そして私をいれての話し合いを開催することができました。
保護者としては「転校を認めて欲しい」ということなのですが、相変わらず学校は「前回、ご質問いただいたいじめの原因と学校の対処について説明します」との言葉で始まりました。このことは保護者から見れば、学校から何度も聞かされていた話の繰り返しでしかありません。

保護者と私からは、
「電話でも話しているように、30日以上休んでいるし、医師の診断もある。重大事態だとわかっていますか」
「首長への報告義務もありますし、第三者による調査委員会も開かれて当然の案件である」
「本人は、今の学校は怖い、行ったらいじめられると登校を拒否している」
「本人の心身の症状は改善されていない」
「文科省からの通知は、いじめによる転校には対応すべきであること」
「重大事態は、保護者からの訴えがあれば、『疑い』の段階でも、重大事態として扱うこととなっていることはご存じですよね」
「したがって、早急に転校を認めて欲しい」との申し出をするとともに、回答の期限を決め、連絡をするように要請いたしました。

話し合いの結果、保護者の要望である「転校」が認められる方向で進んだのですが、その中で、お母さんが「診断書、何通もだしましたよね」と話したところ、校長は「私は受け取っておりませんし、見てもおりません」とのたまわったのです。驚きました。
さらに教頭も「記憶にありませんが」と話し始めました。
お母さんは、担任、教頭に手渡しをし、この話し合いの前には教育委員会にも送っていたのにもかかわらずです。
このことを指摘された後、校長も教頭も、まったく黙ってしまいました。

ここまでくると意図的な「隠蔽」そのものです。
ここまで隠蔽する学校が、いまだにあることが残念です。

さらに、こんなニュースも流れました。
元、埼玉県川口市立中の男子生徒(現在は高校生)が、損害賠償を求めて裁判を起こしています。
その裁判で、市がさいたま地裁に証拠として提出した武南署の捜査関連書面に、「虚偽の記載」があったことが判明したのです。
同署と埼玉県警本部少年課、文書課の担当者らは2日、母親と面談し、虚偽を認めて謝罪し、訂正を約束しています。

元生徒はサッカー部に所属し、部活動中に他の部員に引きずられるなどのいじめを受けて、不登校になりました。
市側が今年の9月の裁判で提出した県警の内部文書には、
「元生徒が、2回足蹴りしていた事実があり、原因を作ったのは被害生徒自身と考えられる」と記載されていたのです。
警察署は「記載者の主観が入ってしまった」との説明していると言うのです。

結局、警察が「いじめられた生徒に原因ある」と言っていたのです。
しかも、母親にはまったく別の内容で説明していたことがわかっています。
これは「故意」、つまり意図的に行われた報告といえます。
警察が加害者側、あるいは学校の意向に沿って、つまり「忖度(そんたく)」して、虚偽の公文書を作成したと言えます。

私たち一般の人間は、警察が真実を明らかにしてくれるということを、当然、期待してしまいます。
だからこそ、「警察」には権威や権力があるのです。
そこが虚偽報告をするなどあってはなりません。
それでは、いじめ被害者やその家族が助けを求めることができなくなります。
当然、虚偽報告をした担当者や責任者は、懲戒処分がくだされるべきです。社会を不安定にさせるようなことを、そのままにしてはなりません。

本来、学校が「隠蔽する」、あるは「嘘を付く」、「証拠を破棄する」などあってはなりませんし、ましてや「警察」が加担するなど「もってのほか」としか言いようがありません。


まもなく今学期も終わります。
学年末になってからのいじめは、学校側の対応がにぶる傾向があります。
何か、気になることがございましたら、ご遠慮無くご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

井澤一明ブログ:
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[ 2019/12/05 12:37 ] 代表あいさつ | TB(0) | コメント(0)

★☆ 貴人との出会い ☆★ 

191124 ボーイスカウト

★☆ 貴人との出会い ☆★

時折、子供時代を振り返ることがあります。自分では至って普通の子供のつもりでしたが、実は大人から見れば、あまり可愛げのない存在だったようです。まあ三つ子の魂百までといいますから、昔も今も、ほとんど同じということでしょうか。小学校6年の時には、担任の先生から、こう言われました。
「お前には、子供らしさがない」

そんなこと言われたって困ります。心の中で「子供なんだから仕方ないだろう」なんて思いながら、上の空で小言をやり過ごしてました。自分では分かりませんが、目障りだったんでしょうね。先生の言動を鼻で笑っていたり、ひねこびた発言を連発していたのだと思います。

兄が障がいを持っていましたので、普通の子供よりも余分に世の中が観察できたのかもしれません。もっとも、嫌な面ばかりを見ていたと言えますが、いろいろな経験をさせてもらえたのは事実です。

そりゃあ、見ただけで兄は普通じゃありませんから、気になって見ちゃうのは仕方ありません。でも見世物じゃああるまいし、興味本位でジロジロ眺める人がいて、これには腹が立ちましたね。逆に、気づかないフリをして、兄の存在を無視してくれる人。これは感謝でした。そのころは一応「子供」でしたから、「見世物」の視線はつらかったです。

哀れみの視線に、バカにする視線。そっと手を差し伸べてくれる人あり、また、迷惑がって邪険にする人あり。本当に人それぞれです。「子供ならまだ仕方ないけど、大人になっても、こんなバカなままなの?」なんて思うわけです。まあ少し「ひねこび」ますわ。今考えてみると、その頃、大人社会に幻滅していたかもしれません。

高学年になってくると、大人社会の影やら闇やらが見えてきます。欲望渦巻き、弱肉強食の現実。そしてその中で、偽善者のどれだけ多いことか。そんな汚辱に染まるくらいなら、人間やめたほうがまだマシだというのが、その当時の本音です。学校の先生すら、心から信用できませんでした。だってハンパに見えますもの。いやホント、やなガキですね。

その「大人社会の幻滅」は、たった一人の人間との出会いで、雲散霧消しちゃいました。尊敬できる大人と、生まれて初めて出会ったのです。それはボーイスカウトの隊長です。

誰の人生にも、運命をコロッと変える「貴人」との出会いがあると聞きます。私にとっての「貴人」が、この隊長だったわけです。ボーイスカウトの「ちかい」と「おきて」を純粋に信じて実行し、裏表などまったくありません。知行合一を地で行った隊長には偽善の余地などありません。スカウト技能や野外活動のスキル、経験、体力、気力と全てに超人的でした。尊敬というよりは「賛仰(さんぎょう)」する対象だったかもしれません。

こんな人がいたのですから、大人社会への幻滅など消し飛びました。子供の認識では、この世の中の素晴らしい面が理解できなかっただけで、世の大人たちを裁くなど、百年早いと思い知らされたわけです。

ホントは、尊敬できる「貴人」など、どちらかというと絶滅危惧種でして、幻滅する大人ばかりだというのが事実に近いとは思います。しかし、一人だけでも「貴人」と遭遇すれば、「世界はまだ捨てたモンじゃない」と希望がわいて、生きていけるようになるもんです。
いじめられたり、不登校だったりと、大変な環境で大人社会に幻滅している子供たちも、本当にたくさんいるでしょう。「ボーイスカウトやってたらなあ」「尊敬できる大人が、周囲に一人でもいたらなあ」などと、自分の経験と重ねて痛感したりしてます。

でも、自分で探さないと「貴人」はいないんですよね。学校教育に期待できなければ、社会教育の方ではいかがでしょう。技術やスキルだけ教えるところではなくて、ボーイスカウトや武道のように、精神性を根底に持つところなんか、求道者や修行者のような「貴人」がゴロゴロしているかもしれません。もちろん、学校の先生にだって「貴人」はいますし、素敵な経営者やら芸術家にもいるでしょうし、農家にも達人はいらっしゃいます。

社会に幻滅し、つらい環境にあるならば、そんなときこそ見聞を広める時です。自分にとっての「貴人探し」をなされたらと思います。人それぞれ「貴人」は違うでしょう。限られた自分の経験と知識だけでは、世界に失望してもおかしくはありません。しかし世界は驚きと感動に満ちているのも事実。悪い人もいるかもしれませんが、同時に素晴らしい人々もいるのも、これもまた事実です。

そしてまた先を歩む大人たちは、後から続いてくる人たちのために、自らが「貴人」となる義務があると思います。自分が悩み苦労して乗り越えたことは、人生の勲章でもあるとともに「智慧」の宝庫ともなります。その「智慧」を以って、自らも「貴人」となる尊い義務を果たしましょう。狭い世界に閉じこもって絶望してる子供たちのために、広い世界が光に満ち溢れていることを、行動によって後姿でもって示しましょう。

現在、世界は「貴人」を、絶賛大募集中です。

飯田 剛


 

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[ 2019/11/25 07:07 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)

◆◇ 戦後日本と「いじめ」の対応 ◇◆ 

191119 ススキ野

◆◇ 戦後日本と「いじめ」の対応 ◇◆

 教育現場に長く身を置いてきましたので、何度か「いじめ」問題に遭遇し、その都度対応してきました。しかし、自分たち教員集団が見落としている事案もあったのではないかと考えています。おそらく、あったのだろうなと思います。

 高校には「懲戒指導」がありますので、事実を把握した上で、問題が大きければ、戒告・謹慎・停学、そして退学までの処分を行うことになります。それが一定の抑止力になっていると感じています。小中学校の場合は懲戒の範囲が限られますから、解決に向けた取り組みに大変な労力がかかることと拝察します。

 「いじめ」問題は被害者を守り、不利益のないようにすることは当然欠かせませんが、加害生徒への対応、両者の保護者への対応などに思いを巡らすと、しんどく感じることもあるだろうと思います。私のささやかな経験の中には、加害生徒に懲戒指導を与える前や進路変更(自主退学若しくは自主転学)をお勧めする場合には、加害者側の保護者の方からクレームをいただくことがありました。

 ある時は、継続的な暴力と金銭強要を伴う事案に出くわしました。内容が内容だけに、私は警察に通告し連携を取りながら、被害者の安心・安全の確保、及び、金銭的損害の回復と、加害者の立ち直りを試みました。その時には、加害生徒に進路変更をしていただくようお願いすることになりました。加害者の保護者の方から「先生は息子を警察に売った」と言われました。私は少し悲しく感じました。

 また、いくつかの「いじめ」の事例の情報を知る中で、不思議に思う対応があります。それは、被害者と加害者を「話し合わせる」という手法です。犯罪被害者と加害者を話し合わせて解決するということなのでしょうか。対等な関係同士のけんかならば、それでよいかもしれませんが、「いじめ」においては心理的に対等な立場ではないことは明らかです。

 いじめの当事者同士が、その解決に向けて「話し合う」ということに、違和感を覚えます。「話し合えば」何でも解決できるというお花畑的発想だと思います。

 これがまさに、戦後の「平和主義」に通底すると思えてなりません。かつての同僚の教員の方の中にも、「自衛隊の軍備や日米安保条約はいらない。攻められそうになったら話し合えば解決する」と仰る方がいらっしゃいました。

 国防問題と「いじめ」問題は同一には考えらえませんが、「話し合い」では、軍事力等の国力の弱い立場の方が被害を受けることは明らかです。問題の解決につながりません。「いじめ」や不当な圧力に屈しない備えや対応が必要です。

 「いじめ」に関しては、被害者はいうまでもなく、加害者にとっても自分の人間としての「輝き」を損なってしまうことになります。保護者の方や学校の先生方が、心を込めて寄り添い解決策を実行することが大切だと思います。

 国防も「いじめ」も、悪を押しとどめる体制づくりが欠かせません。その意味で、軽薄な戦後の「平和主義」を克服する必要あり、と考えます。

元公立高校校長 清川 洋


 

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[ 2019/11/19 19:30 ] メッセージ | TB(0) | コメント(0)